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もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


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宿命の決戦

本能寺の変から始まった、もう一つの歴史。


信長は幾多の戦いと仲間たちの支えを乗り越え、ついに乱世最後の敵との決着の時を迎える。


互いに異なる理想を抱く信長と斎藤玄真。


天下の未来を懸けた宿命の一戦が、今、その幕を開ける。

第十六話 宿命の決戦


夜明け前の山城。


霧が立ち込める中、織田軍・島津軍連合と第三勢力は互いに陣を構えていた。


静寂を破ったのは信長だった。


「玄真。」


「まだ引き返せる。」


斎藤玄真はゆっくりと首を振る。


「信長様……いや、織田信長。」


「乱世は武士を育て、国を強くしてきた。」


「平和な世では、我らの居場所はなくなる。」


信長は静かに答えた。


「武士とは戦うためだけにいるのではない。」


「民を守るためにこそ、その力を振るうものだ。」


玄真は苦笑した。


「変わられましたな。」


「本能寺で一度死んだ男は、考え方まで変わるということか。」


「そうかもしれぬ。」


信長は刀を抜く。


「だが、余が見た炎は、多くの命を奪った。」


「もう二度と、あの悲劇は繰り返させぬ。」


玄真も刀を構えた。


「ならば証明してみせよ。」


「おぬしの天下が正しいことを。」


次の瞬間、法螺貝が鳴り響いた。


「突撃!」


両軍は一斉に激突する。


弥助は敵兵の前へ躍り出る。


「道を開け!」


大太刀が風を切り、敵兵を次々となぎ倒していく。


その姿に織田軍の士気は一気に高まった。


秀吉は左翼を率い、敵陣へ突撃する。


「押し返せ!」


島津義久も右翼から攻め込み、敵を包囲していく。


戦況は次第に織田軍優勢となった。


その中央では、信長と玄真が激しく斬り結んでいた。


剣と剣が火花を散らす。


互いに一歩も引かない。


玄真が鋭い一撃を放つ。


信長は受け流し、そのまま間合いへ踏み込んだ。


「終わりだ!」


一閃。


玄真の刀が宙を舞う。


勝負は決した。


玄真は静かにひざまずいた。


「……負けました。」


信長は刀を収める。


「命は取らぬ。」


「おぬしも、この新しい世を見届けよ。」


玄真は目を閉じ、小さく笑った。


「最後まで……あなたらしい。」


その言葉を最後に、第三勢力の兵たちは次々と武器を置いた。


長く続いた戦いは終わった。


朝日が山城を照らし、霧はゆっくりと晴れていく。


信長は空を見上げる。


「本能寺から始まった戦いも、ようやく終わる。」


弥助、秀吉、家康、義久、半蔵、官兵衛――。


仲間たちは静かに信長の後ろへ集まった。


信長はゆっくりと振り返り、仲間たちへ語りかける。


「これからは戦ではなく、人を育てる時代だ。」


誰もが力強くうなずいた。


こうして、歴史には記されることのなかったもう一つの天下統一は、大きな節目を迎えたのである。

第十六話をお読みいただき、ありがとうございました。

ついに第三勢力との決戦に終止符が打たれ、信長が目指した「戦ではなく、人を育てる時代」への第一歩が踏み出されました。

本能寺で命を落とすはずだった信長が生き延びたことで、この物語は史実とは異なる未来へと進み続けています。

しかし、天下統一はゴールではなく、新しい国づくりの始まりです。

次話からは、平和になった世で信長や仲間たちがどのような国を築いていくのか、新たな物語が始まります。

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