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天使様の誘惑

楽しんでいただけると嬉しいです。

「おいで」

羽根をひろげ、腕を広げ、俺を誘う。

思わず、ふらふらと近づいてしまいそうになる。

暖かそうな羽毛布団の誘惑。

「早く寝たかったんじゃなかったの?」

「そりゃ、明日も朝から会議だし、早く寝たい…けど…」

「寝たいけど?」

「…やっぱ俺、床で寝ます。」

「なんでぇ。女がいやって言うから男にまでなったのに。」

頬を膨らますと少し幼く見える。

「別に嫌なわけでは…」

「じゃぁ女になるから一緒に寝てくれる?」

「それは無理、今よりもっと無理。」

断言する俺に恨めしそうな顔をされても…

「無理なものは無理なんで、気にせず寝てください。」

「おいで。」

彼の目が妖しく光る。

俺の意思とは別に足が勝手に俺をベッドまで運んでいく。

ハッと我に返り歩みを止めるも時すでに遅し、彼の手が届くとこまで来てしまっていた。

「素直にさっさとくればいいのに。」

そういいながら俺の手を引く。

バサっと腕の中へ倒れこむとぎゅっと抱きしめられた。

あぁ、暖かい。

さすが高級羽毛布団。

極上の肌触り。

沈み込もうとする意識は微妙なタッチで触ってくるティリエルの手の動きに邪魔されて眠れない。

「怖い?私に触られるのは嫌?」

きれいな顔が熱っぽさをはらんで、迫ってくる。

「お腹がすいたんだ。君を食べさせて。」

「え、さっきちゃんと食べないから…って食人種?」

「本当に食べるわけじゃないよ。私たちは普通の食物はあまり得意じゃないんだ。食べれないわけじゃないのだけどね。それより生命エネルギーの方が効率が良いから。生命エネルギー、生気を循環させて満たすんだよ。」

「お腹を?」

「まぁ、お腹っていうと語弊があるけど、身体的に?」

「まぁ、かじられないなら別に…」

あれ?本当に良いのか?

「一番効率が良いのは生殖行為なんだけどね。だから女になったんだけど。君はお気にめさなかったようだから、男同士でもすることはできるし。」

そう言ってあでやかに笑う。

いやいや、無いでしょ。

逃げようとする俺を抑える手は力強く、逃げられない。

華奢に見えた腕は俺の非力な腕力ではいかんともしがたく、初体験がロストバックバージンって嫌すぎる。

じたばたと暴れる俺をなんなく抑え込み、気が付くと夢の中。

朝、いつもよりさわやかに目がさめた。

あったかい腕の中で…

夢…じゃないよな? やっぱ俺いたしてしまったのか…?

すっきり目覚めたのに、若干のけだるさと微妙な腰の痛み?重み?

が、昨日のことは夢ではないと物語っていた。

腕から這い出て朝のシャワーを浴びる。

朝の光に身体も目覚める。

「ん?もう起きたのですか?」

あくびをしながら体を伸ばす彼は、一枚の絵画のようだった。

金色の髪がキラキラと朝日に煌めいて見え、まsるで宗教画から抜け出たよう。

「身体は大丈夫ですか? 初めてだったんだよね? でもわたしも余裕なくて…」

「朝ごはんたべますよね!」

恥ずかしすぎて会話をぶった切る勢いで話しかけた。

「あ、う、うん。でもごはんじゃなくて君がほしいな。」

しまった…会話ぶった切って実害になった…

羽根と腕にからまれて、朝っぱらから濃厚な口づけ…

濃厚さに腰に来る、へなへなと床に崩れ落ちた。

「まぁ朝だし、時間もあまりなさそうだし、これくらいにしときますね。それとわたしのことはティルと呼んでもらって良いですよ。特別に」

時間があったらどこまでする気だったんだ。

気をとりなおし、出勤する。

今日は朝からみんなおかしかった。

いつもなら居るか居ないかわからなかったとかって挨拶もしない同僚たちがにこやかに朝の挨拶をしてくる。

お茶もいれてくれて、朝の定例会議では意見を求められて、何気なく答えたら実用化になったりといつもとはまったく自分もみんなも違っていた。

しかも終業までに7,8人からアフターのお誘いまでもらうし。

全部断ったけど…

だってこんなこと初めてで、誘われてうれしくても、行って何を話せばいいのかわからない。

色々とおかしなことばかりが続いた。

しかし、みんな一様に言うことは

「香月さん、今日はとてもいい匂いがしますね。思わずずっとそばにいたくなります。」

みんないつもは話しかけてもこないのにわざわざそばまできてクンクン…

でも、いい匂いがするって悪い気はしないし いつものように誰とも話さず終業まで、そのまま残業に突入するだけの毎日。

それはそれで不満はなかったけど、少しは寂しかったのかもしれない。

しかも今日は家でまっててくれる人(?)がいる。

灯りのついた部屋に帰るのは一人暮らしを始めてから初めてかも。

残業がなかったのも久しぶりだけど、これだけうきうきしてかえるのも久しぶりな気がする。

しかし、家にかえるといつも通りの暗い冷えた部屋。

昨日のことはやっぱり俺の願望が見せた夢だったのか…

悲しくなってベッドに突っ伏した時だった。

窓も空いてないのに、ばさばさっと羽根の音とともに昨日見た天使様が飛び込んできた。

「何を泣いてるの?」

言われて自分の頬が濡れていることに気がついた。

慌てて袖で拭う。

「そ、そんなわけないだろ。」

「寂しかったの? わたしがいなくて」

「ちがっ」

ふんわりと抱きしめられて、言葉が止まる。

彼の腕は暖かくて、なんだかいい匂いもする。

「ごめんなさい。明日からはひろむが帰る前にちゃんと戻って灯りつけときますね、それよりお腹すきました。」

いうなり抱き上げられて、ベッドへ…

あまりにも唐突で抵抗しきれなかった。

そして昨日と同様においしくいただかれました。

なんでこうなる。

自分の晩御飯を食べながら楽しそうにネットサーフィンするティルを横目で見ていた。





誤字脱字、文章ミス等多々あると思いますが、見つけ次第訂正していきますので、ご容赦ください。

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