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もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


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薩摩の盟約

九州へ渡った織田信長は、島津家との対話によって新たな時代を切り開こうとしていた。


戦ではなく、言葉で未来を築く――。


それが信長の目指す天下である。


しかし、その理想を阻もうとする謎の第三勢力が、闇の中で静かに動き始めていた。


薩摩の地で結ばれる盟約は、天下の運命を大きく変えることになる。

第十四話 薩摩の盟約


朝霧に包まれた薩摩の城下町。


織田信長一行は、島津家の居城へと足を踏み入れた。


城門の前には、島津家の精鋭たちが整列している。


その中央に立つ男――島津義久。


「ようこそ、織田殿。」


義久は静かに一礼した。


信長もまた礼を返す。


「島津殿。本日は戦ではなく、未来を語るために参った。」


二人は広間へ案内され、家臣たちが見守る中で向かい合った。


義久が口を開く。


「本能寺で命を落としたと思っていたお方と、こうして相まみえるとは思いませんでした。」


信長は微笑む。


「余もまた、生きておればこそ、この場にいる。」


しばらく沈黙が流れる。


やがて義久は率直に尋ねた。


「織田殿は、九州を武力で従わせるおつもりですか。」


信長は首を横に振る。


「違う。」


「余が望むのは、争いのない国だ。」


「天下とは、民が笑って暮らせる世である。」


その言葉に、義久は深く考え込んだ。


一方その頃。


城下町の外れでは、不穏な動きがあった。


黒い装束に身を包んだ男たちが密かに集まっている。


「会談を成功させるな。」


「信長と島津が手を結べば、我らの居場所はなくなる。」


仮面を着けた首領が静かに命じた。


「今夜、信長を討つ。」


その夜。


信長たちが宿泊する館を黒装束の集団が取り囲む。


「かかれ!」


一斉に襲いかかる刺客。


しかし、その気配に最初に気づいたのは弥助だった。


「上様、お下がりください!」


弥助は大太刀を抜き放ち、刺客たちの前へ立つ。


次々と迫る敵を豪快な一撃で退ける。


秀吉も槍を手に加勢する。


「信長様には指一本触れさせぬ!」


半蔵率いる忍びたちも屋根の上から敵を制圧していく。


激戦の末、刺客たちは敗走した。


しかし、一人だけ捕らえられた男は不敵に笑う。


「我らを倒しても無駄だ……。」


「真の敵は、もう動き始めている。」


そう言い残すと、毒を飲んで息絶えた。


翌朝。


信長はその亡骸を見つめながら静かにつぶやく。


「乱世を終わらせようとすれば、必ずそれを望まぬ者が現れる。」


義久は信長の隣に立つ。


「織田殿。」


「この戦い、島津も共に歩みましょう。」


信長は力強くうなずいた。


「ありがとう、島津殿。」


こうして織田家と島津家は固い盟約を結ぶ。


だが、姿を見せぬ第三勢力の首領は、さらに大きな陰謀を巡らせていた。


天下統一まで、あと一歩。


しかし、その最後の一歩こそが、最も険しい道となろうとしていた。

第十四話をお読みいただき、ありがとうございました。

信長と島津義久は互いの真意を語り合い、歴史を変える盟約を結びました。一方で、乱世を終わらせたくない第三勢力もついに姿を現し、その陰謀はさらに深まっていきます。

弥助や秀吉、服部半蔵の活躍により信長は危機を乗り越えましたが、本当の戦いはまだ始まったばかりです。

次話では、第三勢力の首領の正体が少しずつ明らかになり、信長たちは乱世最後の敵との決戦へ向けて動き出します。

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