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もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


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綾姫の秘密

登場人物


織田信長おだ のぶなが

本能寺の変を生き延びた天下人。平和な天下を築くため、足利義昭との最後の戦いに臨む。


綾姫あやひめ

信長の側室。実は足利義昭の姪という秘密を持つ。義昭の命で信長のもとへ送られたが、信長の人柄と理想に心を動かされ、平和な天下を守る道を選ぶ。


足利義昭あしかが よしあき

室町幕府最後の将軍。綾姫の叔父。信長の天下を終わらせるため、最後の策を巡らせる。


青龍智玄せいりゅう ちげん

足利義昭四天王最後の一人。「知略・謀略」を司る軍師。義昭の命を受け、天下を揺るがす策を実行する。


明智光秀あけち みつひで

僧侶として身を隠し、陰から義昭と四天王を支える。


羽柴秀吉はしば ひでよし

信長の忠臣。織田家を支え、天下泰平の実現に力を尽くす。


徳川家康とくがわ いえやす

信長の盟友。冷静な判断力で信長を支え、敵の策略を見抜こうとする。


柳生十兵衛やぎゅう じゅうべえ

柳生新陰流の剣豪。信長の覚悟を認め、その剣を織田家のために振るう。


弥助やすけ

信長の忠臣。朱雀炎斎との激戦を制した豪勇の武人。


織田信栄おだ のぶひで

信長と濃姫の嫡男。父の志を受け継ぎ、次代の天下を担う若き武将。

第四十六章 綾姫の秘密


信行との別れを胸に、信長は再び政務に励んでいた。


その頃、山寺では青龍智玄が足利義昭の前にひざまずいていた。


「義昭様。」


「すべて計画どおりに進んでおります。」


義昭は静かにうなずく。


「ご苦労。」


その時、一人の女性が本堂へ姿を現した。


信長の側室――綾姫である。


青龍智玄は驚き、思わず立ち上がる。


「綾姫様……。」


義昭は静かに微笑んだ。


「もう隠す必要はあるまい。」


綾姫はゆっくりとうつむき、静かに口を開く。


「申し訳ございません……。」


青龍智玄は信じられないという表情を浮かべる。


義昭は厳かな声で告げた。


「綾姫は、我が姪。」


「足利の血を引く者だ。」


その場に緊張が走る。


智玄は驚きを隠せない。


「まさか……。」


義昭は続ける。


「信長のそばに送り込んだのは、天下の動きを見届けるため。」


「だが、綾姫は私の命だけで動いていたわけではない。」


綾姫は苦しそうな表情で首を振る。


「違います。」


「私は最初こそ義昭様の命で信長様のもとへ参りました。」


「ですが……。」


「信長様は私を疑うことなく受け入れ、多くの民を救い、平和な国を築こうとなさいました。」


義昭は静かに問いかける。


「ならば、お前はどちらを選ぶ。」


綾姫は迷いながらも顔を上げる。


「私は……。」


「信長様を裏切ることはできません。」


義昭の表情が険しくなる。


「そうか。」


「ならば、お前も足利家に背くというのだな。」


青龍智玄は二人を見つめ、何も言わなかった。


綾姫は深く頭を下げる。


「どうか、お許しください。」


「私は信長様と共に、平和な天下を守りたいのです。」


義昭は背を向ける。


「好きにするがよい。」


「だが、次に会う時は敵同士だ。」


綾姫は涙をこらえながら山寺を後にした。


その頃、京では信長が綾姫の帰りを待っていた。


まだ誰も知らない。


綾姫が足利義昭の姪であるという、大きな秘密を。


そして、その秘密が天下の行方を大きく変えることになるとは――。

綾姫の一言


私は足利の血を引く者。


義昭様の姪として生まれ、その使命を果たすため信長様のもとへ参りました。


けれど、信長様と過ごすうちに知ったのです。


人を力で従わせるのではなく、人を信じ、民の笑顔を守ろうとするお姿を。


今の私が守りたいのは、血筋でも、過去でもありません。


信長様が目指す、誰もが安心して暮らせる天下です。


たとえ叔父である義昭様と敵対することになっても、私は自分の信じる道を歩み続けます。


――綾姫

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