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STORY TELLER  作者: 茶々丸
女神編
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126 Highlastmare vs. Warden⑤


まずは里穂姉や魔導学院で教わったことを思い出す。戦闘経験自体は先程の通り惨敗だ。どう転んでもこの部分では勝ち目はない。


けど、魔法なら。


私の魔法はドールの魔法の完全上位互換。ドールには吸収できる魔力に限界があるけど、私にはそれがない。これはかなりのアドバンテージになる。加えて、今現在私の身体の中には途方もない魔力が蓄えられている。


この2つのことを踏まえて総合的に見ると、勝率は五分五分だと考えていいと思う。



次に考えなきゃいけないのは先手を打つか、迎え撃つか。実力差がある場合には、先手を取った方が絶対に良いと先生が授業で話していたのを思い出す。

相手の方が圧倒的に強ければ、予想外の奇策等で先手を取り、一縷の望みにかけるしかない。逆にこちらが強い場合は相手に何もさせず、一気に押し切るのだ。その方が魔力の消費も少なくて済むとのことだった。


ただ、私は普通の魔導師とは違う。私と同じ魔法を使うリースはこう言っていた。


「基本的には先手をとった方がいいことが多いけど、私やわかは絶対に迎え撃ったほうが有利だからね。だって、私達にはどんな魔法攻撃も通じないんだから。」


そのかわり、気をつけなきゃいけないことが一つあるんだけど……

うん、決めた。私は友達の……リースの教えを信じる。


身体の中から魔力を引き出し、呪文を唱える。


「オートシールド!」


召喚された4枚の盾は、私の周りを意志を持ったように飛び回る。

オートシールド。自動で相手の物理魔法を防御してくれる盾。里穂姉のイージスと比べると防御力は遥かに劣るけど、それは数で補う。


魔法には大きく分けて2つ。特殊魔法と物理魔法。特殊魔法はトールハンマーや雷の矢、バレット等、魔力の形状を変化させてぶつける魔法のこと。対して物理魔法とは、魔法で加速させた石をぶつけたり、魔力強化した身体での肉弾戦のことを言う。

私の吸収魔法は、特殊魔法に対して無類の強さを発揮する。どんな強力な特殊魔法も、全て吸収してしまう。

けれど物理魔法に対しては、その物質に付与された魔法自体は吸収することができるけど、物質自体を吸収することはできない。対抗戦で貴族達が放った魔法が私に怪我を負わせたのもそれが要因だ。


唯一の弱点、それを補うためのオートシールド。これでどんな魔法攻撃も迎え撃つことができるはず。

私は覚悟を決めてドールの一挙手一投足に気を配る。


こちらが攻撃しないと見るや、ドールが両手を前に出す。その手に集まる魔力。

放たれたのは4本の雷を纏った鎖。太陽の魔力を帯びたその鎖は、4方向から変幻自在に迫ってくる。


これは……


同じく4枚の盾がそれぞれ連動し、鎖を受け止めた。同時に付随した雷の魔力を吸収し、動きを止める。

やっぱり物理魔法だった。多分鎖は召喚魔法で出現させたのだろう。それを磁力を帯びた電気で自由にコントロールする。


私の魔法の弱点をつこうとしてるのは明らか。やっぱりばれてるよね。

それに私を捕まえる計画は現在進行形みたい。さっきの魔法、完全に拘束系の魔法だし。それならそれで、付け入る隙はありそうだけど。


ドールは鎖を一度自分の元へ引き戻すと、再び電気を纏わせる。青く放電する金属が、ゆらゆらと浮かび上がる。


「私にその魔法は通用しません!」


射出された鎖を先ほどと同じようにオートシールドで防御する。そして雷の魔力を吸収しようとしたところで……


「シ、シールド!!」


咄嗟に真正面に第5の盾を召喚する。

間一髪。足を狙ったのであろう、弾丸のように放たれたの複数の礫を受け止めた。

しかし、攻撃は終わらない。雷の魔力を吸収できなかったため、鎖は未だ不規則な動きを続け私を狙う。オートシールドは鎖の防御に充てており、再度放たれる礫の弾丸はシールドで防御するしかない。

シールドは防御の基本魔法だけど、私が莫大な魔力を注ぎ込んでるから簡単には破られない。

問題は別の方向から新たな攻撃がきた時。もう盾は出すことができない。

魔力は無限大でも、コントロールするのは私。私の技術では、この数が精一杯なのだ。



他の攻撃がきたらもう……




私の後ろに気配を感じ、咄嗟に振り向く。そこにはドールが無表情で立っていた。まだ礫の弾丸は反対方向から飛んできている。やっぱり礫と鎖は囮。私にもう防御手段がないことに気付いてるんだ。


ゆっくり迫るドール。

若葉、最大のピンチ……




……ではなかった。


「マジックバースト!!」


こんな時のためのとっておき!

私の周囲360度に高密度の魔力を一気に放出する。最初ドールは魔力を吸収しようとしたが、あっという間に限界量を超え吹き飛ばされた。当然、雷の鎖と礫も吹き飛ぶ。

高密度の魔力は私から半径10メートルの円周に広がったところで止まった。


マジックバースト。下位魔法の中でも練習として魔導師が覚える攻撃魔法。

ただ自分の魔力をそのまま相手にぶつける魔法で、対象をよろめかせる程度の威力しかない。何より魔力をそのまま当てても効率が非常に悪いのだ。属性を付与して弾丸や矢にしたり、光線にしたりして撃ち出すほうが遥かに少ない魔力で威力を出すことができる。


だからみんな使わない。使われる場面といえば、子どもの喧嘩くらいかな?


えっ?でも威力が全然違うじゃないかって?

それは私が使っているから。


少量の魔力であれば、当たっても相手をよろめかせる程度にしかならない。でも、私の場合は下位魔法とは思えないほどの魔力を込めることができる。

非効率……でもそもそもほぼ無限にある魔力を効率的に使う必要なんてない。

極大魔法クラスの魔力を直接ぶつけられれば、どんな魔導師だって防御は不可能。そのまま吹き飛ばされるか、距離をとって回避するかのどちらかしかない。


攻防一体の魔法。これが技術がない私の使えるとっておきの魔法。


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