表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/53

信行との別れ

織田信行の一言


兄上。


幼き日、私はいつか兄上を超えたいと夢見ておりました。


時には争い、時には憎み合ったこともありました。


ですが、こうして兄弟として再び歩めた日々は、私にとって何ものにも代え難い宝です。


もし私が先に旅立つことになっても、どうか悲しまないでください。


兄上なら、きっと平和な天下を築いてくださると信じています。


これからも、その歩みを止めずに進んでください。


――織田信行

第四十五章 信行との別れ


青龍智玄との知略戦が続く中、二条御所へ一人の使者が駆け込んできた。


「上様!」


信長は使者のただならぬ様子を見て、静かに立ち上がる。


「何事だ。」


使者は深く頭を下げ、震える声で告げた。


「織田信行様が……ご病気のため、お亡くなりになりました。」


その言葉に、その場は静まり返った。


秀吉も家康も、言葉を失う。


信長はしばらく何も語らなかった。


やがて、ゆっくりと目を閉じる。


「……そうか。」


「信行が。」


信長は静かに空を見上げた。


幼い頃、ともに尾張を駆け回った日々。


家督を巡って争った日々。


互いに剣を向け合った過去。


そして、この世界では再び兄弟として歩むことができた時間。


そのすべてが、信長の胸によみがえった。


「兄上……。」


信栄がそっと声をかける。


信長は小さくうなずいた。


「人は、いつか別れの時を迎える。」


「それが家族なら、なおさら辛いものだ。」


弥助は静かにひざまずく。


「上様。」


「信行様も、最後まで上様のことを誇りに思っておられたはずです。」


秀吉も深く頭を下げた。


「信行様の志は、私たちが受け継ぎます。」


その夜。


信長は一人、信行の位牌の前に座った。


線香の煙が静かに立ち上る。


「信行。」


「昔は、お前と争うことしかできなかった。」


「だが、もう一度生きる機会を得たこの世界で、お前と兄弟として語り合えたことを、余は誇りに思う。」


信長は静かに手を合わせた。


「安らかに眠れ。」


「この天下は、余が必ず守り抜く。」


外では雨が降り始める。


その雨は、まるで兄弟との別れを惜しむ涙のように静かに大地を濡らしていた。


翌朝。


信長は家臣たちの前に立つ。


「悲しんでいる時間はない。」


「信行の願いもまた、この国の平和であった。」


「前へ進もう。」


家臣たちは一斉に頭を下げた。


「ははっ!」


兄との別れを胸に刻みながら、信長は再び天下への道を歩み始める。


その背中には、信行の想いもまた、静かに寄り添っていた。

次回も楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ