表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
STORY TELLER  作者: 茶々丸
女神編
PR
109/168

109 ウォーデン国の心臓

前を見ると、小さな明かりが見える。トンネルの出口だ。


「ここは……」


トンネルを抜けると、そこにあったのは四角い4つの建物。

どの建物もぼろぼろで、上部は金属製の骨組みが露出してしまっており、天井はない。今にも倒れそうだけど、下の方はしっかりしているようで、中に釜?のような物が見える。


「これって、ドラゴンの背中から見た建物だよね?立ち入り禁止区域の奥にあった。」


海斗兄は静かに頷く。

空から見た時と同じように、生命の気配は一切感じられない。地面は剥き出しで雑草一本生えておらず、木々もほとんどが根から倒れ腐っている。


リースと修行していたところ以上にここには死の空気が蔓延っている。


そして、私ですら不快に感じるほどの魔力。

魔力は建物に近づくにつれどんどん重く、きつくなっていく。


こんな魔力、普通の人が触れたら一発で命を奪われてしまう。海斗兄とマーレに何かあったら……

私は気を引き締め直し、魔力吸収を行う。



「この建物はなんなんですか?」


「この建物で汚染水は作られています。今からタンクに汚染水を注入し、また地下へと運びます。」


「この作業を毎日?」


「それが私達の仕事ですから。」


トレーラーのスピードが徐々に落ちていき、右から2番目の建物の前で停車した。

間近で見るとやっぱり大きい。中学校の2倍…いや3倍くらいはありそう……

私達から見て正面の壁には、またしても青い鳥のマーク。


トレーラーが完全に停止すると、3人は私達を車内に残して降車する。


「この建物をぶっ壊せば、ウォーデン国に大ダメージを与えられそうだな。」


海斗兄、物騒なことを言うんだから……

でも戦争中なんだし、相手の重要施設を狙うのは当然のことなのかな。でも、一般の人の暮らしまで脅かすのは……


「確かにその通りかもしれません。けれど、それをやってしまったら私達はウォーデン国と同じになってしまいます。私は一般の方々を巻き込むのは反対です。」


マーレが私と同じ考えで安心する。対して海斗兄も「言ってみただけだよ。」と肩をすくめる。



「……時間に少し遅れが見られるぞ、何かあったのか?」


外からリースとは別の声が聞こえてくる。窓からそっと覗き込むと、またしても宇宙服の人。

さっきとは違う人だと思うけど、リース達に対しての横暴な態度は変わらないみたいでモヤモヤする。


「なあ、これまずくないか?絶対俺達の話、出るよな?」


確かに。

彼女は聞かれたことには正確に答える。というか、そもそも私達はどこの誰だかわからない怪しい人物。聞かれなくても報告される可能性が高い。

もしかして私達をここに連れてくるためにあえてどうでもいいように振る舞っていたのかな?そうしたら絶望的だ。


「いつでも逃げられるよう準備しておきましょう。その時は、少々手荒な真似も必要かもしれません。」


リース達が話している反対側にも、トレーラーがすでに3台並んで停車している。そして同じように運転手側で宇宙服と白ローブの人達が会話中。


どちらから逃げても、すんなりとはいかないだろう。


身構える私達。しかし、リースの言葉は意外なものだった。


「ホースを巻き取るのに時間がかかってしまいました。申し訳ございません。次からはこのような不手際がないよう心がけます。」


なんで私達のこと、伝えないの?


「なるほど、では次は気をつけるように。もし同じミスを繰り返した場合は、わかっているな?」


「承知いたしました。」


何事もなかったかのようにトレーラーのホースを建物から出ているパイプに接続し、汚染水を汲みなおす。


「なんか分かんねーけど、助かったみたいだな。」


「そうですね。とりあえず今回はウォーデン国の心臓部とも言える場所を確認できたわけですし、成果はありました。このまま地下へ引き返し、地上へ戻りましょう。」


あとでリース達が戻ってきたら、なんで私達のことを伝えなかったのか聞いてみよう。



バタリ。



何かが倒れる音、外からだ。

もう一度窓から覗き込むと、リースと一緒に行動していた2人のうちの1人が地面に突っ伏している。

私達が固唾を飲んで見守る中、耳を疑うような言葉が宇宙服の人から発せられる。


「なんだそいつ、もう寿命か。お前達、しっかり廃棄処分しておけよ。それから新たなドールを申請しておくように。」


「承知いたしました。」



廃棄処分って…ドールって……何?

倒れているのは人間だ。それなのに、まるで物のような扱い。

それにリースも承知しましたって……



リースが両腕、もう1人が両足を持つと、そのまま無造作にトレーラーの後方に設置された穴のようなものに運びこむ。

振動で、フードがハラリと外れる。





その時、私達はとんでもないものを見てしまったのだ。


運ばれる人の顔が、リースそっくりだったことを……




そして気づいてしまったのだ。


ここにいる白いローブの人達が、みな同じくらいの身長、体格であること。



何より、魔力の質が全く同じだということに……



私はリースと共に修行を繰り返したことで、彼女の魔力の質を完全に把握していた。



だから分かる。





宇宙服の人達を除いて、ここにいる白ローブの人達は……





みんなリースだということに……








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ