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STORY TELLER  作者: 茶々丸
女神編
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103/168

103 恋!?


リースのレッスンが始まって早1週間……つまり、私達が捕虜になってから9日が経過した。


魔法の感覚、そして何より自分の魔法の特性を知った私の成長は、自分で言うのもあれだけど凄まじいものであった。

ただ吸収と放出をすることについてはお手のもの。集中すれば自分の意思でその量もコントロールすることができる。


プラスして、魔法もある程度は使えるようになってきた。ただこれについては、また別の才能が必要であり、STORY TELLERに記憶を授けられていない私が幼馴染の3人に追いつくのは至難の技だ。

とは言え、魔力量という概念に囚われない私は、ただの火炎魔法でも上位魔法の火力を出すことができる。


なんせみんなの10倍……100倍の魔力をこめることができるわけだからね。

基本の魔法が全て必殺の魔法になるので、難しい魔法は覚える必要はないのかもしれない。


そんなにばんばん魔法を使ったら、吸収して貯めた魔力もなくなってしまうのではないかって?

心配ご無用。私は自然界の魔力も同じように吸収することができる。敵の魔法も吸収し、自然にある魔力も吸収すれば、魔力が切れることなど考えられないのだ。


ちなみに、リースの見立てでは、今私の中に貯蔵している魔力量は少なく見積もっても100万以上。

これは、この世界きっての魔力量をほこる太陽の500倍。

うん、俗に言うチートというやつですね。




「ただいまー!」


「「おかえりー!」」


まただ。

最近部屋に帰ると必ず感じるこの感覚。気恥ずかしいような、ソワソワするような。

マーレ……というより、海斗兄から感じるこれは……恋!?


最近部屋に帰ってくると必ず海斗兄とマーレがお茶をしている。何時に帰ってきているのかは知らないが、必ずなのである。


そしてその雰囲気がとっても良い感じなのだ。

恋愛というものに疎い私ですら感じられるのだから、きっとそういうのに敏感な里穂姉とかが見たら一発だろう。



うーん……やっぱり直接聞いてみよう!!


マーレがシャワーを浴びると席を立った後、私はどストレートに疑問をぶつけてみた。


「ねえ海斗兄、マーレのこと、好きでしょ?」


「ぶふっ!!」


その反応はお見通しだよ!

私はお盆で吹き出されたコーヒーを華麗にガードする。


「おまえ急に何を言うんだよ!!」


「だって、最近2人、すっごく良い雰囲気だし。それに海斗兄のマーレを見る顔、今までに見たことない顔してるもん。」


伊達に長い付き合いではないのだ。

そんな自信満々、興味津々な私を見て、「はぁーー」と大きなため息をつく幼馴染。


やっぱりね!!その反応は間違いない!!


「里穂には絶対言うなよ。」


「いやいや、里穂姉ならすぐに気付くと思うよ。」


マジかという表情で頭をかく。

それから、「いつから?」だとか、「どんなところが?」とか、とにかく気になったことをそのままずけずけと聞いていく。


きっと海斗兄、嫌だろうなぁと思いつつも、これまで15年近く好きの「す」の字もなかった幼馴染の恋愛事情への興味は、理性では止めることができなかったのだ。



「でもびっくりしたなぁ、前回この世界に来た時から好きだったんだ。というか、海斗兄は女の人とか好きにならないものだと思ってたよ。」


「なんか地味に失礼なやつだな。

そりゃさ、お前や里穂みたいなやつにずっと囲まれてりゃ、そんじょそこらの女子なんて、女子に見えないからな。」


「んん?どういう意味?」


「そういう自覚がないところが、太陽を困らせるんだと思うぞ。まぁ、お前らの恋愛事情など知らんけど。」


ますますハテナが頭の上に浮かぶ。

自覚がないって、何に自覚がないのだろうか……

まあいっか!!今は海斗兄のことに集中だ!!


「それで、どうするの?アタックしないの??」


複雑な表情の海斗兄に肩をぐいっと近づけるが、軽くいなされる。


「若葉、お前テンション高すぎ。

何もしねーよ、マーレはショーンが好きなんだし。」


えっ、海斗兄知ってたの!?

驚く私をよそに、残ったコーヒーをぐいっと飲み干し、テーブルの上のクッキーに手を伸ばす。


「だから俺は何もしねーの。分かったらこの話は終わり。俺も部屋に戻るわ。」


そう言って立ち上がる海斗兄の腕をギュッと掴む。まだなんかあんのか?と面倒臭そうな顔をする海斗兄に、


「それでいいの?」


と問いかける。

だって、好きな気持ちを抑えるって、すごく苦しいことだから。

私も太陽に好きな人がいたら、きっとすっごく落ち込む。でも、きっと諦められない。

叶わないかもしれないけど、それでも絶対諦めない。



だって、好きになっちゃったんだもん。



だから、海斗兄にも諦めてほしくなかった。

その気持ちを大切にしてほしかった。


だから……



先程までの浮ついた気持ちは一切消え、私は真剣に幼馴染を見つめていた。


海斗兄も、面倒臭そうだった表情から徐々に困った顔に変わっていく。


「でも、何度も言うけど、マーレには好きな人がいるんだぜ?」


「そんなの関係ないよ。ショーンさんも好きだけど、私は海斗兄の方がもっともっと好き。ショーンさんには悪いけど、何を言われようと私は海斗兄を応援するよ。」


沈黙。

時計の秒針がチッ、チッ、と時を刻む音だけが部屋に響き渡る。



ガチャリ


扉が開き、ガウン姿のマーレが現れる。髪の水気をタオルで拭き取る姿はとっても色っぽくて、女の私ですらドキドキしてしまう。

きっとマーレに恋愛感情を抱いている海斗兄は、もっとドキドキしてるだろう。


そんなこととはつゆ知らず、私達の方に顔を向ける姫様。


「どうしたんですか?」


小首を傾げる姿も魅力的。

海斗兄、どうするの??


彼は、マーレに聞こえないよう小さなため息をつき、私の頭をゴチンと一発。もちろん軽くだけど。



「あのさ、明後日ちょっと遊びにいかないか?」





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