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STORY TELLER  作者: 茶々丸
女神編
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139/168

139 様々な真実


「そしてマーレ・オブ・マギを暴走させた私は、世界の全ての魔力を吸収しようとした。

でも、私の身体はウォーデン国とその周りの海、大地の魔力を吸収した時点で限界がきていたの。

多分、ちゃんと力をコントロールしながら吸収していけば、本当に世界の魔力の全てを吸収できたのかもしれない。


でも、暴走した私はただひたすらに魔力を吸うだけ。


そんな私の姿を見たパパは、自分も大怪我をしてるのに一生懸命止めようとしてくれた。

私の名前を何度も何度も読んでくれて、抱きしめてくれて。


嬉しかったなぁ……もう意識はなかったけど、その時の温もりは今も覚えてるよ。」



目の前の少女……親友の姿をした少女は、「それでも結局死んじゃったんだけどね。」と困った笑顔で締めくくった。


私はというと……ボロボロ涙をこぼしながら、その話に聞き入っていた。

顔はもう涙でぐちゃぐちゃ。でも、止められなかった。


だって、すごく悲しいお話だったから。


彼女もお父さんもお母さんも……みんな頑張ってたのに。少しでも国を良くしようと、みんなを助けようと……


それなのに、そんな終わり方……悲しすぎるよ。


それに目の前で妻と娘に先立たれたお父さん……ウォーデン王はどんな気持ちだったのか。

ウォーデン王のことを許せない気持ちもあるけど……私だったらそんな現実、耐えられないかもしれない。


だからこそ、あのような残酷な一面が生まれてしまったのかもしれない。精神に多大な負荷がかかると、人の心が変質してしまうことがあるとテレビ番組でやっていた。

ウォーデン王ハイルには、優しい一面もある。それを私も身をもって経験している。


「でも……なんで私にそんなことを教えてくれたの?」


初対面の私にこんなプライベートの話をしてくれるなんて、あんまり思い出したくない過去のはずなのに。

そんな疑問を投げかけた私に対し、

「なんでだろうね……ただ、聞いて欲しかったのかもしれない。」

と再び困った笑顔を浮かべた。




ここは……どこなんだろう。


以前、大将軍フリードに傷付けられた太陽を救うために展開した白い球体の中と同じような場所。

暖かく、湯船に浸かっているような……でも、あの時と違うのは、周囲が優しい山吹色に発光しているところ。そして、格段に広い。上も下も、右も左も、とてつもなく遠くまで広がっている。

ううん、もしかしたら先がないのかもしれない。


ただただ心地良い……ずっとこのままでもいいくらい。

ここで目を閉じて、眠ることができたなら……どんなに気持ちが良いのだろうか。



このまま、終わりにできたなら……





だけど……



私にはまだ会いたい人がいる。


まだ、伝えたいこと、伝えなきゃいけないこと、伝えられてないんだ。


もう一度会って、今度こそ伝えるんだ。



だから、戻らないと。




このまま死ぬのは、嫌だ。




「あなたにも、大切な人がいるんだね。じゃあ、戻らなきゃダメだよ。」


すごく悲しい笑顔。


「私は……戻れなくて、大切な人にすっごく悲しい思いをさせてしまったから。だから……ね。」



底抜けの優しさが伝わってくる。たくさんの人達に慕われていたのがよく分かる。



「あなたは……私の知ってるリースじゃないよね。」


「うん。あの子は……今のリースは、わかちゃんの記憶の中の新見ひかりさんの性格を、パパが私の身体にトレースしたホムンクルスだよ。


私が本当のリース。」


なるほど、だからあんなにひかりと性格が似ていたんだ。

いや、似ていたんじゃなくて同じだったんだ。


そりゃ、私と息がぴったりのはずだよ。


「あれ、でも今、性格をトレースしたって言ったけど見た目は?」


見た目も……なんなら声も瓜二つだけど。


「えっ、もしかして見た目もそっくりなの!?」


「うん。」


このことには、本人もかなり驚いているみたい。私は最初、見た目もトレースしたのだと思っていたんだけど、よくよく考えて見れば今私の前にいるリースも同じ姿をしてる。

外見は本当に瓜二つなのだ。


「そんな偶然、あるんだね……私もびっくりだよ。」


あははと笑う彼女に、違和感を覚える。

わかちゃんって呼び方といい、やっぱりリースとは全然違う。


ううん、これが本当のリースなんだよね。



「それで、ここはどこなの?」


純粋な疑問。

分からないって言葉を予想してたんだけど、予想に反して答えが返ってきた。


「ここはね、マーレ・オブ・マギの中……みたいな場所だよ。

この空間全てが魔力なんだ。私達……ううん、もっと前の世代の人達、歴代のマーレ・オブ・マギの継承者達が吸収してきた魔力の中に私達はいるの。」


「あなたはなんでそんなこと知ってるの!?」


私はまだ彼女をリースって呼ぶことができなかった。こちらのリースが本人なので、失礼なことは百も承知なんだけど……

そんな私の様子など意に介さず、肩をすくめて答えてくれるリース。


「なんかね、死ぬと色んなことがわかるみたい。死ぬ前に教えてよって感じなんだけどね、あはは。」


やっぱり私の知ってるリースとは違う。


違うけど……こっちのリースもなんだか好きだなぁと思い始めている私。


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