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STORY TELLER  作者: 茶々丸
女神編
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121/168

121 Highlastmare vs. Warden①


炎と雷がぶつかり合い爆発する。衝撃波となり空気を振動させるが、それが止む前に王様は次の攻撃に移る。

虹色の閃光がウォーデン王に迫る。しかし、ドール達が取り囲み閃光を残らず吸収する。威力が高く吸収し切れなかったドールが1人落下する。が、それ以外の4人は吸収し切ったようだ。

吸収した膨大な魔力を使って数え切れないほどの水弾が放たれた。


「私が全部止めます!!」


里穂姉が20以上の障壁を展開し、全ての水弾を防御する。その様子を見て、今度はこちらをターゲットするドール達。


『ドール達に低、中位魔法は効きません。全て吸収されてしまいます!吸収できない高位以上の魔法で攻撃してください!!』


マーレの念話が戦場に響き渡る。けれどこの指示はそんなに簡単なことじゃない。


そもそも高位魔法は普通の魔導師なら必殺技と言っても過言じゃない。

私達や4賢者、王様は惜しげもなくバンバン使ってるけれど、それが異常なのだ。本来は低位、中位魔法で戦闘を有利に進め、勝負を決める時に使われるのが高位魔法。戦闘中に何度も使う魔法じゃない。


だからこそ中位魔法までを無効化するドールは脅威だ。私達がなんとかしないと。


「大いなる雷撃で、敵を粉砕せよ!ギガサン……ぐわぁっー!」


「全てのものを洗い流せ、ウォーター……いやぁぁ……」


やはりいきなりの高位魔法の使用には無理があった。詠唱途中で攻撃を受けてしまい倒れる魔導師さん達。


「第二部隊、一度俺の後ろに!!スプレッドサンダー!!」


太陽が前に出ると同時に広域魔法を放つ。ハイラスマーレ国が攻められた時にも使った魔法。でも、今回は勝手が違った。

電撃は戦場全体には広がらず、第二部隊と呼ばれた魔導師さん達の前に飛んでいた3人のドールに集中する。電撃を吸収し切れず動きが止まるドール達。


「今だ!全員撃ち込め!!」


太陽の声で攻勢に出る魔導師達。色とりどり、さまざまな属性の魔法がドール達を貫いた。


太陽、すごい!魔導師さん達と連携してる!

この間の戦いとは大違いだ。自分だけで無理に攻めず、周りと連携しながら有利に戦局を進めていく。

いつの間にか隣にいて、尊敬の視線を送る私に対し、鼻を掻きながら照れ臭そうに笑う幼なじみ。


「いやさ、若葉がつれ攫われた後、このままじゃダメだって思ってさ。俺もショーンさんやエリーン先生から集団戦闘について学ばせてもらったんだ。


……次はちゃんとお前を守れるように。」


最後の言葉は小さくて聞き取りづらかったけど、でも、ちゃんと聞こえたよ。


「ありがとう、太陽。」


そう言って笑顔を向けると、後ろにいた数人の魔導師さん達からクレームが入る。


「おいおい隊長さんよ、戦場でイチャイチャするのは勘弁だぜ。」


ニヤニヤしながら茶々をいれる男達。そんな男達の腹に軽く拳を入れると、そっぽを向く太陽。


照れてる。かわいい。

それになんだかすごく信頼されてるみたいで……私が見てない間にすっごく頑張ったんだなぁ。


『若葉さん、隊長、本当に頑張ってたんっすよ。文字通り死ぬ気で。愛の力っすね。』


拳を入れられ少し痛そうに、でもニヤニヤしてる男の人から念話が届く。


愛の力って……今度は私の顔が赤くなるのを感じる。


「おいお前、聞こえてんぞ!

けど、お前らの言う通り、浮かれてられねーな。戦いは始まったばかりだ。気を引き締めていくぞ!!」


「「「おぉー!!」」」


掛け声と同時に散開する魔導師さん達。


「太陽、ありがとう!

それじゃあ、私の成長も見ててね。」


そう伝え、前に一歩出る。

目の前には新たに補充された2人。空中で静止しながらこちらを凝視している。


きっと私がいるから迂闊に手を出せないんだ。

それなら遠慮なくいかせてもらうよ。


私は右手を上げ、体に眠る魔力を一気に引き出した。


「ファイヤーボール!!」


ファイヤーボールは文字通り火の玉を放つ魔法。魔法初心者が最初に覚える低位魔法だけど、私が魔力を込めれば……


ゴォ!!

撃ち出された火の玉は全長5メートルにも及び、全てを焼き尽くす地獄の炎と化す。


ご丁寧に火の玉を吸収しようときたドール達は完全に容量オーバーになってしまい飛行能力を失った。地上に落下したことを確認した私は、火の玉に込めた魔力を霧散させた。


そのまま焼き尽くすこともできたけど、私はそんなことしたくない。人形とは言え、リースと同じ姿をしているんだから。


後方から「やるじゃねーか。」や「あれはファイヤーボールじゃねーよ。チートだろ。」という声が聞こえて来る。

誰がなんと言おうとあれはファイヤーボールだ!ちょびっと魔力多めではあるけども。


「念話が使えてたからわかってたけど……本当に魔法を使えるようになったんだな。」


「うん!でも、前みたいに魔法を消すこともできるよ!」


正しくは消すじゃなくて吸収するだけど、それは戦いが終わってからきちんと伝えればいいや。

私の魔法には色々秘密があるから、ここで詳しく話すのはまずい気がするし。



戦いは混沌とし始めている。様々な場所で戦闘が繰り広げられ、地上には倒れた魔導師さ

んやドール達が増えてきている。

7割がハイラスマーレ国の魔導師、3割がドールというところか。状況はあまり芳しく無い。


戦場の様子をおさらいする。前線での戦闘は大きく分けて4箇所。

1つ目は太陽率いる第二部隊と私vsドール達。今さっき5人のドールを倒したけど、やられている人数はこちらの方が多い。後方支援部隊からの回復魔法で戦場に復帰している魔導師さんもいるけど、戦闘不能状態の人が多く、多分……死んでしまった人も数人いる。


2つ目はエリーン先生率いる第一部隊。こちらにはフィミールさんが加勢しており、エリーンさんの多彩な魔法とフィミールさんの圧倒的な体術を中心にこちらと同じく数人のドールを戦闘不能に追い込んでいる。けれど、やはりやられてしまった人の方が多い。


3つ目は……海斗兄…

なんと1人で7人のドールを討ち取っている。戦場は魔力で満ち溢れており、闇の禁術を使い放題。圧倒的な火力で薙ぎ倒している。

いや、本当に暴走してなくて良かったと心の底から思う。あんなに強かったら果たして止められたのか怪しいところだ。


4つ目は王様とショーンさんvsウォーデン王。ウォーデン王の周りにはまだ数人のドールが飛んでいるけれど、ショーンさんがうまく引きつけてながら戦っている。

そしてウォーデン王ハイルとハイラスマーレ王の戦い。月光に照らされ怪しく光る汚染水工場をバックに、凄まじい魔法の応酬。

ハイラスマーレ王が龍を象った水を召喚すれば、ウォーデン王はすかさずその龍を凍らせる。ハイラスマーレ王はその氷を爆破し、鋭い破片をお見舞いするが、火属性の魔法障壁でそれを受け止める。


攻防のレベルが高すぎて、参入できる気がしないよ。


私や海斗兄のゴリ押し戦術ではなく、高度な魔法戦。その戦いは、見るものを魅了するものであった。


そして戦場の後方には、支援専門の第3部隊が陣取っている。こちらの指揮はなんと里穂姉がとっているではないか。マーレも加わり、かなり強力な布陣となっている。

支援魔法、回復魔法でなんとか戦場を支えている。多分この部隊がいなければ、とっくの昔にハイラスマーレの魔導師達はやられていただろう。


しかし、ハイラスマーレ国の精鋭部隊の2つを幼なじみが……この2週間で一体何があったのだろうか……凄すぎでぐうの音も出ない。


最後に私の友達……王の娘にして人形の女神リースが、戦場の遥か上空から静観している。

ううん、ドール達の動きがどんどんこちらに順応してきてる。きっと状況を把握し、適切な指示を出しているのだろう。


リースを倒せばドールは止まる。だからみんな狙っているはずだ。

けど、そこに行き着くには困難な壁が立ち塞がっている。

ドール達だ。こちらがリースに向かって行こうとすると、すぐさま潰しにくる。それに加え、リースの周りには常時10人のドール。これを突破するのは並大抵のことじゃない。



でも、もし突破されてしまったら……

それはハイラスマーレ国としては喜ばしいことだけど……殺されるかもしれない友人を私は見て見ぬふりすることができるだろうか……


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