青龍智玄の真の狙い
いよいよ始まる
第四十八章 青龍智玄の真の狙い
二条御所。
信長は綾姫が持ち帰った密書を机の上へ広げていた。
秀吉、家康、十兵衛、弥助、信栄も集まり、その内容を見つめる。
秀吉が口を開く。
「上様、この策を防げば勝てますな。」
しかし、家康は静かに首を横へ振った。
「いや。」
「これほどの軍師が、この程度の策だけで終わるはずがない。」
信長も同じ考えだった。
「家康の言うとおりだ。」
「これは、おとりかもしれぬ。」
その頃、山寺。
青龍智玄は義昭の前で不敵な笑みを浮かべていた。
「義昭様。」
「綾姫様が密書を持ち帰ることも、すべて計算のうちです。」
義昭は目を細めた。
「では、本当の狙いは。」
智玄は静かに盤上へ駒を並べる。
「信長は、必ず密書を信じます。」
「そして、その策を防ぐために兵を動かす。」
智玄は一つの駒を指で弾いた。
「その瞬間。」
「京は守られても、美濃と尾張が手薄になります。」
光秀は静かにうなずいた。
「なるほど。」
「敵に情報を与えることで、自ら兵を動かさせるのか。」
智玄は笑みを浮かべる。
「知略とは、相手に考えさせること。」
「考えた時点で、すでに私の術中です。」
一方、京。
十兵衛が信長へ問いかける。
「信長様。」
「この密書は罠でしょうか。」
信長はしばらく考え込む。
やがて静かに答えた。
「罠であろう。」
「だが、民を危険にさらすわけにはいかぬ。」
その時だった。
一人の若い伝令が飛び込んでくる。
「上様!」
「美濃国より急使です!」
「敵軍が国境を越えました!」
秀吉が立ち上がる。
「何!」
さらに続けて別の伝令が叫ぶ。
「尾張でも反乱が発生しております!」
家康は険しい表情になる。
「やはり……。」
「これが智玄の本当の狙い。」
信長はゆっくりと立ち上がった。
「全軍へ伝えよ。」
「兵を分ける。」
秀吉が驚く。
「しかし、それでは!」
信長は静かに微笑む。
「民は一人も見捨てぬ。」
「それが余の天下だ。」
その言葉に家臣たちは深く頭を下げた。
「はっ!」
遠く山寺では、青龍智玄が夜空を見上げていた。
「信長。」
「あなたは強い。」
「だからこそ、その優しさが最大の弱点になる。」
知略と信念。
最後の戦いは、いよいよ決着の時を迎えようとしていた。
次回も楽しみに




