第二十三話の5 闇に囚われた真実
翌朝。
「よし、大丈夫だな」
地平線の彼方が薄い茜色に染まり始めているが、まだ太陽の姿は見えない中、ロンはいつものように柵を見回っていた。
ぐらつきがないか、穴が開いていないか、柵を固定するヒモが緩んでいないかなどを確認し、立ち上がろうとした。
その時後頭部に強い衝撃を受け、ロンは倒れこんだ。
「最初からこうしておけばよかったな」
誰かがそうつぶやいた。
ロンが目を覚ました時、森の中、少し開けた場所に全身縛られた姿で転がされていた。
「起きたみたいよこの子」
「んだよ、死んでもいいくらいのつもりで殴ったのに」
チケットを盗まれたと騒いでいた女がいるのが見えた。
それに答えた男はしゃがみ込んで背を向けていて顔は見えない。
見回せば10人くらいの人影があった。
カシャカシャと音がする。
父と旅をしていたロンはその経験から音に聞き覚えがあった。
武装している時の武器がこすれる音であった。
「こいつが数日に一度は騒ぐせいで村人の警戒がうっとうしくて仕方なかったんだ。柵も毎日見回るから小細工するヒマもありゃしねえ」
その声にロンはハッとなった。
「せっかく村のあちこちを見て回って金がありそうな家の地図も作ったっていうのに、あやうく計画がとん挫する寸前だ」
「こいつをただの嘘つきに仕立て上げようとしても、全然うまくいかないから本当にダメかと思ったんだよ。おかげてみたくもないショー見て帰ってきただけになっちまった」
「まあ、いい気晴らしにはなったろ」
「ああ、何を勘違いしたのかあの団長、タダでチケット用意してくれたしね。こっちゃ言いがかりつけるためにもともとチケットなんか用意しちゃいないのに」
「得したな」
男女の笑い声が響く。
チケットを盗んだと騒いでいた女と話しているのはザルトであった。
◇◇◇◇◇◇◇
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