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焚き火と迷子1

初投稿になります。

 暖かな木漏れ日、そよ風が吹くと肌寒くも清々しく優しい匂い、日野誠治ひのせいじはお気に入りの林間キャンプ場に来ていた。独り身の彼の楽しみは、仕事で行き来している都会の喧騒を離れ、焚き火を楽しみながら食事をゆっくりとることだった。


「ここにするか」

 少し開けた平地に落ち葉を避け、テントを張り、椅子を広げ、焚き火の用意をしていく。いつものように手際よく火をつけ、小枝を乗せていく。この時期は暗くなるのが早いので、手際よく食事の用意を始めなくては。


(米はとりあえず先に水に漬けておくか…)


と、ノロノロとした動きでリュックに取り付けていた飯盒(はんごう)を取り出し、米を入れ、水を目盛りまで入れた。無洗米は楽でいい。


 米が水を吸っている間にメインの料理の下準備をする予定ではあったのだが、ちょっと一息つこうと腰を下ろしたのが良くなかった。何しろ椅子が俺から離れたがらないのだ。焚き火は少しずつ大きくなってきている。


―――パチパチ、ユラユラ―――


(はあぁぁぁ…この暖かさ……ずっとみても同じ形にはならない、この揺らぎ…癒される…)


―――ユラユラ―――ユラユラ―――


(そろそろ火も安定してきているし、次に薪を足したら料理の準備するか…)


―――ユラユラ…………パチッ!


 急に炎が爆ぜて驚いて瞬きした瞬間、視界ユラユラ揺れはじめた。


「…っと、と。わっ…!」

 椅子から転げ落ちて、手をついて顔をあげると誠治は違和感を覚えた。

 設置したテントはある。持ってきた道具も食材も自分の周りにある。勢いのあった焚き火の火が急に消え入りそうになっていた。いや、それよりも…

「景色が…変わった?」


 誠治は立ち上がり、周囲を見渡して首を傾げた。見たこともない暗い木々の中に1人立っていることを理解した。



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