弥助と炎斎
今宵の信長は?
第四十三章 弥助と炎斎
朝日が戦場を照らす。
近江の大地に、二人の武人が向かい合っていた。
織田家随一の忠臣・弥助。
そして、足利義昭四天王の猛将・朱雀炎斎。
炎斎は巨大な大槌を肩に担ぎ、不敵に笑う。
「お前が弥助か。」
「信長の忠犬と聞いていたが、どれほどのものか試してやる!」
弥助は静かに刀を抜いた。
「私は上様の家臣。」
「忠義を尽くすことに誇りを持っています。」
炎斎は豪快に笑う。
「ならば、その忠義ごと叩き潰してやる!」
大槌が振り下ろされた。
轟音とともに地面が砕ける。
弥助は素早く身をかわし、鋭い斬撃を放つ。
しかし、炎斎は腕で受け止め、そのまま弥助を弾き飛ばした。
「ぐっ!」
弥助は体勢を立て直す。
「なんという力……。」
信長は戦いを見守りながら静かにつぶやく。
「力では炎斎が勝る。」
「だが、弥助には冷静さがある。」
秀吉も拳を握りしめる。
「弥助、負けるな!」
炎斎は連続で大槌を振るう。
戦場は土煙に包まれた。
その中で弥助は敵の動きを見極める。
「大振りだ……。」
「ならば!」
弥助は炎斎の懐へ一気に飛び込む。
鋭い一閃。
炎斎の鎧に一本の傷が刻まれた。
炎斎は驚いた表情を浮かべる。
「初めてだ……。」
「この鎧に傷をつけた者は。」
弥助は刀を構え直した。
「あなたは強い。」
「ですが、力だけでは勝てません。」
炎斎は静かに笑う。
「その言葉……信長によく似ている。」
再び二人は激突する。
激しい攻防が続く中、炎斎は大槌を高く掲げた。
「これで終わりだ!」
渾身の一撃。
弥助は真正面から刀を振り上げる。
金属音が響き渡る。
その衝撃で炎斎の大槌は真っ二つに折れた。
戦場は静まり返る。
炎斎は折れた武器を見つめ、ゆっくりと膝をついた。
「私の……負けだ。」
弥助は刀を納める。
「命までは奪いません。」
「もう戦いは終わりです。」
炎斎は深く息を吐いた。
「信長の家臣が、これほどとは……。」
「私もまた、力だけを信じすぎていた。」
遠くでその様子を見ていた青龍智玄は静かにつぶやく。
「炎斎まで敗れたか。」
その隣では足利義昭が目を閉じていた。
「残るは青龍智玄のみ。」
「いよいよ最後の勝負じゃ。」
一方、信長は弥助のもとへ歩み寄る。
「見事であった。」
弥助はひざまずく。
「上様のお言葉があったからこそ勝てました。」
信長は微笑んだ。
「いや。」
「これはお前自身が勝ち取った勝利だ。」
こうして四天王の一人、朱雀炎斎もまた敗れ去った。
しかし、義昭の最大の切り札――青龍智玄が、静かに最後の策を巡らせていた。
次回も楽しみに




