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焚き火と傭兵5(ビア缶チキンは大勢で)

耐熱用の厚手の手袋をはめ、誠治はジャハンの防具を火からゆっくり下ろした。


——ガシャンッ……——


(火傷しないように腕の力だけで下ろしたが、ものすごく重かった……)


こんな重いものを着て戦うとは……思わず戦う3人を想像してしまった。


たまっていた湯気が一気に解放され、辺りはより一層、香ばしい匂いに包まれた。表面は照りが出て輝いている。


(うん。うまくいったみたいだな……)


この見た目だけで誠治は満足だった。


「宝石みたいに輝いてる」

ジャハンはつぶやいた。


3人ともごくりと喉を鳴らした。


「今取り分けますね」


誠治はナイフで取り分け、皮目の部分をそれぞれの皿に乗せた。


「どうぞ」


——フー、フー……ハムッ——


途端に3人は目の色を変えた。

わずかに目が潤んでいた。

アゼルでさえ、目頭を指で拭った。


「なんって美味いんだ……」


「皮はパリパリで、だけど、中はしっとりしていて……」

「干し肉とは大違いだ……」

「こんな料理があるなんて……」


(そういえば——あの時、干肉を食べようとしたところに、俺が迷い込んだんだっけ)


誠治も一口齧った。


途端に肉の油とハーブ、ニンニクの香りがガツンと来る。

ゆっくり味わい、咀嚼するとほのかな塩気と肉のうまみがじんわり口いっぱいに広がる。

そして、ゆっくり飲み込むと、コショウとビールのあの香りが鼻の奥をくすぐった。

わずかに、アルコールの香りも感じる。


誠治は肺の空気を吐き切るように、深くため息をついた。


(うん。美味い。やっぱり俺は飲むより、料理として使う方が好きだ)


男たちは、言葉もなく、ただ口を動かしていた。


「気に入ってくれてよかった」

その姿を見て、誠治が呟いた。


「あぁ……」


3人はため息をつき、静かに誠治におかわりを要求した。




「驚いた」


「あぁ、ほんとうにたまげた」


「……本当に美味かった」


食べ終わると、男たちは誠治に口々に礼を言った。


「セージ、あんたの料理はすごいな……」

ジャハンは目を輝かせていた。

「魔法みたいだった」

「だから魔法使いなんだろ?」

アゼルはカルクをからかうように言い、笑った。

「それも料理の美味い、な」


誠治は眉を下げて笑った。

「違うんですよ、本当に」


「違うって何が?」


「俺は魔法使いではないんです。どこぞの金持ちの息子というわけでもないですし」


困惑した顔を向けられたので、誠治は慌てて付け加えた。

「もちろん、あなたたちを狙う敵でもありません」


「じゃあ、あんたはいったい何者なんだ?どうしてこんな場所に飛ばされてきたんだ?」


「それは……俺が知りたいです」


誠治は3人に自分がどうやって来たかを話した。

といっても食事を用意するところで、異世界に飛ばされた、としか言いようがなかったのだが。


「一度、同じことがあったんですよ。その時は気がついたら元の場所に戻っていましてね……」



「……なんだかよくわからねぇ話だな」

聞き終えると、カルクは髭をぼりぼりかいた。


「じゃあ、セージの料理は異世界のものということになるな」

「何をばかな……」

アゼルは頭を振った。

「こんな料理や調味料、いろんな場所に潜り込んで食事をしてきたが、貴族の食事でも見たことがないよ」

「……」

「この銀色の器だって変わってる」

アゼルはジャハンの言葉に黙り込んだ。



「……まぁ、飲めよ」

カルクは気づかわしそうな顔で、誠治に持っていた瓶を差し出した。

「一時しのぎにしかならないけどよ。気がまぎれる。元の場所に帰れる可能性はあるんだろ」

「はは、どうも」

誠治はシェラカップを差し出し、カルクは少しだけ注いだ。

液体はわずかに濁り、香りは見た目に反してさわやかな香りがする。


「うっ……」

たった一口だったが、喉が焼けるように熱い。思いきりむせた。


「ゴホッ…ゴホッ…すみません」

「わはは。飲み慣れてないと、きついだろ」

カルクはいたずらっぽく笑った。

「いえ、もともと下戸でして……よかったら、もう一品作りましょうか?」


「いいのか?」

ジャハンは食い気味に聞いた。


「えぇ、このお酒、少し使わせてもらっても構いませんか?」

誠治は、空になりかけたシェラカップを持ち上げた。

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