第二十九話 地竜
野営地を出発した一行は、調査地点へ向かっていた。
「少佐!」
「どうした」
「前方、およそ200m。地竜と思われます」
「地竜か」
鈴木少佐が日本側へ振り向いた。
「前方に、地竜がいるそうです」
「地竜?」
「魔王領では稀に遭遇する魔物です。縄張り意識が強いので、刺激せずに離れたほうがいいでしょう」
「危険なんですか?」
「十年ほど前の大規模な魔物討伐でも確認されています。そのときは、砲兵が仕留めたそうです」
「砲兵ですか……」
「ただ、こちらから近づかなければ、基本的に襲っては来ません」
「重MATは?」
「距離が近すぎます。それに、ジェプニア兵を巻き込むおそれがあります」
「では、先に兵を下げましょう」
「了解」
「前方に進出しているジェプニア軍の退避が完了次第、こちらも下がります」
「地竜がこちらを見ています!」
「左右に分かれてやり過ごせ」
「……動きました! 来ます!」
「ジェプニア軍、退避完了とのことです!」
「目標、前方地竜。距離170。射撃用意!」
89式装甲戦闘車の砲塔が地竜へ向く。
「……撃て!」
エリコン35mm機関砲が火を噴いた。
ダダダダダッ!
地竜の巨体が揺れる。
「撃ち方止め! 効果確認!」
「目標、尚も健在。こちらに向かっています!」
「……続けて撃て!」
ダダダダダッ!
地竜の巨体が大きくよろめき、その場に倒れた。
「目標、沈黙!」
「……」
鈴木少佐が倒れた地竜を見る。
「体表の硬い地竜の中でも、この個体は異常です……」
「異常、ですか……」
車列は再び、前進を開始した。
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