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第三十二話 魔王領入植計画(仮)

 首相官邸。


 会議室のスクリーンには、魔王領の調査データが映し出されていた。


「試掘の結果、複数地点で原油の存在を確認。油田の推定埋蔵量は数十億バレル規模と推定されています」


 経済産業省の担当者が報告する。


「可採埋蔵量は未確定ですが、開発を検討する価値は十分にあると考えられます」


「北辰国の北は、本当に無主地なんだな?」


「はい。定住者は確認されておらず、北辰国の実効支配も及んでいません。領有を主張する国家も存在しません」


「ならば、入植は可能と考えるべきでしょうな」


「ただ、魔物の生息地であるという厄介な問題があります。資源開発にも、拠点の防衛にも、対策が必要となります」


「それについては別途検討が必要だな。食料生産については?」


「気候や土壌については未だ不明な点が多く、現段階での判断は……。ただ、現地で生産体制を確立できれば、長期的な供給源になります」


 首相はスクリーンを見上げた。


「燃料も食料も、待ったなしだ。調査団を送り続けるだけでは限界がある」


「恒久的な拠点を設ける、ということですか」


「ああ。資源開発を進め、将来的には農地としての開発も目指す。関係省庁で計画をまとめてくれ」


「承知しました」



 葦原 日本国大使館。

 (旧・在葦原日本国連絡事務所)


「は、はあ。承知しました。はい……」


 ガチャリ。


「どこからだ?」


「ジェプニア外務省からです」


「どんな用で?」


「ヴァルデン帝国が、我が国との接触を希望しているそうです」

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