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三.
翌朝。
教室に入ると、自分の机の上に小さな紙袋が置かれていた。
名前はない。
中を開けてみる。
一枚の写真。
去年の文化祭で撮られたものだった。
教室で準備をしている俺が、小さく写っている。
写真を裏返す。
青いペンで、一言。
『今年は、もっと近くにいようね』
「……なんだこれ」
顔を上げる。
ちょうどそのとき、教室のドアが開いた。
「おはよー」
宮野が入ってくる。
俺の机を見る。
一瞬だけ、目を見開く。
そして、何事もなかったように目を逸らした。
やっぱり。
俺は写真を紙袋に戻し、机の中へしまった。
「おはよう」
「……おはよ」
宮野は少しだけ驚いた顔をした。
それから、いつものように笑った。
「眠そう」
「昨日ちょっと遅かったから」
「何してたの?」
「ゲーム」
「高校二年生にもなって?」
「高校二年生だからだろ」
「意味わかんない」
宮野が笑う。
俺も笑う。
写真のことは、聞かなかった。
宮野も何も言わなかった。
でも、その日一日。
何度か視線を感じた。
顔を上げると、宮野は別の方向を見ている。
気のせいかと思えば、また視線を感じる。
そして目が合う。
そのたびに宮野は、少しだけ笑った。
何なのかは、分からない。
ただ。
嫌な感じはしなかった。




