第二十話 宇宙
種子島宇宙センター。
日本の転移から、およそ一か月が経過した。
発射場には、H3ロケットが立っていた。
その先端には、ハイパースペクトルセンサーを搭載した、資源探査衛星が収められている。
竹崎発射管制棟。
「追跡系、確認」
「機体系、オールグリーン」
『ウォーターカーテン作動』
『フレームデフレクタ作動』
『フライトモードオン』
『全システム準備完了』
『10』
『9』
『8』
『7』
『メインエンジンスタート』
『5』
『4』
『3』
『2』
『1』
『SRB-3点火、リフトオフ』
その瞬間、発射台の向こうに強烈な光が現れた。
H3が、ゆっくりと上昇を始める。
「おぉ……」
見学エリアの人々が、声を漏らす。
ロケットは白煙を引きながら、少しずつ空へ上がっていく。
誰もが、その姿を目で追っていた。
十秒ほど遅れて、轟音が響いた。
「……!」
周囲から歓声が上がる。
遅れて届いた音が、地面まで震わせる。
白い噴煙が、空へと伸びていった。
見学者たちは、それを見上げたままだった。
管制室では、次の段階へ移っていた。
「機体、正常」
「ロールプログラム、スタート」
「マックスQ」
「SRB分離」
「SRB分離、確認」
3分経過。
「フェアリング分離」
「フェアリング分離、確認」
ロケットはさらに上昇する。
「MECO」
「第1段・第2段分離」
「SELI」
「よし……」
見学エリアでは、もうロケットを見ることはできなかった。
それでも、人々はまだ空を見上げている。
10分後。
「SECO」
「衛星分離」
「衛星分離、確認」
「ああ……」
「成功だ」
管制室は、大きな拍手と安堵の笑顔に包まれた。
日本は、再び宇宙に足を踏み出した。
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