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焚き火と傭兵2


見知らぬ男達は、これから食事を始めるところだったのだろう。

その中になぜか誠治も混じって火を囲んでいた。

乾いた肉を握りしめていた屈強な男たちが、火の周りで、叫びとともに目を見開いていた。


「いったいなんなんだ?お前は!?」

「答えろ!」


男たちは飛びのいて、誠治に剣を突き付けてきた。

その素早い動きで、焚き火の炎が揺らめいた。


「誤解です!これは……」


誠治はとっさに両手を上げた。

慌てて説明しようとしたが、説明のしようがなかった。

わけがわからなかった。


「俺はただ食事の準備をしようとしただけで、その……それがなぜか急にここに転移してしまったようで……あの……前にも同じことがあったんです!」


自分でも支離滅裂な説明だなと思った。


長髪の男の剣を握る手が強くなったのが、誠治にはわかった。

長髪を一つに縛った男が、横に立つもじゃもじゃ髭の男に目配せした。


「何を言ってるのか、分からんぞ……」

「お前は分かるか?ジャハン?」


もじゃもじゃ髭の男が一番目を丸くしている短髪の男に聞いた。


「さあね……。俺たちに恨みのある敵兵の残党か、あるいは大間抜けな魔法使い野郎か……。分かっているのはこいつが魔法で転移してきたってことくらいだ」


ただ、そんなことはどうでもいいと言いたげな様子だった。


ジャハンは誠治をじろじろと眺めて、それから荷物の方へ目をやった。


「お、俺は魔法使いでもなければ、あなたたちの敵でもないです!」

誠治は急いで言った。


「そうかい。そんじゃ、ちょいと物色させてもらうぜ。」

もじゃもじゃ髭の男がにやりと笑った。


「カルク、魔法使いの道具を漁るなんて、助かった命を捨てるのか?」

アゼルと呼ばれた男は誠治から目を離さなかった。


「へっ!どうせ帰ったところで、あてがないんだ。ここで金目のものでもあれば、儲けもんだろ?」

「ちっ、物好きが……どうなっても知らねぇからな」


アゼルは投げやりに答えたが、カルクは誠治の荷物に手をかけた。


「お前はここに座ってろ」

誠治は2人に剣を突き付けられたまま、2人の男の間に座らされた。


焚き火の前だと言うのに、寒気が引かない。

なんだか生きた心地がしない。


「兄ちゃんも運がないねぇ……」

短髪の男がなれなれしく、声をかけてきた。

「俺の見立てじゃ、あんたは少々魔法をかじった、金持ちの放蕩息子ってところだ。どうだ?」

「どう、と言われても……」


誠治は返事に困った。

何もかも違うとは言えなかった。


「ジャハン、なれなれしいぞ。大体なんだ、その推理は……」


アゼルが警戒を緩めるつもりはなさそうだったが、ジャハンという男は先ほどの緊張と打って変わって、リラックスしているように思える。

ジャハンは剣を鞘に納め、誠治の隣に座り、距離を詰めてきた。


「こいつの身なりは清潔そのもの。見慣れないあの寝屋も質がよさそうだ。

手だって節くれだってないし?それに、大して肌も焼けていない。いい暮らししてたんだろ?」


ジャハンはテントを指さし、それから誠治の手を持ち上げた。


「荷物も使い込んでいる感じはあるが、どこか手入れをされている。

それに、あんたは魔法使いにとって大切な手を握られても抵抗することもなく、ただ怯えて困惑している。

こんな状況初めてなんだろ?ん?」

「はぁ……」


ジャハンは誠治を見て勝ち誇ったように笑った。


誠治はただただ困惑するしかなかった。

それだと認めたところで、命が保証されるのだろうか。


(俺はただキャンプをしたかっただけなのに、なぜこんなことになったのだろう。)


「ジャハン、お前の推理はよく当たる。だが、そうだとしても、こいつが魔法使いだということは変わりないだろうが」

アゼルは憤然とした。



「こいつは……」


荷物をまさぐっていたカルクは、ちょうど何かを見つけたようで、感嘆した声が聞こえた。


「見ろよ、こいつ光実を持っているぞ。それも相当上等なものを……!」


カルクの手には煌々と輝く光実が握りしめられていた。


「こんな輝き初めて見たぜ」


3人は、その輝きに魅入られているようだった。

アゼルでさえ、剣先が誠治からはずれた。


「これを売れば、いったいいくらになるのやら……」


カルクの握った手がぶるっと震えた。


「だが、こんな雑に入れて持ち歩くなんて、正気じゃねぇぜ……」

カルクは誠治を、何か恐ろしいものを見るような目で見た。


「これは、もらったんです」

誠治が説明した。


「もらった?」

3人はぽかんとした。


「以前、今と同じように転移したことがありまして……その時、お礼で……」

「……」


「その……大切な思い出なんです」


誠治は自分の答えがおかしいもののように思えた。

3人が何を言っているんだという目で見てきたからだ。




しばらくの沈黙ののち、ジャハンが口を開いた。


「他に何かなかったのか、カルク」

「あ、あぁ……冷たい箱に食料があったぜ。それも新鮮だ」

「へえ……」


カルクはジャハンに食材を見せた。ジャハンが小瓶を持ち上げた。

「この粉や液体は何だ?」

「それは調味料で」


誠治が口を挟んだが、アゼルは怒鳴った。


「おい、やはりこいつは怪しいんじゃないか?」

「それは、そうだが……」

ジャハンは少し口ごもった。


「なぁ、あんた、これから何をする予定だったと言った?」

「俺は……食事の準備をしようかと思っていたところです」


「ぷっ!くくくくく……」


急にジャハンが笑い出した。

2人も誠治もぽかんとした。


「そうかい、なら交換条件だ」


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