焚き火と迷子4
状況整理をするためにお互いに自己紹介することにした。2人は兄妹で上がケティで下がコティ、村の収穫祭とやらに必要なグロウベリーとかいう木の実を朝から探していたが慣れた道からはずれ迷子になってしまった、らしい。
「で、光実は実をつけてから何日も日の光を浴びると光るから、この時期だと本当はすぐ見つかるはずだったんだけど…」
ケティが簡潔に話すたびに、コティが詳しく解説してくれる。
だが、
(なるほど、分からん)
脳が理解するのを拒絶しているのか、2人の説明が分からない誠治だったが、誠治の自己紹介も2人は理解するのが難しいようだった。
「その、セージおじさんはキャンプ場?…ていうところにいたけど、気がついたらここにいたって、つまりキオクソーシツってこと?」
「だれかに連れてこられたとか?」
「なんで、そんなわけ分かんないことになってるのに、平気な顔して僕たちに食事をふるまってたの?」
2人からすれば、助かったと思ったのだろう。矢継ぎ早に質問にされても答えられなかったが、最後の質問には答えることができた。
「荷物も多いし、暗い中知らない道を移動するのは危ないし、お腹が満たされれば少なくとも空腹でイライラしたりシンドい思いをすることはなくなるだろう?」
「それはそう……だね」
朝から歩き通しで何も食べてなかった2人には身に沁みた答えだったようだ。
「あの……魔法でどうにかならないの?」
「魔法?」
コティご真面目な顔をして、ランタンを指さした。
「急に手元が明るくなってるじゃない。その魔法で遠くに光を送ることとかできないの?」
「ランタンのことかい?これは……魔法じゃないよ。ただの充電式のランタンで」
「ジュウデンシキ?」
「えぇと…つまり光るための材料が入っている感じ、といえばいいのかな?」
「魔法じゃないの?」
「……うん、魔法じゃないんだ。……その、ごめん」
コティはあからさまにがっかりした顔をしたし、ケティは何も言わなかったが、唇を震わせていた。
期待がしぼむ音が聞こえた気がした。
誰も何も言えなくなり、さらに空気までが冷え込んだ気がして、誠治は焚き木を足した。
誠治は少し考えて、話を切り出した。
「まぁ、なんだ…。腹いっぱいになれば不安も少しは和らぐかもしれにいぞ。まだ食べ足りないだろう?」
返事はなかったが、視線は正直だった。
食べ盛りの子どもがあれだけで足りるわけがないのだ。




