柳生十兵衛の決断
柳生十兵衛とは?
柳生十兵衛は、江戸時代初期に活躍したとされる剣豪です。
柳生新陰流の使い手として知られ、卓越した剣の腕前から、数多くの伝説や創作作品の主人公として描かれてきました。
本作では、史実とは異なる「もしも」の世界として、柳生十兵衛が信長の前に姿を現します。
本能寺の変で信長が命を落としたという記憶を抱えながら、目の前に現れた”生きている信長”を、彼はどう受け止めるのでしょうか。
歴史の枠を超えた、新たな出会いをぜひお楽しみください。
第三十七章 柳生十兵衛の決断
二条御所。
信長は静かに地図を見つめていた。
その視線は、大和国に向けられている。
「猿。」
「はっ、上様。」
秀吉がひざまずく。
「柳生の門を訪ねよ。」
「柳生十兵衛を説得し、我らの仲間に迎えてほしい。」
秀吉は驚いた。
「柳生十兵衛でございますか。」
信長はうなずく。
「あの剣の腕は天下一。」
「これからの戦いには欠かせぬ男だ。」
「必ず会ってこい。」
「御意!」
数日後。
秀吉は柳生の里へ到着した。
静かな山あいにある道場では、一人の剣士が木刀を振っていた。
鋭く、美しい太刀筋。
その男こそ、柳生十兵衛だった。
秀吉は一礼する。
「柳生十兵衛殿。」
十兵衛は振り返る。
「……羽柴秀吉。」
「何の用だ。」
秀吉は真剣な表情で切り出す。
「上様がお呼びです。」
「織田家に力を貸していただきたい。」
十兵衛は静かに目を閉じる。
しばらく沈黙が続いた。
やがて、低い声で答える。
「断る。」
秀吉は驚く。
「なぜです!」
十兵衛は遠くの空を見つめた。
「私は忘れてはいない。」
「あの日を。」
「本能寺。」
秀吉の表情が曇る。
十兵衛は続けた。
「炎に包まれた寺。」
「焼き殺されたと伝えられた織田信長。」
「私は、その記憶を忘れられぬ。」
「そんな男に、再び仕えろというのか。」
秀吉は静かに首を振る。
「違います。」
「上様は、あの日を乗り越えられました。」
「もう昔の信長様ではありません。」
しかし十兵衛は首を横に振る。
「人は、そう簡単には変わらぬ。」
「私は信じない。」
秀吉は深く頭を下げる。
「どうか、一度だけでも上様に会ってください。」
「会ってから決めても遅くはありません。」
十兵衛はしばらく黙っていた。
やがて木刀を手に取る。
「……分かった。」
「一度だけ会おう。」
「だが、その信長が私の知る信長と変わっていなければ、その場で帰る。」
秀吉は安堵の表情を浮かべた。
「ありがとうございます。」
その頃、京では信長が庭を歩いていた。
「柳生十兵衛か。」
「果たして、ワシの言葉は届くか。」
新たな仲間となるのか。
それとも、敵として去るのか。
柳生十兵衛との運命の対面が、静かに近づいていた。
四天王とは?
本作に登場する「四天王」は、足利義昭が密かに育て上げた最強の四人の武将たちです。
それぞれが異なる力を持ち、信長の天下を揺るがすために動き出します。
* 黒鬼玄武 ― 「力」を司る豪将。怪力を武器に信長へ挑んだ四天王の一人。
* 白虎蒼真 ― 「剣」を司る剣豪。比類なき剣技で敵を圧倒します。
* 朱雀炎斎 ― 「武勇」を司る猛将。豪胆な戦いぶりで戦場を駆け抜けます。
* 青龍智玄 ― 「知略・謀略」を司る軍師。策略を巡らせ、信長を追い詰めようとします。
この四天王は史実の人物ではなく、本作オリジナルの敵役です。
果たして信長は、この強大な四天王を相手に天下泰平を守り抜くことができるのか。
今後の物語にも、ぜひご期待ください。




