黒き軍師
島津家との盟約を結び、信長の天下統一は大きく前進した。
しかし、その裏では乱世を終わらせまいとする第三勢力が静かに牙を研いでいた。
服部半蔵がついに敵の拠点を突き止め、信長は島津軍との連合軍を率いて最後の戦いへ向かう。
その先で待ち受けるのは、誰も予想しなかった人物との再会だった。
第十五話 黒き軍師
島津家との盟約が結ばれてから三日。
薩摩の城では、信長と島津義久、秀吉、弥助、黒田官兵衛らが今後の方針を話し合っていた。
「九州は一つになりつつある。」
信長は地図を見つめながら静かに言った。
「だが、第三勢力はまだ姿を現さぬ。」
その時だった。
服部半蔵が慌ただしく広間へ駆け込んできた。
「上様!」
「第三勢力の隠れ里を突き止めました。」
広間に緊張が走る。
官兵衛が地図を広げる。
「場所は日向国の山中……。」
「古い山城を拠点としております。」
信長は立ち上がる。
「出陣の支度を。」
「今度こそ決着をつける。」
その夜。
織田軍と島津軍の連合軍は静かに山中へ進軍した。
月明かりだけが山道を照らす。
先頭を歩く半蔵が手を挙げた。
「止まれ。」
「敵です。」
次の瞬間、矢の雨が降り注ぐ。
「伏せろ!」
弥助が信長をかばい、大太刀で矢を弾き返す。
秀吉は兵をまとめる。
「盾を前へ!」
激しい戦いの末、連合軍は山城へたどり着いた。
すると城門がゆっくりと開く。
中から現れたのは、黒い甲冑をまとった一人の男だった。
「待っていたぞ、織田信長。」
低く響く声。
男の背後には数百の兵が並んでいる。
信長は馬を進めた。
「おぬしが首領か。」
男は仮面を外す。
そこにいたのは、かつて織田家に仕えた軍師だった。
本能寺の変の混乱で消息を絶ち、戦死したと伝えられていた男――
斎藤玄真。
「久しいな、信長。」
広間にいた誰もが驚きを隠せなかった。
「生きていたのか……。」
秀吉が思わず声を漏らす。
玄真は静かに笑う。
「乱世が終われば、武士は行き場を失う。」
「だから私は、この戦乱を終わらせるわけにはいかぬ。」
信長は静かに刀の柄へ手を置いた。
「それがおぬしの望みか。」
「ならば余は、おぬしを止めよう。」
玄真も刀を抜く。
「天下の未来を懸けよう。」
山城に吹く風が二人の間を駆け抜けた。
こうして、本能寺の変から続いてきた”もう一つの歴史”は、最後の敵との決戦へ向かって大きく動き始めた。
第十五話をお読みいただき、ありがとうございました。
ついに第三勢力の首領が姿を現し、物語は新たな局面へと進みました。
その正体は、かつて織田家に仕えたとされる軍師・斎藤玄真。乱世を終わらせたくないという信念を抱く彼と、平和な天下を築こうとする信長の思想が真正面からぶつかります。
次話では、信長と斎藤玄真の宿命の対決が始まります。天下の未来を懸けた最後の戦いが、いよいよ幕を開けます。




