副司令官ヴォルグの反乱
今宵の宴は?
第五十八章 副司令官ヴォルグの反乱
京で信長と艦隊総督レオン・ヴァルディスが友好の宴を開いていた頃――。
若狭の港では、不穏な空気が流れていた。
艦隊旗艦の地下会議室。
副司令官ヴォルグ・カイゼルは、選ばれた将校たちだけを集め、重厚な扉を閉めた。
机の上には、日本全土の地図。
京、大坂、堺、博多、長崎、若狭。
重要な港や城には赤い印が付けられている。
ヴォルグは地図を見つめながら口を開いた。
「諸君。」
「総督レオン・ヴァルディスは、この国と友好を結ぼうとしている。」
「だが、それでは我々の祖国は何も得られない。」
部下の一人が尋ねた。
「副司令官。では、どうなさるおつもりですか。」
ヴォルグは冷たい笑みを浮かべた。
「日本は豊かな国だ。」
「金、銀、鉄、優れた職人、そして港。」
「すべて我らのものにすべきだ。」
その言葉に数人の将校が静かにうなずく。
しかし、一人の若い士官アレンだけは顔色を変えた。
「それでは総督のお考えに背くことになります。」
ヴォルグは鋭い視線を向ける。
「アレン。」
「戦とは勝者が歴史を書くものだ。」
「総督が邪魔なら、消えてもらえばよい。」
その場が静まり返る。
アレンは震えながらも言った。
「私は……その命令には従えません。」
ヴォルグは机を叩いた。
「ならば、お前は反逆者だ!」
次の瞬間、兵士たちがアレンを取り囲む。
アレンは窓を突き破り、港へ飛び降りた。
「逃がすな!」
ヴォルグの怒号が響く。
夜の港を必死に駆けるアレン。
背後から追っ手の足音が迫る。
その頃、京では宴も終わり、信長とレオンが庭園で語り合っていた。
「信長。」
「私は、この国と末永い友となりたい。」
レオンはそう語る。
信長も穏やかに微笑んだ。
「余も同じだ。」
「海を越えて争うより、海を越えて手を取り合う方が良い。」
しかし、その穏やかな時間を破るように、一人の伝令が駆け込んできた。
「上様!」
「大変です!」
「若狭の港で異国の兵同士が戦っております!」
レオンは驚き立ち上がる。
「何だと……!」
伝令は続ける。
「副司令官ヴォルグ・カイゼルが艦隊の一部を率いて反乱を起こしたとのことです!」
レオンは拳を強く握り締めた。
「ヴォルグ……。」
「まさか本当に。」
信長は静かにレオンを見つめる。
「総督。」
「この反乱、余も共に鎮めよう。」
レオンは深く頭を下げた。
「ありがとうございます。」
「ですが、これは私の艦隊の問題です。」
信長は首を横に振る。
「違う。」
「今や日本で起きた争いだ。」
「民を守るためなら、余も剣を抜く。」
その言葉にレオンは心を打たれた。
「信長……。」
「あなたは、本当に偉大な英雄だ。」
一方その頃。
ヴォルグは旗艦の甲板で剣を掲げ、兵士たちへ叫んでいた。
「今日より我らは独立軍となる!」
「日本を征服し、新たな帝国を築くのだ!」
兵士たちは一斉に剣を掲げる。
「おおおおっ!」
こうして、信長とレオンは同じ敵を前に手を結ぶこととなった。
世界を揺るがす新たな戦いが、静かに幕を開ける。
次回も楽しみに




