第二十二話 国交樹立
外務省。
ジェプニア共和国から国交樹立の打診を受けてから、一週間。
両国の外交担当者は、国交樹立に伴う文書の内容や、外交使節の交換などについて、細かな擦り合わせを続けていた。
「先方から、最終案について回答が来ました」
「修正点は?」
「ありません。こちらの案で合意するとのことです」
「これで纏まりましたか」
「はい。通商や科学技術などの協定については、国交樹立後に改めて協議するということで一致しています」
「分かりました。それでは、予定どおり進めましょう」
「はい」
首相官邸 大ホール。
国交樹立に向けた最終会談を控え、日本側の代表が待機していた。
内閣総理大臣と外務大臣、その他外務省の関係者が数名、席についていた。
「そろそろですね」
「ええ」
扉の外から、声が聞こえた。
「ジェプニア共和国代表団の皆様がお見えです」
「お通ししてください」
扉が開く。
ジェプニア共和国の代表団が入室してきた。
先頭には、ジェプニア共和国の首相がいる。
濃色のフロックコートに身を包み、落ち着いた表情で室内へ入ってくる。
「本日は、遠いところお越しいただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、お招きいただきありがとうございます」
両国の代表が握手を交わす。
「それでは、どうぞお席へ」
「失礼いたします」
「本日は、日本国とジェプニア共和国との外交関係樹立について、最終的な確認をさせていただきたいと思います」
「はい。ジェプニア共和国としても、同じ認識です」
外務大臣が文書を手元に置く。
「先日からの協議で、文面についてはいずれも合意に達したものと考えておりますが、如何でしょうか」
「はい。こちらでも確認しております」
「それでは、最終案を確認しましょう」
総理が文書に目を通す。
「日本国とジェプニア共和国は、相互の主権と独立を尊重し、両国間に正式な外交関係を樹立する」
「異存ありません」
「また、双方は、それぞれの首都に外交使節を置くため、必要な措置を講じる」
「同意します」
「通商、科学技術、文化交流その他の分野については、今後、必要に応じて協議する」
「我が国としても、その方針を希望いたします」
「それでは、これをもって最終確認と致します」
「日本国政府は、ジェプニア共和国との国交樹立を歓迎します」
「ジェプニア共和国政府も、日本国との正式な外交関係の樹立を歓迎いたします」
「では、署名をお願いします」
日本側が文書に署名する。
続いて、ジェプニア側も署名した。
「これをもって、日本国とジェプニア共和国との外交関係が正式に樹立されました」
「ありがとうございます」
「こちらこそ。今後とも、よろしくお願いいたします」
両国の代表が、再び握手を交わした。
会談を終え、ジェプニア共和国代表団が退室する。
「総理、11時45分から記者会見の予定です」
「分かりました」
初接触から一か月。
日本とジェプニア共和国は、正式な外交関係を結んだ。
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