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綺羅五芒星  作者: 床擦れ


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序「天界當に大顛し、五神は皆墜天す」 五話

 孚應ふおう大刀だいとうるった。

 ひとぎでかいれはりになるが、みずけたようなものでしかなく、ふたたむらがってくる。

 この光景こうけいを、何度なんどたか。

 さいわい、孚應ふおうつかれをかんじるようなからだではない。それにしても、中央ちゅうおうしている天帝てんていもとさんじようというのにすすめられないということは、精神せいしんわずらわせた。

 紫微垣しびえん閣道かくどう不通ふつうとなったのは、天界てんかい動乱どうらんこるわずまえだった。同時どうじ天棓てんほう一部いちぶくずれたりもした。

 天界てんかい諸官吏しょかんりは、凶兆きょうちょうであると口々くちぐちはなっていたが、議論ぎろんまとまるまえ紫微垣しびえん各所かくしょ不全ふぜんとなっていった。

 はじめにことこったのは、斗魁とかいばれる場所ばしょであった。

 いつもならば斗魁とかいあたりは、精気せいき満々まんまんとしているはずであった。その精気せいき疎弱そじゃくとなった。

 なにがあったのか、と斗魁とかいちゅう天理てんりあたりにいたへい警邏けいらをしていると、突如とつじょとして瘴気しょうきがった。

 ただごとではい。にいたすべてのものかった。即座そくざ天帝てんていもとへとへい派遣はけんするべし、という羽書うしょ急報きゅうほう)がばされたのである。

 紫微垣しびえん中央ちゅうおうにいた天帝てんてい対処たいしょをするべく、おのれ近衛兵このえへいである勾陳こうちんぐん派遣はけんした。

 この勾陳こうちんぐん主将しゅしょうるのが、孚應ふおうである。

 孚應ふおうぐん総帥そうすいとして、黄龍こうりゅうびそやされている。いては追随ついずいゆるさず、かつ怜悧れいりであり、評判ひょうばんたかい。

 勾陳こうちんぐんおさとしては、これ以上いじょう人材じんざいはいないだろう、というお墨付すみつきがる。それゆえに、ただの軍隊ぐんたいとしてだけでなく、天界てんかいでの祭祀さいし儀礼ぎれい壮麗そうれいかざやくもあった。

 じつえば、孚應ふおう天帝てんていとのあいだには然程さほどつながりはい。勾陳こうちんぐんおさ推輓すいばんされたのも、黄帝こうてい口添くちぞえがあったためである。それまでの孚應ふおうという神格しんかくは、何者なにものでもない、空虚くうきょなものであった。

 しかし、いまのやくいてからは多忙たぼうとなった。

 天界てんかいには意外いがいと、問題もんだいがある。すこしでも巡行じゅんこうくるうことがあれば即座そくざ是正ぜせいをし、安定あんていもどさなければならない。寸分すんぶんくるいもゆるされないきびしい世界せかいであるから、そのぶんつかかた過剰かじょうなまでに鋭敏えいびんでなければならなかった。

 てん不変ふへんことわりなかうごいているのではなく、神々かみがみ努力どりょくてん不変ふへんにしているのである。

 そういう意味いみえば、斗魁とかいでの異変いへん発端ほったんとするいま天界てんかい状況じょうきょうは、孚應ふおうからしてもあせりをしょうじるものであった。

 てん不変ふへんでなければならないというのに、それこそ乾坤けんこん転覆てんふくしてしまいかねない現象げんしょうはじめている。

 てん清浄せいじょうでなければならない。それなのに、氛気ふんき()()()()おとてながらがっている。あたりが昏迷こんめいとしている。

 くらがりのなかで、孚應ふおう天帝てんていろうと藻掻もがいている最中さなかであった。


 背後はいごからかぜるようなおとこえた。孚應ふおうおとけつつも、目前もくぜんかいれをひらいていった。

 背後はいごから、かい悲鳴ひめい幾重いくえにもこえてくる。すくなくともかいてきする存在そんざいであるとはわかった。

 孚應ふおうてき味方みかたかもらない存在そんざいいつかれまいと、大刀だいとう速度そくどおおきさを、さらにはげしくした。はげしくなるにしたがって、かいける速度そくどがっていった。しぜん、濁流だくりゅうのようであったかい陣容じんよう徐々じょじょうがたれて、孚應ふおう進路しんろしめすようになっていった。

 からこえかった。

 孚應ふおうせわしなくかいてながらこたえると、こえあるじ陵光りょうこうだった。

 孚應ふおう先頃さきごろから背後はいご躍動やくどうしていた正体しょうたいを、はじめてった。

 孚應ふおう陵光りょうこうへ、かずいくらか、つかれはるのかといてから、おのれまま前進ぜんしんするから、陵光りょうこううえから掩護えんごをするように、と指示しじをした。

 陵光りょうこうこころよ返事へんじをし、そのままんでいった。

 孚應ふおう麾下きかかいれをなしながら、しらせをってきた。白虎びゃっこぐん勾陳こうちんにまでているということと、執明しゅうめいひきいるぐん百万ひゃくまんぐんれてかいへと衝突しょうとつした、ということであった。ひがしからのりゅうぐん天市垣てんしえん足止あしどめをされているとも、孚應ふおうみみにははいってきた。

 強力きょうりょく援軍えんぐん続々ぞくぞく来着らいちゃくしている事実じじつはげまされながらも、孚應ふおう天帝てんてい御座おわ宮殿きゅうでんへ、階段かいだんのぼっていた。

 孚應ふおうけず、陵光りょうこうび、かいき、また何処どこけつるのかを逐一ちくいち孚應ふおうげていた。同様どうようえば白虎びゃっこぐんも、怒涛どとうごとかい殄滅てんめつしながらすすんでいる最中さなかであった。

 そらからが、あめごとそそいできた。

 勾陳こうちんぐんは、みな長兵ちょうへい長柄ながえ武器ぶき)のみを使つかう。白虎びゃっこぐんは、ここまでの射程しゃていたない。このように雨矢うしらすのは、おもくのは執明しゅうめいぐんであった。

 いよいよてんぐん苛烈かれつになった。渦巻うずまいていたかいれが、まばらになっていた。勾陳こうちん外郭がいかくが、つむじかぜようになっている。

 まだしばらえようと、孚應ふおう覚悟かくごをしていた。しかしちかくにしょうあしとどくのに、そこまでときようさなかった。

 はじめは監兵かんぺいた。白虎びゃっこ麾下きか軍勢ぐんぜい勾陳こうちんそとたたかっているあいだ監兵かんぺいのみが蛮勇ばんゆう発揮はっきして、孚應ふおうそばにまで突貫とっかんしてきたのである。

 孚應ふおう心強こころづよい、と監兵かんぺい到来とうらいよろこび、また監兵かんぺい孚應ふおう無事ぶじ奮戦ふんせんて、欣喜きんき大仰おおぎょうにした。

 そのあと宮闕きゅうけつかいおおよ殲滅せんめつされつくしたときもんから執明しゅうめいんでくるのがえた。

 となりには孟章もうしょうが、巨躯きょくらしながらはしっていた。どうやら二柱ふたはしらで、かいけてきたようだった。

 孚應ふおう先導せんどうとなった。陵光りょうこう監兵かんぺい執明しゅうめい、そして孟章もうしょうといった五神ごしんは、天帝てんていすくわんとして、いよいよ殿でんはいった。

 天帝てんてい天帝てんてい昊天上帝こうてんじょうてい、と大声おおごえびかけながら、孚應ふおう大議堂だいぎどう玉座ぎょくざへとけた。

 玉座ぎょくざまえ天帝てんていと、天帝てんていとりこにしている異形いぎょうえた。

 孚應ふおうふく五神ごしんだれしもが、異形いぎょうも、姿すがたらない。

 孚應ふおう異形いぎょうに、名乗なのりをうながした。言葉ことばつうじるかはわからない。だが、なに意図いとるのなら、言葉ことばいささかも反応はんのうしないとは、ならないのではないか。

 異形いぎょう表情ひょうじょうようと、孚應ふおう見詰みつめた。

 眼輪がんりんに、ひとみつある。そのせいか、どこをているのかがさつせない。

 異形いぎょうくちざしたまま、ゆっくりと五神ごしんながめている。

 くびうごいた。そこに孚應ふおうは、異形いぎょう感性かんせいた。

 監兵かんぺいける。陵光りょうこうぶ。

 異形いぎょうふところもぐみ、一撃いちげきくわえんとした。

 かわされ、陵光りょうこうに、監兵かんぺいはりばされた。

 んでいく監兵かんぺいけ、孟章もうしょうおのりかぶる。

 あたまへ。孟章もうしょう號音ごうおんとどろいたが、つぎにはうなこえわった。

 孟章もうしょう膂力りょりょくつうじぬ。異形いぎょううでで、うごきをとどめている。

 隙有すきありと、執明しゅうめい大弓おおゆみった。飛矢ひし異形いぎょう水月みぞおちこうとしている。

 異形いぎょう孟章もうしょうせいしたまま、よこかわした。孟章もうしょうぎゃくに、異形いぎょうから水月みぞおち穿うがたれた。嗚咽おえつる。

 異形いぎょうにしたほこげ、孚應ふおうねらってきた。孚應ふおうとし、異形いぎょうにらんだ。

 ない。

 よこやいばえた。

 孚應ふおうかがみ、やいばへと大刀だいとうふるるった。

 異形いぎょうた。とらえたとおもっても、そでかすめるだけである。

 げる。からだひねられた。えぬところからやいばる。

 すこまわりをれると、異形いぎょうには執明しゅうめいがっていた。

 孚應ふおうは、一撃いちげきふせいだ。それでも二十歩にじっぽばかりのわだちつくった。

 五神ごしんった。異形いぎょう各々おのおの一睨ひとにらみした。

 ゆか一撃いちげき異形いぎょううがたれた。

 れる。ひびはいる。

 しょうじた大穴おおあななすく、五神ごしんてんからちていった。

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