異世界
「康介!!どこ?これなに!」
俺ン家のドアをたたき壊さんが勢いであけ、部屋の真ん中にある大きな繭のような羽根の塊をみて彼が叫ぶ。
羽根の塊の中から赤川が火照ったような顔をのぞかせた。
繭の中暖かそうだなぁ
「康介!」
「しのぶ?お前なんでここに…」
どうやら彼はしのぶ君というらしい。
「なんだ、騒がしい。」
カーエルも出てきた。
もちろん二人とも一糸まとわぬ裸体である。
その堂々とご立派なモノは隠しなさい…
「ひどいよ、康介…そんな奴と…俺、ずっと待ってたのに…いつからこんなガキが好みになったのさ。」
泣く?もしかして泣くの?
だんだんと涙声になるしのぶ君の声が小さくなる。
「良いから、お前もこい。」
羽根を広げたカーエルからなんとなく良い香りがする。
ふらふらとしのぶ君がカーエルの方に歩いていく。
「あ、ちょっとまっ…」
部屋の外にいる俺の制止は届かなかった、
そして、しのぶ君を取り込んだカーエルの羽根の中、さてあの二人は無事に復帰できるのだろうか。
羽根の中は遮音結界があるとティルが前に言っていた通りなにも聞こえては来ないが、おそらく激しいほどの饗宴が開かれているのだろう。
俺はあきらめてきた道を戻ろうとした。
バサバサと羽音、ふと空を見上げると落ちてくる羽毛布団。
「ティル…?」
思わず両手で受け止めた、つもりだったがそれはさらっと俺の手をよけ、その場で優雅に一礼した。
「お迎えにあがりました。」
「クラウス…さん?」
落ちてくるのはあの角だけじゃなかったのか。
どういう仕組みなんだろう?
「ティがまってますよ。さぁ行きましょう。」
ぐいぐいと俺の手を引っ張るクラウスから腕をとりもどし、たずねた。
「迎えって…ティルは?」
「ティは忙しくて今は屋敷からでられません。のでわたしがお迎えに参りました。」
「でも、俺…」
展開が急すぎて俺の頭じゃついていけない。
迎えってことは憧れの異世界へ…?
学生の頃ならいざしらず、今行くのは不安しかない。
異世界へ行ってやっていけるのか、こっちでやり残したことはないか、色々と契約してるものはどうするのか、俺って失踪扱いになるのか、家族になんて言えばなどなど…ets
仕事の引き継ぎ…は、まぁ赤川がなんとかするだろう。
そう考えると半分くらいはどうでも良いことなきもする…けど
なんだかんだ言ってつまりは未知の世界が怖いのだ。
「あ、カーエル…」
「きているのですか? あの人はまた戦線をほったらかして。いくら道をつないだからって、行き来するにはそれなりの生気を使うというのに。」
「あー、だから今、おそらく補充中。」
「ご迷惑おかけしてます。が、それはおいといて、急ぎますので行きましょう。」
改めて俺の腕をつかみ引きずられる。
優雅な動作に似合わぬ強引さで。
「えっ、ちょ、俺行くなんて同意してないんだけど…」
こいつは何を言ってるんだと驚いたような顔をして、ひっぱっていた力が緩む。
「そういうのは向こうへ行ってからティに文句でもなんでも言ってください。」
向こうへ行ってしまったらおしまいでは?
向こうへ行ってしまったら自力では帰ってこれないですよね?
俺の不安は完全スルーされて、強い力でひきずっていかれた。
なにもないところまで引きずって行かれていきなり抱きしめられた。
「え、ちょ、なんで…」
「この簡易魔法陣は基本一人用なので、はみ出さないようにしてください。」
クラウスが何かを唱えると小さな丸い魔法陣のようなものが頭上にあらわれ、俺たちをスキャンしていく。
はみだすなって、もしはみでてたらそこだけここに取り残されるとか?
怖い想像をして俺の方からもクラウスにしっかり抱き着いた。
まぶしい光に包まれたように感じたが気が付くと、いつの間にか礼拝堂のような建物の中にいた。
「二人してなにをしているのですか。早く離れなさい。」
静かな部屋にティルの怒ったような声が響く。
あぁ、ティルだ。数日しか離れてはいなかったのにひどく懐かしく思えてしまう。
クラウスにきつく抱き付き、クラウスは俺を抱きしめているのに気づいてはなれようとしたが、クラウスは離してくれない?
なんで?っと顔をみあげると
「これを」
花嫁が付けるようなベールをかぶされ、祭壇の前へ押し出されった。
そこにはティルが待ち構えている。
まだ怒ったような顔はしているがそれでも俺にむけて手を差し伸べてきた。
「こちらへ」
伸ばされた手に思わず手をのせてしまう。
「ティル、ここは?」
「シー しゃべらないで。」
ティルに会えたうれしさより、戸惑いの方が勝る。
これは結婚式?
祭壇の上には神父様のような天使様が…
「神の御名において彼を愛すると誓いますか?」
「はい、彼の生とともに我が愛をささげます。」
なんか変な言い回し、生とともに?
「彼を白の巫女と認めますか?」
「認めます。」
と、クラウスをふくめた幾人かの参列者が異口同音で答えた。
と俺の意見はなにも聞かず、オールスルーなまま話がすすめられていく。
認めるの言葉とともに目の前が真っ白にスパークする。
さっきの転移、かどうか知らんが、の時よりさらにまぶしい。
あまりのまぶしさに目をつむる、光がおさまり恐る恐る目を開けると…
なに?巨人のお茶会…?
目の前で巨人達が3人優雅にお茶を飲んでいた。
俺の前にも決して飲むのは不可能な大きさの巨大カップがおかれている。
これが前に聞いた神のお茶会?
ってことはこの目の前の人…神が創造神様?
「天使に請われし人よ。お前もかの天使を愛するか?」
「え…あ…はい。」
あ~ぁ、こんなとこで愛の誓いをしちゃったよ、俺。
こんな急展開ついていけるわけないじゃん。
もうなるようになれって感じ。
「ほう、今度の人間は異世界人と聞く、不安はないのか?」
「ないわけないでしょ。不安しかありませんよ。」
俺の物言いがきにいらなかったのか、周りが殺気立つ。
あ、やばっ…とおもったが、創造神様は大きな声で笑いだした。
「ものおじせん奴よの。ここへいきなりつれてこられて、平伏せん人間ははじめてだな。なかなかにおもしろい。」
おもしろがられても…
たしかに神々の畏怖?圧がものすごいので、普通はかしこまってしまうだろう。
でも俺は、憧れの異世界だぞ、嘘か誠かみきわめねば、あますとこなくこの目に焼き付け、堪能しなくてはならんのだ。
と、誰に言うでもなく一人で固く心に誓った。
「めずらしいから他にも祝福をやろう。なにか望みはあるか?」
望み…望み…と言ったらやっぱなにかチート能力がほしいよね。
向こうではできないこと…えーと、えーと、やっぱこれでしょ。
「魔法、魔法を使えるようになりたい…です。」
「魔法か。生気の祝福があるから、まぁ、それなりには使えるはず。己で精進せよ。」
「あと、読み書き計算ができるようにしてください。」
異世界いったらの定番だよね。
「あぁ、そうだな。それはできるようにしてやろう。」
言うなりでっかい指で額をつつかれた。
「では、わたくしは生涯飢えぬ祝福を」
「わたくしは知識の祝福を、おのが知識に目を向けるのですよ。」
がしっとつかまれ、顔がせまってくる。
ティルもきれいだけど、神様たちもかなりの美形ぞろい。
が、サイズが違いすぎる。
唇が迫ってくるが、俺 もしや頭からばりぼりされる?
しかし、思った以上のやさしさで唇が触れる。
なにやら体が暖かい。
途端にあふれる…これは農業の知識…?
自分の食いぶちは自分で稼げということか?
生涯飢えぬってこの知識で畑でも耕せということだろうか。
つまりは怠けると祝福もらっても飢えることはあるってことなのかな?
「まぁこんなものだろ、がんばって生きていくがいい。」
また、目の前が白くスパークする。
「あ、あと神様ホットラインの開通を…」
最後のお願いはきこえたかどうか。
目を開けると目の前にティルがいた。
あ、戻った…
「どうでした?神のお茶会は。」
「…本当にお茶会なんだな。」
なんとも感想とも言えない感想にみな一様にため息をついた。
誤字脱字、変換ミス等てんこ盛りかもですが速やかに訂正していきたいと思っておりますので長い目で見てやってくださいm(__)m




