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焚き火と迷子2

「とりあえず明かり、明かりだな」


 消えかかりそうな火に再び小枝と松ぼっくりを放り込み、しゃがみ込んでゆっくり手を仰いだ。


「暗い…って、焚き火を眺めていた時はまだ夕暮れ時だったよな…?」


 ―そんなに長い間、眺めていたのだろうか…

 ―そもそもここはどこだ…?

 火の勢いが戻るまでグルグル頭の中が混乱したが、


―ぐるるるるぅ…―


 獣が…腹の獣が唸っている…。ひじょーじたいだというのに…。


「…飯にするか」

 こんな真っ暗ならウロウロするより明るくなってからの方が良いに決まってる。体も冷えてきたし…


(そうと決まれば準備をば…)


 誠治は飯盒(はんごう)の蓋を開けて、米が水を吸い白色が濃く気持ちふっくらしていることを確認し、火がぎりぎり触れる位置に置き、蓋の上に薪を置いた。家で炊飯器で炊くご飯は大して気にもしないのに、焚き火で炊くとなると妙に炊き上がりを気にするようになるのはなぜだろう…。

(今回は少し硬めに炊き上がりますように、ある程度のおこげもできると尚良し)


 火吹き棒で2〜3度風を送った後、誠治は野菜を切り始めた。

(玉ねぎは薄切りに、にんじんとじゃがいもは乱切りに…)

 半額シールのついたパックのバラ肉を鍋に入れ、玉ねぎを入れて炒め始めた。

(脂身が多いから油はなし。玉ねぎをゆっくり飴色にするのはまた今度。ある程度炒めたらにんじん、じゃがいもは油をまとわせて…)

 肉と野菜のやわらかい匂いが立ち込め、じゃがいもの縁の色がわずかに薄くなってきた頃に水を足して蓋をした。


(そろそろご飯は蒸らしておこう)

 飯盒を火から遠ざけ、タオルにくるんだ。空いたスペースで湯を沸かしていく。

(後はおまけにもう一品…毎回毎回分かっていても楽しくなって作りすぎてしまうんだよな…いや、だがこれは明日の分にするべきか…そもそも余ったら使わずに持って帰って家で食べたらいいわけで…)

 


―――ガサッ


「…!」

突然、草むらから音がして誠治は飛び上がった。

―そうだ、こんなところなら動物が出てきたっておかしくない…!いつものキャンプ場なら熊の心配はないが…もし熊だったら…


 心臓がバクバクして物音のする方をジッと見ていると、よろけながら出てきたのは薄汚れた2人の子どもだった。


「…人がいた」


 こんな暗い森の中に子どもが2人…この状況、どうしたものか…


「君たちは

  ―――ぐぅぅぅ…―――

   …………お腹が空いているのかい?」


 どうやらこの子らも同じ状況らしい…


―――コクッ

 2人は驚きと恥じらいが混じった顔で小さく頷いた。

(この2人、兄妹だろうか。)

 2人ともかごを持ち、少女の方は少年の服の裾を握っていた。


「そうか…とりあえずご飯にしようか」


 どこかも分からない、こんな暗い森の中で人がいたというだけで、じわじわ緊張が溶けていった。


 誠治は手元を照らすためにランタンの明かりを付けた。お手軽な充電式だ。一瞬で辺りが明るくなる。

「…魔法?」

 少女は誠治に聞こえないくらい小さく呟き、少年は息を飲んだ。



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