第十九話の3 High Hope
オーリーはテントの裏にある荷馬車や動物の檻を興味深げに眺めていた。
荷馬車のはしごを上がって中に入ると、テーブルにおいてあるキラキラと輝く宝石や金貨、奥に座っている美しい男性の人形に目を見張った。
「わあ、きれい」
宝石は美しく輝いている。
手にとってかざしてみれば妖しく、魅惑的に彼女の心をとらえた。
オーリーの手が震えた。
しかし
「盗むのはいけないことだわ」
宝石をテーブルに戻した。
「へえ、最低限の常識はおありで」
ビクリ、とオーリーが振り返れば仮面の男が立っていた。
「当たり前でしょ! 人のものを勝手に盗んだらパパやママをだましてきた人と同じになるわ。それだけは絶対にしない」
「それがわかってたらもう少しわがままも控えられてはどうですかねえ」
と言いつつも仮面の男の口調は楽し気であった。
「わがままを言ってものをもらうのは盗むことじゃないわ。これからもわがままを言って得をするなら私はそうして生きていくのだから」
オーリーは得意げにふんぞりかえった。
「では一度、あなたの望む、わがままを言ったら何でも手に入る生活というのやらを試してみますか」
「は?」
仮面の男が横笛を吹いた。
ヒュウヒュウと少し変わった音色であった。
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