↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/122

三人の信長、語り合う

本能寺で再び出会った三人の信長。


同じ顔を持ちながら、それぞれ違う人生を歩んできた三人は、ついに刀ではなく、言葉で向き合いました。


現在を生きる信長。


未来を生きた信長。


そして、選ばれなかった未来を生きた信長。


三人が抱えていたのは、天下への欲望だけではありませんでした。


「自分の選択は、本当に正しかったのか」


そんな迷いと後悔でした。


しかし、三人は互いの人生を否定するのではなく、それぞれの道を認めることを選びます。


そして本能寺は、またしても歴史を変える場所となりました。


けれど、物語はここで終わりません。


本能寺の戦いが終わった今、信長たちは再び日本から世界へ目を向けます。


ヴァルディア帝国。


黒き兵団。


時の鍵。


そして、謎の「第四歴史」。


さらに最後に現れた、四人目の信長の肖像画。


三人の信長が別々の未来へ戻ったと思った矢先、もっと大きな歴史の謎が姿を現しました。


次に信長たちを待っているのは、日本の戦だけではありません。


世界そのものを巻き込む、新たな戦いです。


そして、もし四人目の信長が本当に存在するのなら――。


その信長は、いったい何を望んでいるのでしょうか。


天下なのか。


復讐なのか。


歴史の支配なのか。


それとも、三人の信長とはまったく違う「何か」なのか。


本能寺から始まった旅は、まだ終わりません。


むしろ――


ここからが、本当の世界編の始まりです。

第百十七章


三人の信長、語り合う ― 選ばれなかった未来


本能寺の門が、ゆっくりと閉じていった。


外の世界から、音が遠ざかる。


兵士たちのざわめき。


風の音。


遠くで鳴く鳥の声。


すべてが、まるで別の世界へ切り離されたように消えていく。


本能寺の境内には、三人の信長が立っていた。


一人は、今を生きる信長。


一人は、未来を生きた信長。


そしてもう一人は――。


「選ばれなかった未来の信長」


そう名乗った男。


三人とも同じ顔をしている。


同じ目。


同じ声。


同じ立ち姿。


それなのに、誰も同じ人間には見えなかった。


幸村は槍を構えたまま、三人を見比べていた。


「……本当に、信長様が三人いる」


天狼は周囲を警戒している。


「油断するな」


「三人とも同じ顔だが、同じ人物とは限らない」


ルーカスは時の鍵を握りしめていた。


鍵は、今まで見たことがないほど強い光を放っている。


「この場所そのものが、時間の境界になっています」


幸村が振り返る。


「時間の境界?」


「過去と現在と未来が、ここで重なっているんです」


「だから三人の信長が同時に存在できる」


信長は静かに第三の信長を見つめていた。


「お前は、何をしに来た」


第三の信長は答えなかった。


ただ、信長を見ている。


長い沈黙。


やがて、第三の信長が口を開いた。


「まずは、お前と話がしたい」


「話?」


「ああ」


「戦うのではなく?」


「戦うことなど、いつでもできる」


第三の信長は笑った。


「だが、話す機会は少ない」


信長は刀を下ろした。


幸村が驚く。


「信長様?」


「よい」


「話を聞こう」


第三の信長は、本能寺の奥へ歩いていく。


「ついてこい」


信長も続く。


幸村、天狼、ルーカスも後に続いた。


本能寺の奥には、古い部屋があった。


そこには誰もいない。


ただ一枚の大きな机と、三つの椅子が置かれていた。


第三の信長が中央の椅子に座る。


現在の信長も、その向かいに座った。


そして――。


もう一人の信長。


未来の信長の姿が、部屋の奥に現れた。


「……!」


幸村が驚く。


「未来の信長様!」


未来の信長は静かに歩いてくる。


「久しぶりだな」


現在の信長が言う。


「まさか、ここに来るとはな」


未来の信長は微笑んだ。


「私も驚いている」


「どうやって来た」


「時の門が開いた」


ルーカスが尋ねる。


「あなたが開いたんですか?」


「違う」


未来の信長は首を横に振る。


「私ではない」


「では誰が?」


三人目の信長が答えた。


「私だ」


部屋の空気が変わった。


ルーカスが息を呑む。


「第三の信長が……」


「そうだ」


第三の信長は時の鍵を見る。


「これが必要だった」


「時の鍵を使って、三つの時間を重ねた」


現在の信長が尋ねる。


「なぜだ」


「お前たちに会うためだ」


「それだけか?」


「それだけではない」


第三の信長は立ち上がった。


「私は、自分が正しいのか知りたい」


その言葉に、現在の信長は少し驚いた。


「正しい?」


「ああ」


「私は長い間、自分の選択が正しいと思っていた」


「だが、時間を越えるたびに、別の未来が生まれた」


「その未来を見るたびに、分からなくなった」


「何が正しいのか」


第三の信長は窓の外を見る。


「天下統一を目指した」


「それが正しいと思った」


「戦を続けた」


「それも必要だと思った」


「敵を倒した」


「国を守るためだと思った」


「しかし――」


第三の信長は拳を握った。


「守ったはずの国で、多くの人間が死んだ」


部屋が静まり返る。


幸村は何も言わなかった。


未来の信長が静かに尋ねる。


「お前も、同じものを見たのか」


第三の信長は答える。


「いや」


「私が見たのは、お前とは違う未来だ」


「私は戦をやめなかった」


「戦を続ければ、敵がいなくなると思った」


「だが、敵を倒すたびに、新しい敵が生まれた」


現在の信長が言う。


「人間は、敵を作る」


「そうだ」


第三の信長が笑う。


「だから私は、敵をすべて消そうとした」


幸村が驚く。


「そんな……」


「だが、それは不可能だった」


「人間がいる限り、考え方は違う」


「欲望も違う」


「恐怖も違う」


「守りたいものも違う」


第三の信長は椅子へ戻った。


「そこで私は、別の方法を考えた」


現在の信長が聞く。


「何だ」


「歴史そのものを一つにする」


未来の信長が眉をひそめる。


「私と同じことを考えたのか」


「似ている」


第三の信長は未来の信長を見る。


「だが、私の方法は違った」


「私は、人々を管理するのではなく、歴史の分岐そのものを消そうとした」


ルーカスが青ざめる。


「それは……」


「つまり、可能性を一つにするということですか?」


「ああ」


「もし未来が一つしかなければ、争いは起きない」


現在の信長が言う。


「それは平和ではない」


第三の信長を見る。


「ただの停止だ」


第三の信長は笑った。


「その通りだ」


「だから私は失敗した」


未来の信長が呟く。


「私たちは、同じ間違いをした」


「そうかもしれない」


三人の信長が沈黙した。


幸村は、信長たちの会話を聞いていた。


いつもの戦いとは違う。


刀を振る必要もない。


槍を構える必要もない。


ただ、言葉だけが交わされている。


しかし――。


その言葉一つ一つが、刀よりも重かった。



現在の信長が尋ねた。


「では、お前は何を求めている」


第三の信長はすぐに答えなかった。


やがて、静かに言った。


「答えだ」


「何の?」


「私が生きた意味だ」


信長は黙った。


第三の信長は続ける。


「私は多くのものを捨てた」


「家臣」


「友」


「国」


「そして、自分自身さえも」


「最後には、私は何のために生きているのか分からなくなった」


未来の信長が言った。


「だから、私たちを呼んだのか」


「ああ」


「お前たちを見れば、私の選択が間違っていたのか分かると思った」


現在の信長は第三の信長を見つめる。


「余に答えを求めるな」


「なぜ?」


「お前の人生は、お前が決めたものだ」


「余に正しいか間違っているかを決める資格はない」


第三の信長は少し笑った。


「やはり、お前はそう言うか」


「どういう意味だ」


「私も昔は、そう考えていた」


「自分の道は自分で決める」


「それが信長だった」


「だが、長く生きるほど、人は迷う」


「迷えば、他人の答えが欲しくなる」


現在の信長は頷く。


「分かる」


幸村が少し驚いた。


信長が「分かる」と言うのは珍しかった。


信長は続ける。


「余も迷った」


「未来を見た時」


「もう一人の余を見た時」


「そして、世界へ出た時」


「余が本当に正しいのか、分からぬことが何度もあった」


「だが――」


信長は自分の胸へ手を当てる。


「迷っても、進むしかない」


「答えが分からぬから止まるのではない」


「分からぬままでも、選ぶ」


第三の信長は、その言葉を聞いていた。


「……選ぶ」


「ああ」


「選び続ける」


「それが、生きるということだ」


未来の信長も頷いた。


「私も、そう思う」


第三の信長は二人を見る。


「ならば、私はまだ選べるのか」


「当然だ」


現在の信長は答えた。


「過去に何をしたかなど関係ない」


「これから何をするかだ」


第三の信長は目を閉じた。


長い沈黙。


そして――。


「そうか」


小さく呟いた。


「まだ、終わっていないのか」



その時。


外から大きな音が響いた。


ドォォォン!


建物が揺れる。


幸村が立ち上がった。


「何だ!」


天狼が刀を抜く。


「敵襲か!」


ルーカスが時の鍵を見る。


「違います!」


「時間そのものが揺れています!」


信長が立ち上がる。


「どういうことだ」


「三つの時間が重なったことで、境界が崩れ始めています!」


未来の信長が表情を変える。


「まずい」


第三の信長も立ち上がる。


「もう始まったか」


現在の信長が尋ねる。


「何が始まった?」


第三の信長は答えた。


「第四の歴史だ」


「第四?」


ルーカスが聞き返す。


「三つの歴史が重なったことで、新しい可能性が生まれた」


「このままでは――」


第三の信長は外を見る。


「この世界そのものが、どの歴史にも属さない世界になる」


幸村が困惑する。


「どういう意味です?」


未来の信長が説明する。


「例えば、本能寺で私が死ぬ歴史」


「本能寺で現在の信長が生きる歴史」


「そして第三の信長が生きた歴史」


「それらが混ざれば、どれが本当の歴史なのか分からなくなる」


天狼が言った。


「歴史が混乱する?」


「そうだ」


未来の信長が頷く。


「人間だけではない」


「場所も、出来事も、記憶も混ざる」


「戦国時代に未来の建物が現れるかもしれない」


「未来に戦国の軍勢が現れるかもしれない」


幸村が目を見開く。


「それでは世界中が……」


「混乱する」


現在の信長は即座に判断した。


「止めるぞ」


第三の信長を見る。


「方法は?」


第三の信長は答える。


「三人のうち、一人が時の門を閉じる」


「誰が?」


「それは――」


第三の信長は言葉を止めた。


現在の信長が聞く。


「誰だ」


「三人のうち、誰か一人が、自分の歴史を捨てなければならない」


部屋が静まり返る。


幸村の顔が変わった。


「歴史を……捨てる?」


「つまり、その人間は存在しなかったことになる」


ルーカスが息を呑む。


「それでは……」


「その人物の記憶も、存在も、すべて消える」


現在の信長は第三の信長を見る。


「お前は、それを知っていて余たちを呼んだのか」


第三の信長は答えなかった。


未来の信長が言う。


「だから、私たちを呼んだのだな」


「誰か一人を消すために」


第三の信長は拳を握る。


「そうだ」


「私は、一人では決められなかった」


現在の信長は静かに笑った。


「なるほど」


「随分と都合のよい話だ」


「え?」


「余たちに決めさせるつもりか」


第三の信長は答えない。


信長は立ち上がる。


「ならば、余が決める」


幸村が驚く。


「信長様!」


信長は時の門を見る。


「余が消える」


「駄目です!」


幸村が叫ぶ。


「なぜです!」


「余は、この世界を守る」


「ならば――」


「余が消えればよい」


幸村は首を横に振った。


「そんなことを言わないでください!」


「信長様がいなければ、私たちは――」


信長は幸村を見る。


「幸村」


「はい……」


「お前は、自分で生きろ」


「信長様……」


「誰かに人生を決めてもらうな」


「それは、余が一番嫌うことだ」


幸村は涙をこらえていた。


「でも……」


「これは命令ではない」


信長は微笑んだ。


「頼みだ」


幸村は何も言えなかった。


その時。


未来の信長が前へ出た。


「私が消える」


現在の信長が振り返る。


「何?」


未来の信長は笑った。


「私の世界は、すでに一度終わっている」


「私は未来を間違えた」


「ならば、私が消えることで未来を救えるなら、それでいい」


第三の信長も言う。


「私が消える」


現在の信長が二人を見る。


「お前たちは――」


未来の信長は答える。


「お前には、まだ仲間がいる」


第三の信長も続ける。


「お前には、まだ未来がある」


「だから、お前が残れ」


三人の信長が、互いを見る。


誰も刀を抜かない。


誰も戦わない。


ただ、三人が立っている。


そして――。


現在の信長が笑った。


「馬鹿な奴らだ」


未来の信長も笑う。


「お前もな」


第三の信長も笑った。


「三人とも、信長だからな」


幸村は、その光景を見ていた。


三人は敵ではなかった。


少なくとも、今この瞬間だけは。


三人とも同じことを考えている。


誰かを犠牲にするのではなく――


誰も消さずに済む方法を探したい。


ルーカスが突然叫んだ。


「待ってください!」


全員が振り返る。


「方法があります!」


「本当に?」


「はい!」


ルーカスは時の鍵を掲げた。


「時の鍵は、三つの時間をつなぐためのものです」


「でも、三つの歴史を一つにする必要はありません」


「分岐したまま、共存させればいい」


第三の信長が驚く。


「そんなことができるのか?」


「理論上は」


「理論上?」


「実際にできるかは分かりません」


信長が笑った。


「いつものことだな」


ルーカスも苦笑する。


「はい」


「ですが、一つだけ条件があります」


「何だ」


「三人の信長が、自分の未来を一つにしないこと」


「それぞれの道を認める必要があります」


未来の信長が言う。


「つまり……」


「私は私の未来へ戻る」


「第三の信長は、自分の未来へ戻る」


「そして現在の信長は、この時代へ戻る」


「その通りです」


現在の信長は頷いた。


「それなら簡単だ」


第三の信長が聞く。


「本当にそう思うのか?」


「ああ」


「お前は?」


第三の信長はしばらく考えた。


そして――。


「私も、自分の未来へ帰る」


未来の信長が笑う。


「ようやく決めたな」


「何を?」


「自分の道を」


第三の信長は微笑んだ。


「そうだな」


三人の信長が、最後に向き合う。


現在の信長。


未来の信長。


第三の信長。


三人は同時に手を伸ばした。


それぞれの手が重なる。


時の鍵が、まばゆい光を放った。


本能寺の空が白く染まる。


過去。


現在。


未来。


三つの時間が分離していく。


未来の信長の姿が薄くなる。


第三の信長の姿も薄くなる。


幸村が叫ぶ。


「信長様!」


現在の信長が振り返る。


「幸村!」


「はい!」


「これからも頼むぞ」


幸村は涙を浮かべながら笑った。


「もちろんです!」


天狼も頭を下げる。


「どこまでもお供します」


ルーカスも笑う。


「次は、もう時間旅行は勘弁してください」


信長が笑った。


「それは無理だな」


「やっぱりですか……」


未来の信長が最後に言う。


「織田信長」


現在の信長が見る。


「何だ」


「お前は、今を生きろ」


第三の信長も続ける。


「そして、自分の選択を恐れるな」


現在の信長は頷いた。


「お前たちもな」


光が強くなる。


二人の信長の姿が消えていく。


最後に、第三の信長が微笑んだ。


「また、どこかで会おう」


信長は答えた。


「ああ」


「その時は――」


「酒でも飲もう」


第三の信長が笑った。


そして消えた。


未来の信長も消えた。


本能寺に静寂が戻る。


時の鍵の光も消えていた。


幸村が呟く。


「終わった……?」


ルーカスは鍵を見る。


「おそらく」


天狼が周囲を見る。


「本当に?」


信長は空を見上げた。


朝日が昇り始めている。


「終わったのではない」


幸村が聞く。


「では?」


信長は笑った。


「また始まったのだ」



本能寺の外。


黒い旗を掲げていた兵士たちは、武器を置いていた。


新織田同盟の指導者だった男も、静かに膝をついている。


「我々は……」


男は呟いた。


「歴史を正すつもりだった」


信長はその男を見る。


「歴史は、お前たちが決めるものではない」


「では、誰が決める?」


「誰も決めぬ」


「人が、それぞれ生きる」


「その結果が歴史になる」


男は俯いた。


「……分かりました」


信長は兵士たちを見る。


「武器を捨てた者は殺さぬ」


「だが、二度と民を傷つけるな」


兵士たちは次々と武器を置いた。


黒い旗が、一本。


また一本。


地面へ落ちていく。


やがて、本能寺の境内から黒い旗は消えた。


幸村がそれを見つめる。


「これで、日本も少しは静かになりますかね」


信長は答える。


「そう願いたい」


天狼が言う。


「しかし、ヴァルディア帝国は残っています」


ルーカスも頷く。


「そして世界には、まだ謎が多すぎます」


信長は海の方向を見る。


「そうだな」


「世界へ行ったばかりなのに、もう日本へ戻ってきた」


幸村が笑う。


「忙しい旅ですね」


「だが――」


信長は遠くを見る。


「世界は待っている」


「ヴァルディア帝国」


「黒き兵団」


「時の鍵」


「そして、まだ見ぬ国々」


「余たちの旅は、終わっていない」


幸村は槍を肩に担ぐ。


「では、次はどこへ?」


信長は少し考える。


そして――。


「海へ戻る」


「また海外ですか?」


「ああ」


「世界を知るには、世界を歩かねばならぬ」


幸村は笑った。


「分かりました」


天狼も頷く。


「どこまでも」


ルーカスはため息をついた。


「本当に休む暇がありませんね」


信長は笑う。


「それが人生だ」


朝日が、本能寺を照らしていた。


かつて炎に包まれた場所。


歴史の終わりと呼ばれた場所。


しかし今、その場所には炎ではなく朝日が差し込んでいる。


本能寺は、終わりの場所ではなかった。


始まりの場所だった。


一人の信長が生き残り。


二人の信長と出会い。


三つの未来を知った。


そして今――。


信長は、また一人の信長として歩き出す。


誰かに決められた道ではない。


未来に縛られた道でもない。


過去に縛られた道でもない。


自分で選んだ道。


その先に何があるのか。


まだ誰にも分からない。


しかし、信長は恐れなかった。


「行くぞ」


その一言で、幸村たちも歩き始める。


本能寺を後にして。


日本の未来へ。


そして――


まだ見ぬ世界へ。


だが、誰も知らなかった。


本能寺から遠く離れた場所。


海の向こう。


ヴァルディア帝国の地下深く。


一人の男が、静かに目を開けていた。


その男の前には、三つの肖像画が並んでいる。


一人目。


現在の信長。


二人目。


未来の信長。


三人目。


選ばれなかった未来の信長。


男は三枚の肖像画を見ながら笑った。


「三人とも、生き残ったか」


隣にいた兵士が尋ねる。


「計画は失敗したのでしょうか?」


男は首を横に振る。


「いいや」


「むしろ、成功だ」


「成功……?」


男は四枚目の布を取り払った。


そこには――


四人目の信長の肖像画が描かれていた。


兵士が息を呑む。


「これは……」


男は笑った。


「まだ始まったばかりだ」


「本当の信長は――」


「これから現れる」


地下深くで、巨大な装置が動き始めた。


ゴォォォン……。


赤い光が灯る。


時の鍵と同じ紋章。


そして、その中央に表示された文字。


「第四歴史、起動」


男は静かに呟いた。


「次は、世界そのものを変える」


その瞬間――。


海の向こうで、巨大な鐘が鳴った。


新たな時代の到来を告げるように。


本能寺から始まった物語は、


ついに――


四つ目の歴史へ向かって動き始めた。

次回も楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。