124 幕間
ここまで全て計画通りだ。
かつて世界で最も信用していた人であり、現在は絶対に許すことのできない最強の敵と魔法を交えながら、心の中でほくそ笑む。
私達の戦いは完全に拮抗していた。高位魔法を軸に、時には極大魔法も惜しげなく放つ。
が、最後の最後で決め手に欠く状況。
いや、決め手に欠いているわけではないか。私も……そしてあの人もきっと何かを待っている。だからあえて決着をつけていないのだろう。
あの人の考えなど手に取るように分かる。なぜならあの人は……
地面から唸りを上げて噴き出る巨大な火柱を、絶対零度の寒気で一気に凍らせる。炎を秘めた氷は、真夜中にも関わらず鏡のように反射しキラキラと芸術品のように輝く。
いいさ、このまま戦いを長引かせれば。
どうせ彼女が……女神が成長するのを待っているのだろう。
しかしあの人は分かっていない。成長の先にある絶望を。
あの魔法はリスクを伴う。
コントロールできれば最強だ。だが、まだ心も体も幼い彼女にあんな強大な力を制御できるかな。
私の娘ですら、制御できなかったのに……
準備は整いつつある。第二段階だ。
私は、絶対にあなたの企みを許さない。
ここまで全て計画通りだ。
かつて世界で2番目に愛していた人であり、現在は自分の計画を阻もうとする最大の障壁である彼と魔法を交えながら、心の中でほくそ笑む。
この戦い、周りから見れば異次元のレベルの魔法戦に見えるかもしれないが、それは誤りだ。実際には互いに6〜7割程度の力に抑えている上に、そもそも殺す気などない。
もちろん今のところは、だけれど。
それぞれに目的があり、その目的が成就するまではおいそれと全力を出すことはできない。お互いに生きているからこそ、達成できる目的なのだ。
そして、そのことを互いに知っている。
龍の形をした水の塊が迫る。水龍弾。バレットの一種だが、その威力はバレットとは一線を画す高位魔法。凄まじい水圧で対象を吹き飛ばす魔法だが、もちろん私には通じない。龍の形をした雷の塊を放ち、魔法を相殺する。
恐らく、彼の狙いは女神の暴走だろう。
あの魔法に関しては、彼の方が知っていることは多い。娘が同じ魔法の使い手だったのだから。
ただ、その娘は私とだって深い関係があった。それにあれだけの魔法、魔導を志す者として、興味が湧かないわけがない。
及ばずながらも、しっかり研究させてもらったよ。
そして知ったのだ。あの魔法が、世界を救う鍵だということに。だからこそ、女神には成長し真の力を身につけてもらう必要があるのだ。
しかし……愛すべき娘があのような死に方をしたというのに、それでもこの世界に執着しようとするなど馬鹿げている。
しかも、私の目的を阻むために、あのような人形まで……
人形……ドール達については非常に腹立たしい思いを抱いている。先程も言った通り、彼女は……彼の娘は私とも深い関係があるのだから。
さて、次はどのような手でくるか……いずれにせよ、思い通りに事を進ませるつもりはない。
私は絶対に目的を達成してみせる。




