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もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


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義昭の策

足利義昭の策


信長よ。


おぬしは戦に強く、人の心を掴むことにも長けている。


ならば、正面から戦うだけでは勝てぬ。


だからこそ、わしは策を巡らせた。


青龍智玄の知略。


光秀の助言。


そして四天王が命を懸けて稼いだ時間。


すべては、この最後の一手のため。


さあ信長、おぬしはこの策を見破れるか。


天下の命運を懸けた最後の知略戦が、今始まる。


――足利義昭

第五十一章 義昭の策


夜明け前。


比叡山の麓にある山寺では、足利義昭が静かに戦場の地図を見つめていた。


その傍らには、青龍智玄と僧侶姿の明智光秀が控えている。


義昭はゆっくりと口を開いた。


「信長は、必ず民を守る。」


「そこが奴の強さであり、弱さでもある。」


青龍智玄は地図の上に駒を置いた。


「織田軍が京へ兵を集めれば、美濃が手薄になります。」


「美濃を守れば、京が危うくなる。」


「信長には、どちらか一方しか選べません。」


光秀は静かに頷く。


「ですが信長様なら、第三の道を探されるでしょう。」


義昭は小さく笑った。


「それでも構わぬ。」


「考え、迷い、決断する時間を奪うことこそ策の要。」


その頃、二条御所では信長も軍議を開いていた。


秀吉が急報を持って駆け込む。


「上様!」


「敵軍が近江へ進軍を開始しました!」


その直後、別の使者が飛び込む。


「美濃でも敵の動きがあります!」


さらに三人目の使者。


「京の周辺でも不審な集団が目撃されました!」


広間は騒然となる。


家康は腕を組んだ。


「敵は三方向から揺さぶりをかけています。」


十兵衛は静かに言う。


「どこが本命なのか分かりません。」


信長は地図を見つめ続けた。


やがて静かに笑う。


「なるほど。」


「これが義昭の策か。」


秀吉が尋ねる。


「上様、お気づきになられましたか?」


信長は頷いた。


「敵は土地を狙っているのではない。」


「余の判断を狂わせようとしている。」


その言葉に家康も微笑む。


「見事に見抜かれましたな。」


信長は立ち上がる。


「ならば、こちらも策で応える。」


「秀吉、美濃へ向かえ。」


「家康は京の守りを固めよ。」


「十兵衛は密かに敵本陣を探れ。」


「弥助は余と共に近江へ。」


「信栄は予備軍を率い、どこへでも動けるよう備えよ。」


「はっ!」


一方、山寺では義昭が空を見上げていた。


「信長。」


「おぬしは策を見破った。」


「だが、本当の策は、まだ終わっておらぬ。」


青龍智玄は静かに巻物を閉じる。


「いよいよ最後の一手です。」


知略と知略が激しくぶつかる最終決戦。


その幕は、静かに、しかし確実に上がろうとしていた。

織田信長の策


義昭よ。


おぬしの策は見事であった。


兵を惑わせ、人の心を揺さぶり、戦わずして勝とうとする知略。


まさに将軍にふさわしい策と言えよう。


だが、余にも余の策がある。


民を守り、家臣を信じ、それぞれが己の役目を果たすこと。


それこそが、余の最大の策だ。


一人では天下は築けぬ。


皆で支え合ってこそ、真の天下泰平は実現する。


さあ義昭。


長き因縁も、いよいよ終わりを迎える。


最後まで、余は信じる道を貫こう。


――織田信長

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