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もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


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黒き艦隊の来航

艦隊総督・レオン・ヴァルディスの一言


海を越え、数え切れぬ国々を見てきた。


だが、これほどまでに「織田信長」という名が語り継がれる国は初めてだ。


乱世を終わらせた英雄。


その実力、この目で確かめよう。


私は無益な戦いを望まない。


互いに手を取り合えるなら、それが最善だ。


しかし、この艦隊や仲間たちが脅かされるのであれば、私は総督として剣を抜く。


さあ、織田信長。


英雄と総督。


どちらの信念が未来を切り開くのか、見届けようではないか。


――艦隊総督 レオン・ヴァルディス

第五十六章 黒き艦隊の来航


朝霧が立ち込める日本海。


見張りの兵が沖を見つめた瞬間、その表情が凍りついた。


「た、大変だ!」


「水平線の向こうに船団が!」


鐘が鳴り響き、港は騒然となる。


漁師たちは船を岸へ戻し、人々は不安そうに海を見つめた。


やがて霧の中から、巨大な黒い帆船が次々と姿を現す。


その数、二十隻以上。


見たこともない巨大な船体。


異国の紋章が描かれた黒い旗が風になびいていた。


京では、その報せが信長のもとへ届く。


「上様!」


「黒き艦隊が若狭の港へ入港しました!」


秀吉が地図を広げる。


「かなりの規模です。」


家康は腕を組む。


「これほどの艦隊を率いる国とは……。」


十兵衛も険しい表情を浮かべる。


「戦になるのでしょうか。」


信長は静かに首を振った。


「まだ分からぬ。」


「まずは相手の目的を知る。」


「戦は、それからでも遅くはない。」


一方、港では。


黒い軍服をまとった兵士たちが整然と上陸を始めていた。


その中央を歩く一人の男。


艦隊総督・レオン・ヴァルディス。


鋭い青い瞳で日本の港を見渡す。


「美しい国だ。」


「だからこそ、この国の王と会う価値がある。」


部下が報告する。


「総督閣下。」


「織田信長は、まもなく使者を送るとのことです。」


レオンは静かに微笑んだ。


「よろしい。」


「まずは言葉で語ろう。」


「剣を抜くのは、その後でも遅くない。」


その頃、信長は秀吉を使者として港へ向かわせることを決める。


「秀吉。」


「相手が何者であれ、礼を尽くせ。」


「だが、民を脅かす者であれば容赦はせぬ。」


秀吉は深く頭を下げた。


「はっ!」


こうして、日本を統一した織田信長と、海の彼方から来た異国の総督レオン・ヴァルディス。


二人の天下人による歴史的な会見が、まもなく始まろうとしていた。


その出会いが、日本だけでなく世界の運命をも変えることになるとは、まだ誰も知る由もなかった。

登場人物


織田信長おだ のぶなが

天下を統一した武将。新たな時代を築くため、海の彼方から来た異国の艦隊との対話に臨む。


羽柴秀吉はしば ひでよし

信長の忠臣。信長の命を受け、異国の艦隊との最初の交渉役を務める。


徳川家康とくがわ いえやす

信長の盟友。冷静な判断力で異国勢力の動向を見極める。


柳生十兵衛やぎゅう じゅうべえ

柳生新陰流の剣豪。信長の護衛として、万一の事態に備える。


弥助やすけ

信長に仕える忠臣。異国の兵士たちにも引けを取らぬ武勇を誇る。


織田信栄おだ のぶひで

信長と濃姫の嫡男。次代を担う武将として、父とともに新たな試練へ立ち向かう。


綾姫あやひめ

信長の側室。足利義昭の姪。乱世を乗り越え、平和な時代を支える。


艦隊総督 レオン・ヴァルディス

海の彼方から巨大な艦隊を率いて日本へ来航した総督。無益な戦いは望まないが、必要とあれば剣を抜く覚悟を持つ統率者。


異国の艦隊兵

レオンに忠誠を誓う精鋭たち。規律を重んじ、高い航海技術と戦闘能力を備えている。

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