俺の嫁×俺が嫁〇
やっと家に帰ってきた。
それからクラウスとティは今回の事件の調査を指示し、保留になっていたメイドさんの事情徴収を始めた。
メイドさん曰く
「ティリエル様に抱かれて、私こそが白き巫女にしていただけるとお待ちしていたのに、他の世界から男を連れてきて、それを白き巫女などと。きっとティリエル様はその男に騙されているのだと…」
「私は家の者に手はだしてませんよ。残念ながらあなたを床に呼んだ覚えはありません。」
「そんな…あれほど愛してくださったのに。なぜそのような事をおっしゃるのですか?」
ん~ティの日ごろの行いがそう思わせてるのでは…
確かに今回の妖精族とのことと似ているような気がしないでもないけど、そういうものなのでは?という気もする。
人は誰でも自分の見たいものを見たがるから…
妖精を人と言って良いかは別問題だけど。
「ちなみにさ、天使族に王様っているのか?」
俺が聞くと、
「ひろむはもう会ってますよ?」
「前に父に…紹介してなかったでしたっけ…」
「してもらってない…ってかティのお父さんが?」
「王って名前ではないが統括者です。ティ、紹介してないってどういうことですか?」
あ…クラウスがおどろ線しょって…
「え、だって白き巫女の儀式のあと、和平だ、誘拐だとずっと忙しかったじゃないですか。父も母も忙しそうで私もこちらへ戻ってからあってないですし…」
語尾が小さくなっていく…
「だからってあなたはもう…ひろむ行きますよ。」
「えっ…まって…心の準備が~」
手を掴まれてクラウスにひきずっていかれてしまった俺たちを追って、後からティが小走りについてくる。
「父上は?」
「執務室の方に…あ、でも今は…」
なにか言いたげだったけど、聞かなくていいのか?
ティの執務室の扉も分厚くて重厚そうだけど、こっちはもう一つ重厚そうだ。
クラウスはノックもなく、いきなりドアをけ破る勢いで開いた。
「あなた…」
「んっ…」
今にもキスしそうだった二人はぱっと離れた。
おっと…お取り込み中!
「ノックもなしに誰だ!クラウス…と誰だ?」
「ティの白き巫女様です。」
「なんと、白き巫女…女ではないのだな。ではティが女に?」
「父上…母上もおられたのですか」
「遅くなりましたが、私の愛する白き巫女のひろむです。」
俺の肩をだきよせ、クラウスから奪うと一歩前にでた。
「ほう、今回は男同士で婚姻か?」
「その予定です。」
「まぁまぁまぁ、あなたがティのお嫁さん?」
…俺、もしかして嫁にいくのか?
そうだよな、俺がこっちの家に入るんだから。
そう…なるよな…
嫁、ほしかったわけじゃないけど、俺の嫁って言ってはみたかったかも…
まぁ、こっちにはそんな話できる奴もいないけど。
俺が嫁かぁ。
「とても素敵ね。」
「そうか、嫁ができたか。ならそろそろ相続しても良いころだな。」
「いやですよ。私はもっとひろむと二人でいちゃいちゃしたいです。」
「すればいいじゃないか、、後を継いでもいちゃいちゃはできるぞ。」
「そりゃ父上や母上は良いですよ。でも、私はこの結婚前のいちゃいちゃをもっと楽しみたいのです。」
「まぁ、そりゃそんなに生気の濃い方とならいちゃいちゃしたいのは分かりますが…」
お父さんもお母さんも若くてきれいだ。
やっぱ天使族の人たちって綺麗な人しかいないのか?
あ…クラウスが…俺、もう良いよな。一応紹介してもらったし…
俺はそっと後ずさりし、扉の外にでて、扉を閉めた。
分厚いドア越しにも聞こえるクラウスの盛大な溜息。
「ティ、あなたイチャイチャしたいがために相続をしぶっているのですか?」
「そ、そういうわけではありませんが…父上も母上も健在なのになぜ相続が必要なのですか。まだ良いじゃないですか。」
たしかにティの言い分もわかる…よな?
クラウス的にはアウトな発想なのか?
「よう、こんなとこでなにしてんだ?」
後ろから突然声をかけられ驚いて振り向くといベルがいた。
「中にはいらねぇの?」
「今、中から出てきたところです。」
「なんで?はいろうぜ。」
と俺の腕をとってやっぱりノックもせずに中へ入った。
「ルゥ、なにか用ですか?」
「みんな揃ってなにやってんだ?」
「ひろむのお披露目です。ティが未だ紹介してなかったとか…」
「あらら。そか、でお披露目は終わったのか?」
「お披露目はおわりました。今はティの相続における考え方の…」
「あっそ、んじゃひろむはもういいな、借りてくぞ。」
そういうと俺の腕をとったまま再びひきずって行かれた。
「ベル、一人で歩けるって。なんの用だよ。」
なんとか掴まれていた腕を取り返し、さする。 痛かったんだからな。
「あぁ、わりぃ。庭にいる妖精族どもがうるさくて。説明してやってくれ。」
あぁ、攫われていくとこだけみてて、後の顛末がわからないからだな。
庭に行くと妖精族がぶんぶん飛び回っていた。
「あ、ひろむだ。」
わーっとみんなが集まってくる。
なんか怖い…
「みんな落ち着いて。まずはジュースでも飲んで落ち着こう。」
ジュースを作りみんなで飲んだ。
ベルもちゃっかりと飲んでいた。
「ん~うまい。もう一杯。」
どこぞのCMかっ。
あれはまずい、もう一杯だったけど…
とりあえず落ち着いたので、何事もなく帰ってきたことを報告した。
「でも、死神天使ズも行ったのに何もなかった?」
「死神天使?」
「あの狂暴な二人だよ。」
「俺の事か…」
「きゃぁぁ」
ずっと一緒にジュース飲んでたのに、気が付いてなかったのか?
もしかして妖精って目悪いのか?
「みえてるもんが違うんだよ。」
ベルの言葉にこいつエスパーかと身構えた。
「お前考えてることが丸わかりだ。どうせあいつらの目が悪いんじゃないか?とか考えてたんだろ。」
「よ、よくわかったね…」
「まぁ、昔俺もおんなじこと思ったからな。で、だちになった妖精に聞いたことがあるんだお前ら何をみてるんだって。」
「へぇ、戦争中に友達になれたんだ?」
「あぁ、俺とあいつは一騎打ちをしてて、戦場に2人で取り残された。お互いぼろぼろでどちらも致命傷ではないものの瀕死の状態だった。俺たちは移動した戦場を追って二人で1週間ほど生き延びた。奇妙な縁だったと今でも思うけど、俺たちは次第に打ち解けた。戦場には生気なんてもん少しもないからな。
俺たちはお互いの生気交換で生き延びたからなんとなくわかりあえた。
その時に聞いたことがあるんだ。お前らは何を見てるって。」
「で、なんて?」
「あぁ、光をみていると…」
「光?」
「お前も精霊見えるんだろ?あの光の玉みたいなの。」
「うん、なんかだんだん見えるようになってきた。」
「俺たちにはみえねぇ。精霊はな。」
「え? そなの? 俺はこっちに来たから見えるようになったのかと思っていたけど…」
「なにが作用してるのかはわかんねぇけど、妖精族には見える。俺たちには見えない。エルフ族は…聞いたことないからわかんねぇが、みえてないんじゃないかな?」
「そうなんだ」
「お前は生気の濃さからも妖精というより、精霊にちかいんじゃないか?だから精霊が見える。」
「よくわかんないけど…」
「まぁ俺も良くはわからんから、適当でいいんじゃないか? 見えるもんは見えるで。」
「そだね。」
「なんか長話になっちまったな。」
「うん、でも楽しかった。」
「なら良かった。疑問に思ったことは誰かにちゃんと聞けよ。知ってるやつはちゃんと教えてくれるから。」
「わかった。ありがと。」
「礼はキスでいいぜ。」
これがなければ…
「ダメに決まってんだろ。俺、神様の前でティに愛の誓いしちゃったし。」
「むぅ…ちょっとくらいなら…」
「ちょっともダメです。」
「ティ」
「げ、もう来たのか。長話の前に味見しとけばよかった。」
「なにが味見ですか。ひろむには触れないでください。」
「ちぇっ」
相変わらずの二人になんかほっとする。
「ルゥ、しばらくひろむについててもらえますか。ちょっと不穏なので。」
「わかった。ひろむはまかせておけ。べったりはりついててやる。」
「べったりは余計です。つかず離れずでお願いしますね。」
笑いながら、がしっとベルの頭を掴みティが力をこめる。
「いでで、わかった。わかったから…」
ティの鎖さえ引きちぎれる握力…
西遊記の悟空の緊箍児のよう…痛そう…




