第二十二話の3 脱出のショータイム
「男3人に女2人か。まあまあだな」
「働かすにはちと小さい気もするが、まあ知ったこっちゃねえか。あっち趣味のご貴族様もいるしな」
真っ黒に塗った幌をかぶせた荷馬車の中。
男2人が縛り上げた子供を取り囲んでいた。
周りには樽や木箱が積まれている。中身は何かわからないがおよそまともなものではないのだろう。
子供たちはガタガタと震えている。
「おい、街のほうが騒がしくなった。気づかれたかも知れねえ」
見張りらしき男がやってきた。
「さっきババアが見てやがったからな」
「追手が来る前にずらかろう」
男三人のうち一人は御者台に乗り荷馬車を発進させた。
一人はその隣に座り、ナイフで果物の皮をむきながら食べ始めた。
残り一人は樽の隣に座りこんだ。酒をぐびぐびとあおっている。
「お母さん、お母さん」
「怖いよ」
「おい、しずかにしてろ」
座り込んだ男が怒鳴る。
その恐怖に子供たちは固まった。
男は子供らが静かになったとみるや、酔いが回ってきたのか腕組みして目を閉じた。
「落ち着いて。縄外れそうだよ」
暗闇の中、声がした。
ミラであった。
震えながらも気丈にしていた。
「ショーのお姉さんに聞いたことがあるのよ。なんで怖いのに落ち着いていられるのって。そうしたら、怖いからこそ深呼吸して落ち着くのよ、って言ってたの。みんな深呼吸して落ち着きましょ」
子供たちはその言葉にゆっくり深呼吸した。
そうして少し落ち着きを取り戻したようであった。
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