表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これなるは旅の一座にございます。煮ても焼いても食えません  作者: 春巧@金曜更新予定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/52

第十九話の2 図々しさを貸してちょうだい

 ショーの終わりごろ。

 またトラブルは起きた。

 ショーを鑑賞しにきている子供の中から数名が選ばれ、ステージの上で動物にエサをやるコーナーでのこと。


「ずるいわ!」

 あの声が響き渡った。

 雑談していた観衆は一斉に口をつぐみ、そちらを見た。


 手を挙げて指名された子を団員が迎えにきた様子に、目を吊り上げて指をさすオーリーの姿があった。隣で母親が必死になだめようとするも、それを振り切って指名された子にずんずんと近づくと、「私に譲りなさい!」と言った。

 その子の両親が「なんだね君は!」としかめっ面をする。


「申し訳ありません、申し訳ありません」

 母親がやってきて「私だってやりたい! 私が選ばれないならショーなんてやるな!」と暴れるオーリーを引きずって通路を苦労して歩き、テントの外に出て行った。

 やがて会場内は何事もなかったかのように熱気を取り戻した。


「いい加減にしなさい!」

「なんでよ! あそこで文句言ったら私になったかもしれないでしょ!?」

「いつもいつもそうやってわがままばかり」

「ママは人が良すぎるのよ! いつも人に譲ってばかり! パパだって友達に頼まれてお金を貸したらそのまま逃げられて、生活が成り立たないからって遠くの街に働きにいったきりじゃない! 私はそんなみじめな生き方はしたくないわ!」

「どうして、どうして…」

 母親は泣きくずれてしまった。


 そんな母親には一瞥もくれずオーリーは「ショーの途中で出てきたんだから何か見て帰らないともったいないわ!」とテント裏にずんずんと歩いていった。

「奥様、大丈夫ですか」

 仮面の男がしゃがみ込んでいた。


「ここは寒いでしょう。どうぞ、中へ」

「でも、うちの子が」

「ご安心ください。会場周辺は団員もおります。後で私も見に行きましょう」


「ご迷惑おかけして申し訳ありません。何かお礼でも」

「いーえー。所詮子供のわがままですからぁ。ささ」

 女性の団員がやってきて毛布を母親にかけた。中に導いていく。

 お茶お出ししてあげてくださいねー、と言って仮面の男も立ち上がった。

「さてと」


◇◇◇◇◇◇◇


読んでくださりありがとうございます。

応援いただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ