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2年前のトラウマに囚われたら、幻覚が話しかけてくるようになった  作者: スズミヤ


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3/6

無駄に溶けるアイスクリーム

【前回までのあらすじ】


2025年1月1日。キョウラは初詣でナユキと出会う。ピンクの着物を着た彼女と一緒に神社へ行き、二人でお願い事をした。


ナユキが人混みの中へ消えた後、キョウラの両親は奇妙な反応を見せる。何かを知っているかのような沈黙。


キョウラはまた、あの胸の奥の違和感を感じる――。

今日 2025年1月中旬。期末試験の2週間前。


空気はさらに冷たさを増していた。学校の中はひどく重い雰囲気だった。いつもは騒がしい廊下も、今は教科書を手にした3年生たちが急ぎ足で行き交うだけだ。


僕は図書館で追加の参考書を借りて、教室へ戻る廊下を歩いていた。すると、掲示板の前に一人の少女が立っているのが見えた。新しく貼られた試験日程を真剣に読んでいるようだ。


「大変だよね、日程がぎっしりで。」


少女はこちらを見ずに言った。


ナユキだった。彼女はきちんと制服を着こなし、こちらを向いてそっと微笑んだ。


「キョウくん、図書館から帰ってきたの?真面目だね。」


彼女はそう言いながら、歩調を合わせて隣に並んだ。


しかし、教室の前に着くと、彼女は立ち止まって手を振った。


「じゃあ、休み時間にね、キョウくん。私、こっちの教室だから。」


彼女は隣の教室へと入って行った。僕は一瞬、その後ろ姿を見つめてから、自分の教室へと足を踏み入れた。彼女が残してくれた束の間の温もりを感じながら。


日々は、山積みの教科書の重圧の下であっという間に過ぎていった。


下校のベルが鳴ると、外の空はもう青白いオレンジ色に変わっていた。荷物をまとめていると、いつものようにナユキが校門の近くで待っていた。


「帰ろう、キョウくん。」


僕たちは凍てつく歩道を並んで歩き、住宅街へと向かった。道すがら、いつものコンビニの前を通りかかった。


「ちょっとここで待ってて。お菓子を買ってくる。」


「うん、私はここで待ってるね。」


ナユキはそう言って、自販機のそばに背中を預けた。


「何も買いたいものないから。」


僕は温かい店内へと足を踏み入れた。冷凍食品の棚を通りかかったとき、目が留まった。期間限定の冬のアイスクリーム。


――そうだ、これを彼女にあげよう。


僕はアイスクリームを2つと、他にもいくつかお菓子を買って、すぐにレジへ向かった。


自動ドアが開き、僕はすぐにナユキが立っていた場所を見た。


「ユキ、これアイス――」


言葉が止まった。


そこには誰もいなかった。自販機のそばは空っぽだった。


僕はキョロキョロと左右を見回した。彼女が着ていた学生服の姿を探した。


――寒いから、ちょっと散歩してるだけかもしれない。


僕はコンビニの駐車場をぐるっと回り、脇の小さな路地まで覗いてみた。


でも、何も見つからなかった。


ナユキは完全に消えていた。


僕は数分間、道端に立ち尽くしていた。アイスクリームが入ったビニール袋が、手のひらを冷やし始める。


ずっと胸の奥にあったあの違和感が、今は不安に変わっていた。


結局、僕は重い足取りで、混乱した気持ちのまま、一人で家に帰ることにした。


帰り道、僕が買ったアイスクリームはビニール袋の中でゆっくりと溶けていった。


まるで、ぼやけて、もう何が何だかわからなくなっていく僕の記憶のように。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。


明日、残り3話を公開して、この物語は完結します。

ぜひ最後までお付き合いいただければ嬉しいです。


どうぞお楽しみに。

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