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第二十四話 転移国家

 神聖アルヴェイン王国

 第二外務局 第二外務卿執務室。


「……日本?」


「ジェプニア共和国が、先日正式に国交を結んだ国家だそうです」


「聞いたこともないな。どこにあるんだ?」


「ジェプニアの南、東方諸国のさらに東、と」


「……」


 第二外務卿は報告書に目を落とした。


「人口は、およそ1億2000万人です」


「1億2000万?」


「はい」


「……馬鹿な」


「ジェプニアからの資料には、そうあります」


「人口が一億を超える国など、景華国だけだろう」


「その認識で間違いありません」


「我が国でも4000万人なんだぞ」


「はい」


「それを遥かに上回る国が、東方のさらに東にあるとでも?」


「ジェプニア側は、そう主張しています」


「……そんなわけがないだろう」


 第二外務卿は報告書を机に置いた。


「では、誤情報でしょうか」


「お前は本当だと思うか?」


「……思いません」


「私もだ」


 第二外務卿は鼻で笑った。


「ジェプニアも遂にプロパガンダに手を出したか」


「調査は続けますか?」


「不要だ」


────────────────────


 ヴァルデン帝国。


 帝国外務省にも、同様の報告が届いていた。


「日本、ですか」


「はい」


「ジェプニアの南方。東方諸国のさらに東……」


「そのようです」


「人口は?」


「およそ1億2000万です」


「景華国と同じ規模じゃないか」


「はい。工業力はジェプニア以上だそうです」


「人口が多いからな。工業力が高いのも納得だ」


「そこが……技術水準もジェプニアを上回るようです」


「ほう……」


「ただ、ジェプニア側からの情報ですので、どこまで正確かは分かりませんが」


「それでも面白いじゃないか」


「……そうですか?」


「ジェプニア以上か……」


「では、調査員を送りますか?」


「まだいい」


「よろしいのですか?」


「ただ、情報は集めておこう。ジェプニアにいる外交官からの報告が楽しみだ」


「新聞記者も現地の情報を集めているようです」


「それなら、新聞やラジオの内容も楽しみだな」


 男は笑った。


「本当にそのような国があるのなら、どんなものか見てみたいものだ」

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