第七十二話 冷却水の道
冷却循環系の閉塞箇所へ向かうことになった。
康生たちが接続室を出ると、練馬施設の低い機械音がまた身体に触れた。
人の声ではない。
風の音でもない。
壁の奥、床の下、配管の向こうで何かが細く動き続けている音。
眠っている炉の呼吸。
そう思うと、少し気持ち悪い。
「地下二層へは、こちらです」
燈子が先に立つ。
右腕には新しい包帯。
左足は、やはり少しだけ庇っている。
それでも歩く速度は遅くない。
康生はその背中を見て言った。
「篠宮さん」
「はい」
「案内だけですよ」
燈子は振り返り、少しだけ笑った。
「はい。案内だけです」
「武器は?」
「持ちます」
「案内だけでは?」
「案内中に何かあった時のためです」
「それ、戦う気ある人の言い方では?」
燈子は少し考えた。
「構えるだけです」
アオイが即座に言う。
「構えるだけ、は戦闘不参加の保証になりません」
燈子は困ったように笑った。
「厳しいですね」
「はい」
康生は思わずため息を吐いた。
「アオイ、篠宮さんにも容赦ないな」
「康生と類似傾向を確認しています」
「言うな」
燈子が小さく笑った。
相馬が部隊を整える。
護衛の防衛隊員が二名。
技術員が一名。
それに康生、アオイ、麻生、千田、燈子。
思ったより人数が多い。
「大所帯ですね」
康生が言うと、相馬が答えた。
「立入制限区画です。最小人数ではありませんが、必要人数です」
「必要って言葉、便利だなあ」
「便利というより、現場でよく使うだけです」
「なおさら便利ですね」
技術員は、白い作業服の上に薄い防護ベストを着ていた。
三十代くらいの女性で、背中に計測器の入った箱を背負っている。
相馬が紹介する。
「練馬施設技術班、森川技士です」
「森川です。よろしくお願いします」
康生は軽く頭を下げた。
「石田です。俺、施設のことは全然分かってないので、よろしくお願いします」
森川は一瞬だけ目を丸くした。
それから、少し緊張が抜けたように頷く。
「こちらこそ。旧施設制御系に触れる人は、今ほとんどいません。助かります」
「触れると規約違反者扱いされますけどね」
「それは…」
森川が困った顔をした。
アオイが言う。
「規約違反状態は残存しています。ただし、復旧任務限定接続は許可されています」
「説明しなくていい」
「必要な情報です」
「俺の傷口を正式名称で呼ぶな」
燈子が少しだけ笑った。
施設の通路を進む。
天井の照明は、ところどころ落ちている。
動いている照明も、白ではなく薄い黄色だった。
古い非常灯の赤が混じり、壁の影を濃くしている。
通路の壁には配管が並んでいた。
太いもの。
細いもの。
断熱材が破れたもの。
新しく巻き直されたもの。
森川が前方の表示板を確認する。
「地下二層の冷却水再循環枝路は、主反応炉再起動前の循環試験で必ず通す必要があります」
「そこが詰まってると?」
康生が聞く。
「熱が逃げません」
森川は簡潔に答えた。
「炉はまだ起きていなくても、補助炉と熱交換器は動いています。再循環枝路が詰まると、起動試験の段階で局所的に温度が上がります」
「局所的に温度が上がる」
「最悪、保護停止します。もっと悪ければ、熱交換器を傷めます」
「起こす前に、布団が燃える感じですか」
森川が少し考えた。
「乱暴ですが、近いです」
アオイが言う。
「近似表現としては不十分です」
「俺は森川さんの方を信じる」
「正確性は重要です」
「伝わることも大事だろ」
「はい。学習します」
「ほんとに?」
「努力します」
「その努力、信用していいのか問題があるな」
施設の端末が、通路脇で点滅した。
――暫定外部保守端末、移動確認。
――規約違反状態、監視継続。
――低権限保守モード、維持。
康生は足を止めかけた。
「移動してるだけで規約違反って出るのかよ」
「施設側の監視表示です」
アオイが言う。
「いちいち言わなくていいだろ」
「規約違反状態の残存通知と推定されます」
「通知がしつこい」
相馬が表示を見上げる。
「この施設にとっては、重要なのかもしれません」
「俺にとっては嫌がらせです」
燈子が静かに言った。
「でも、見失ってはいないということですよね」
康生は燈子を見る。
「前向きですね」
「見失われたら、接続もできなくなるかもしれないので」
「現場の人、嫌な前向き方しますね」
「すみません」
「謝らないでください」
「はい」
通路の先に、縦穴のような区画があった。
エレベーターらしきものがある。
だが、扉には赤い札が貼られていた。
――使用停止。
――蓄電不足。
――降下中停止リスクあり。
康生は札を見る。
「乗りたくない説明が完璧ですね」
相馬が頷く。
「地下二層へは階段で降ります」
「やっぱり」
非常階段は狭かった。
金属の階段が下へ続いている。
手すりは冷たく、ところどころ錆が出ていた。
壁の向こうから、水の流れる音が聞こえる。
湿った空気が、下から上がってくる。
外縁の湿気とは違う。
もっと金属っぽい。
古い配管の内側を通ってきた水の匂い。
康生は右手を軽く握った。
さっきよりは動く。
だが、使う気にはならない。
アオイが横に並ぶ。
「右手、構造安定率維持」
「見てるな」
「はい」
「助かるけど、落ち着かない」
「両立します」
「最近それ多いな」
階段を降りる。
燈子はゆっくり歩いている。
左足を庇っているせいで、段差のたびに少しだけ肩が揺れる。
康生は何か言いかけて、やめた。
言えば「大丈夫です」か「動きます」が返ってくる。
それは分かっていた。
千田が自然に燈子の少し後ろについた。
何も言わない。
ただ、もし足を滑らせたら支えられる位置にいる。
燈子はそれに気づいたようだったが、何も言わなかった。
康生は少しだけ安心した。
地下二層に着くと、空気がさらに変わった。
暑くはない。
だが、ぬるい。
壁の配管から、かすかな振動が伝わってくる。
通路の床には、水が薄く滲んでいた。
照明がそれを黄色く反射している。
森川が計測器を起動する。
「冷却水再循環枝路は、この先です。立入制限は、冷却水漏出と未確認反応のためです」
「未確認反応」
康生が嫌な顔をする。
「またですか」
森川は申し訳なさそうに頷いた。
「害獣反応ではありません。ただ、配管内部に動体反応が残ることがあります」
「配管の中に?」
「保守機械の残骸、剥離した内壁材、水流で動くケーブル束。大体はそうです」
「大体じゃない時は?」
森川は答えなかった。
康生は相馬を見る。
相馬も答えなかった。
「現場の沈黙、分かりやすいですね」
アオイが言う。
「警戒を推奨します」
「言われなくてもする」
扉の前に着いた。
冷却水再循環枝路点検室。
旧管理区域。
保護具着用。
高温注意。
扉は半分だけ開いている。
そこから、低い水音が聞こえた。
森川が端末を操作する。
「練馬施設管理系、点検室入室申請。目的、冷却循環系閉塞確認。同行、暫定外部保守端末、A.O.I.、防衛隊、現地案内者」
端末が点滅する。
――要求、受領。
――暫定外部保守端末、規約違反状態。
――低権限保守モード、確認。
――現地技術員承認、確認。
――入室、条件付き許可。
康生は眉を寄せる。
「また規約違反って出た」
「出ました」
アオイが言う。
「出たら教えなくていい」
「表示されました」
「俺も見えてる」
森川が少し笑いをこらえていた。
扉が開く。
中は、想像より狭かった。
壁一面に太い配管が走っている。
中央には、バルブと計器が並ぶ金属の架台。
床には排水溝。
天井からは、細い水滴が落ちていた。
壁の一部が黒く汚れている。
焦げではない。
濡れた金属に、黒い粉がこびりついたような汚れだった。
アオイがすぐに解析する。
「酸化金属、冷却水処理剤、微細構造体の凝集反応を検出」
「害獣では?」
相馬が聞く。
「現時点では検出なし」
「現時点では、か」
康生が言う。
「確認は継続します」
森川が計器を見た。
「圧力差が大きいです。上流側が高い。下流側はほとんど流れていません」
「やっぱり詰まりか」
「はい」
森川は壁面の図面を表示する。
冷却水再循環枝路。
主系統から分岐し、補助熱交換器へ戻る細い経路。
赤い点滅が、枝路の中ほどに出ている。
「ここが第一候補です」
「開けて見られるんですか」
「点検ハッチがあります。ただし、内部圧が残っている可能性があるので、減圧してからです」
康生は表示を見る。
「練馬施設管理系。冷却水再循環枝路、第一候補点検ハッチの減圧手順を出して」
端末が反応する。
――要求、受領。
――低権限保守モード。
――減圧手順、閲覧許可。
――自動減圧弁、応答なし。
――手動減圧、必要。
「自動がまた死んでる」
「はい」
森川が言う。
「手動でバイパス弁を少し開けます。急に開けると、詰まりが動いて衝撃が出ます」
「ゆっくりですね」
「はい。ゆっくりです」
燈子が少し前へ出た。
「その弁、場所は分かります」
康生が見る。
燈子はすぐに言い直した。
「案内だけです」
「早い」
「学習しました」
千田が言う。
「私が回しましょう」
森川がバルブを見る。
「重いですよ」
千田は静かに頷く。
「構いません」
相馬も近づく。
「私も補助します」
バルブは古い大きなハンドルだった。
赤い塗装はほとんど剥げ、金属がむき出しになっている。
森川が計器を見る。
「四分の一回転から。そこで止めてください」
千田と相馬がハンドルに手をかける。
「いきます」
相馬が言った。
ゆっくり回る。
ぎぎ、と嫌な音がした。
配管の奥で、水が動く音がする。
低い。
重い。
腹の底に響くような音。
森川が計器を見る。
「圧力、少し下がりました。流量、まだなし」
「もう少し」
ハンドルがさらに動く。
その瞬間、配管の中で何かがぶつかった。
どん、と壁が震える。
康生は思わず身構えた。
「今の何」
「内部閉塞物の移動と推定」
アオイが言う。
「嫌な推定」
森川が声を上げる。
「止めてください」
千田と相馬がハンドルを止める。
計器の針が揺れている。
水音が少し大きくなった。
――圧力変動。
――閉塞物移動。
――衝撃波、軽微。
――下流流量、微増。
康生は表示を見る。
「微増」
「少し流れました」
森川の声に、ほんの少しだけ明るさが混じる。
「ただ、詰まりは残っています」
「やっぱり」
「点検ハッチを開けます。ですが、内部に残圧があります。完全には抜けません」
アオイが言う。
「開放時、冷却水噴出の可能性」
「どのくらい?」
康生が聞く。
「不明です」
「不明が一番嫌い」
森川が防護面を下ろす。
「点検ハッチの前には立たないでください。横から開けます」
燈子が武器を持ち直しかけた。
康生はすぐに見る。
燈子は動きを止めた。
「構えただけです」
「戦闘不参加の保証になりません」
アオイが言う。
燈子は少し困ったように頷く。
「はい」
康生は思わず笑いそうになった。
笑える状況ではないのに、少しだけ笑えた。
森川が点検ハッチのロックを外す。
相馬が横から補助する。
千田は少し離れて、万一の時に押さえられる位置に立つ。
「開けます」
ハッチが少しだけ動いた。
しゅう、と白い蒸気が漏れる。
熱いというより、ぬるい蒸気だった。
金属と薬品の匂いが一気に広がる。
康生は顔をしかめる。
「うわ、変な匂い」
「冷却水処理剤、酸化金属、劣化樹脂成分」
アオイが言う。
「数字じゃないけど、やっぱり説明いらない」
森川が慎重にハッチを開ける。
中は暗かった。
アオイが手元から小さな光を出す。
冷たい白い光が、配管の内部を照らした。
康生は中を覗き、眉を寄せた。
配管の中に、黒い塊があった。
泥ではない。
錆でもない。
細い繊維のようなものが絡まり、そこに黒い粉と金属片が固まっている。
まるで、配管の内側に黒い巣ができているようだった。
「何だこれ」
森川も息を呑む。
「補修材…?」
アオイが解析を始める。
「自動補修用微細構造体、冷却水処理ポリマー、酸化金属粒子、剥離した内壁材が凝集しています」
「自動補修用」
康生が繰り返す。
「施設が自分で直そうとしたやつ?」
「はい」
「それが詰まってる?」
「はい」
康生は配管の中を見た。
直そうとして、塞いだ。
漏れを止めようとして、流れも止めた。
壊れないようにした結果、動けなくなった。
康生は嫌な顔をした。
「またそれか」
「類似例を想起していますか」
アオイが聞く。
「海とか、奥飛騨とか」
「はい。目的関数の偏りによる副作用と近似します」
「旧文明施設、そういうの多すぎるだろ」
森川が小さく言った。
「ここでも、そうだったんですね」
その声には、疲れがあった。
たぶん、技術班は何度も見てきたのだろう。
壊れた設備。
勝手に保護した設備。
保護しすぎて別の問題を作る設備。
康生は配管の黒い塊を見る。
「これ、取れるんですか」
森川が答える。
「手作業で掻き出すと、奥の塊が崩れて流れ込む可能性があります。洗浄をかけたいですが、自動洗浄系が動くかどうか」
「練馬施設管理系」
康生は端末を見る。
「冷却水再循環枝路の逆洗浄、使える?」
表示が反応する。
――要求、受領。
――逆洗浄系、稼働履歴あり。
――最終稼働、三十二年前。
――洗浄ポンプ、状態不明。
――排出先タンク、容量不足。
――自動実行、不可。
「不可」
康生が言う。
「不可です」
アオイが言う。
「見えてる」
森川が考える。
「排出先タンクが足りないなら、仮設タンクへ逃がせばいけます。ただ、切り替え弁が手動です」
相馬が言う。
「人手は出せます」
燈子が一歩出かける。
康生が見る。
燈子が止まる。
「案内だけです」
「よろしい」
燈子は少しだけ悔しそうに笑った。
千田が言う。
「重い弁なら、私が回します」
「助かります」
森川がすぐ頷いた。
「ただ、洗浄ポンプの起動は施設側からでないとできません」
視線が康生へ向く。
康生は左手を見る。
「また接続?」
アオイが首を横に振る。
「この部屋の端末から低権限保守操作が可能です。直接接続は不要です」
「助かった」
「ただし、康生の承認は必要です」
「結局俺か」
「はい」
康生は端末に近づく。
表示板にまた出る。
――暫定外部保守端末、操作要求。
――規約違反状態、監視継続。
――低権限保守操作、承認待ち。
「監視しつこいな」
康生はぼやきながら、端末に左手をかざした。
「逆洗浄系、手動準備。排出先、仮設タンクへ切り替え。洗浄ポンプは低圧から。急に流すな」
アオイが補足する。
「洗浄圧、最低値。流量上昇率、制限。閉塞物移動時は即時停止」
森川が操作盤を確認する。
「仮設タンク接続、準備します」
相馬が隊員へ指示を出す。
千田が手動弁へ向かう。
燈子は、その位置を指で示しただけで、前には出なかった。
康生はそれを見た。
「ちゃんと案内だけですね」
燈子は少しだけ胸を張った。
「はい」
「今、少し得意げでした?」
「少し」
「正直ですね」
「はい」
それだけの会話で、少し空気が軽くなる。
だが、端末の警告は赤いままだ。
――逆洗浄系、手動準備。
――排出先、仮設タンク。
――洗浄ポンプ、低圧起動待機。
――実行承認、暫定外部保守端末。
康生は息を吐いた。
「実行」
低い音が、配管の奥で鳴った。
洗浄ポンプが、ゆっくり動き始める。
水音が逆向きに変わる。
黒い塊が、配管の中で少し震えた。
森川が計器を見つめる。
「圧、低いまま。流量、微増」
アオイが言う。
「閉塞物、移動開始」
配管の中の黒い塊が、ゆっくり崩れた。
泥のように流れるのではない。
繊維がほどけるように、少しずつ剥がれていく。
黒い水が排水側へ流れ、仮設タンクの方で重い音がした。
――排出物、確認。
――酸化金属粒子、多量。
――微細構造体凝集物、多量。
――害獣由来反応、未検出。
「害獣じゃないの、助かる」
康生が言う。
「はい」
アオイが答える。
「ただし、配管閉塞は継続」
「知ってる」
洗浄はゆっくり進んだ。
全員が黙っていた。
水音だけが響く。
時々、配管の中で何かが剥がれる音がする。
ごと。
ごとん。
そのたびに、康生の肩が少し跳ねる。
「いちいち怖い」
「正常な反応です」
アオイが言う。
「人間一般?」
「はい」
「じゃあいいか」
「いいのですか」
「最近、それならいい気がしてきた」
燈子が小さく笑った。
数分後、森川の声が明るくなった。
「流量、上がりました。二割……二十二パーセント」
表示にも文字が出る。
――冷却水再循環枝路、流量回復。
――回復率、二十二パーセント。
――閉塞残存。
――低圧循環試験、条件付き可能。
――主反応炉再起動条件、不足。
康生は表示を見た。
「二十二パーセント」
「少ないです」
アオイが言う。
「でも、ゼロじゃない」
燈子が言った。
康生は燈子を見る。
「限定でも?」
燈子は頷く。
「前に進めます」
康生は少しだけ笑った。
「それ、便利な言葉になってきたな」
「現場判断です」
相馬が言った。
「今のは相馬さんが言うやつですね」
「はい」
森川は計器を見ている。
「この状態なら、補助循環試験はできます。ただ、主熱交換器入口側も確認しないと、主反応炉の起動試験には入れません」
「第二候補か」
康生が言う。
「はい」
アオイが表示を出す。
――第二候補、主熱交換器入口側。
――現在位置より、地下二層北側。
――温度上昇区画。
――立入注意。
「温度上昇区画」
康生は嫌な顔をする。
「暑いんですか」
森川が答える。
「少し」
相馬が追加する。
「防衛隊基準では、短時間作業可能です」
「それ、一般人基準だと?」
「暑いです」
「正直で助かります」
燈子が言う。
「私が案内します」
康生は見る。
燈子はすぐに続けた。
「案内だけです」
「よろしい」
アオイが言う。
「篠宮燈子、発言記録。案内のみ」
燈子が苦笑する。
「記録されました」
「記録は大事らしいです」
康生が言う。
千田が静かに頷いた。
「大事です」
冷却水再循環枝路は、完全には戻っていない。
それでも、水は少し流れた。
眠っていた炉は、まだ起きていない。
だが、その身体の中に、細い水の道が一本だけ戻った。
康生は黒く汚れた配管を見て、息を吐いた。
「次、行きますか」
「はい」
アオイが答える。
「高出力運用は」
「禁止」
「右手異常時は」
「停止」
「単独行動は」
「しない」
「はい」
康生は顔をしかめる。
「点呼みたいになってきたな」
「安全確認です」
「必要なんだろ」
「はい」
康生たちは、次の閉塞候補へ向かって歩き出した。




