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STORY TELLER  作者: 茶々丸
女神編
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145/168

145 慧眼


ビュッ!

鋭い風切り音と共に、刃が振り下ろされる。


痛みを覚悟し、身体に力を入れ目を閉じるフィミール……





ガキンッ!!




ん?何やら鈍い音が響き渡る。


俺の首って、そんなに硬いのか?

しかし、一向に痛みが来ないのだが……



フィミールは不思議に思い、閉じていた目を恐る恐る開く。


そこに立っていたのは、1人の小さな少女。

リースの魔法剣を、同じく桃色の魔法剣で受け止めている。


そして、その先にはなんとウォーデン王に対して同じく魔法剣で斬りかかる男。

残念ながらあと少しのところで障壁魔法に防がれてしまっているものの、ハイルの顔には驚きと焦り、そして怒りの表情が表れている。


青色の雷を纏った魔法剣は、ショーンの十八番の魔法。

でももちろんショーンではない。ショーンより背は高いし、髪の毛も短髪だ。


「まさか、あの状態から戻ってくるとは……お前達のことを舐めていたよ。」


「それなら今ので倒れてくれよ。」


お互い距離を取り、並び立つ2組。



本当に舐めていたと、後悔するウォーデン王。特に、あの少女……関若葉については、完全に舐めきっていた。


そうだ……父さんは人を見る目は確かだ。そんな父さんが選んだ4人の内の1人。しかも、最も重要な『マーレ・オブ・マギ』を宿した少女なのだ。よく考えれば、予想外でもなんでもない。


けれど、ウォーデン国での日頃の様子や記憶を覗き見た限りでは、全く脅威を感じなかったのも事実なのだ。確かに良い子ではあった。が、特段心が強いわけでもない、むしろ不安定な部分も垣間見えるごく普通の13歳だったはずなのに……


凄まじい眼力だなと改めて父親を尊敬する息子。だが、このままで終わるわけにはいかない。


幸いにも、魔法を使えるのはこの2人だけらしい。そうでなければ、他の魔導師達も一斉に攻撃してくるはずだ。

このくらいは想定内だと、余裕を取り戻すハイル。



「それで、あなた達2人で私とリース、ドール達を相手するということかな?それはいささか無理があるのでは?」


ドール達も魔力量の低下でいつも通りの力を出すことはできないが、それでもそこら辺の魔導師達とは遜色ない。


その数約30体。


それだけ戦力差があれば諦めてくれるのではないかと予想していた。


しかし、ウォーデン王の考えに反して、2人はやる気だ。


「勝てるかどうかは、やってみなきゃわからないよ。」


「俺の大切な人達を傷つけたお前を、絶対に許さない。例え王様の息子であろうとな。」


「はぁ。」と一つため息をつく。

この子達は殺したくなかったのだが、こうなっては仕方がない。

優先事項はハイラスマーレ王の抹殺。彼の計画の阻止だ。


ハイラスマーレ王、ショーンは、フィミール、里穂、マーレに連れられ既に戦線を離脱し、後方にて待機している。


まぁ問題ない。この2人を片付ければ捕らえるのは容易だ。


そして次に捕えた時には、もう容赦しない。

邪魔が入ろうが何があろうが、全員まとめて殺そうとハイルは心に決める。



「それじゃあ始めようか。リース。」


リースのマーレ・オブ・ドールの力で、一斉にドール達を呼び寄せる。

白み始めた空が、ドール達によって一瞬暗くなる。そのまま攻撃に移る。



こうして、この戦争、最後の戦いが幕を開けたのであった。



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