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STORY TELLER  作者: 茶々丸
魔法邂逅編
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55/168

055 高等学院生徒対抗戦④

あれ?何が起きたんだ?

確かにハウゲンの魔法は、俺を貫いたはずだ。なのに……痛くない?

目を開けると、ドリルが腹を貫通しているように見える。

だが、よく見てみると、なんと俺の体に当たった箇所から、ドリルがどんどん砂になって地面に積もっていくではないか。


魔法が消えている?ということは……


顔を上げると、西日を浴びて燦々と輝く一つ結びの髪を携えた幼なじみの姿。

その小さな右手は、ハウゲンが突き出したドリルを完全に無効化していた。

予想外の乱入者に自分の自慢の魔法を一瞬で消滅させられたハウゲン。苛立ちと驚きが入り混じった表情で、後ろに2.3歩後ずさる。


「ちっ、俺と同じ地属性の魔導師か。砂の結合を一瞬にして無効にするとは、相当な使い手だな。」


どうやら、若葉の魔法を勘違いしているらしい。まあ無理ないか。魔法そのものを消滅させてるなんて、普通考えつかないよな。


体制を立て直そうと、更に下がるハウゲン。若葉は俺の方を振り向き、心配そうな顔をする。


「太陽、大丈夫?怪我は……してるよね。

あと、魔法陣、壊しちゃってごめん。それに、本当は魔法、隠し通さなきゃいけなかったのに、ごめんなさい。」


俺がピンチなのを見て、いてもたってもいられなかったのだろう。額には大粒の汗。息遣いもいつもより荒い。


若葉の魔法が間に合わなかったら、大怪我はまぬがれなかった。それに、ごめんはこっちのセリフだ。俺が不甲斐ないばかりに。

でも、なぜだか素直に感謝と謝罪の言葉を伝えることができなくて。代わりに彼女の褐色の髪をわしゃわしゃする。


「わっ、わっ!なんでわしゃわしゃするの?」


「なんでもない!」


本当は自分が守りたい相手だからこそ、助けられて恥ずかしい気持ちがあったんだと思う。そういうところはまだまだ子どもだなと自分に呆れる。


「ちなみに、知ってると思うけど結構なピンチだ。もう魔法も残り数発しか撃てないと思う。」


数発とか見栄を張ったな、俺。実際のところ、残り1発……いや無理して2発というところだ。

2対2になったものの、勝利のビジョンはまだ描けそうにない。今だって、若葉を警戒して様子を見ているが、やつらが再び攻撃を開始したら、頼りは幼なじみの消却魔法のみ。


ふと、周りに目を向けると、観客や解説の興奮する声があちらこちらから聞こえてくることに気付いた。

これって…俺達の戦いに対するものではないよな?今は完全に膠着状態なわけだし。

そういえば、さっき残り4チームとか言ってたっけ。じゃあ向こうの試合が盛り上がっているのか。



……貴族に勝ったとして、次はそっちの勝者とやるの?無理じゃね?



なんて言ってる場合じゃないよな。まずはこっちをなんとかする。それが終わったら考える。一つ一つ……だ!!


「若葉頼っていいか?」


魔法を使ってはいけない若葉にこんなお願いするのは本当に違うと思うけれど、もうこれしかない。

ビクッとした後、俺の顔をマジマジと見上げてくる。いいの?私やっちゃうよ!って顔だ。

もう一回わしゃわしゃしたい気持ちを抑える。


「詠唱魔法で逆転を狙う。だから、詠唱が終わるまで、俺のことを……


……守って欲しい。」


「うん!!」


食い気味に、そして首をブンブン振る姿は、さながらボブルヘッド人形のようだ。こんな可憐なボブルヘッド人形がいたら、売り切れ続出だろうな、なんて考えてしまうあたり、もう俺、疲れすぎててやばい。


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