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綺羅五芒星  作者: 床擦れ


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3/11

序「天界當に大顛し、五神は皆墜天す」 二話

 監兵かんぺいと、そのちちたる白虎びゃっこ将軍しょうぐんは、觜宿ししゅく営所えいしょたむろしていた。

 へいあつめ、うまやし、左程さほどとおくない出撃しゅつげきけて、着々ちゃくちゃくとした準備じゅんびすすめている。

 まわりには鎧士がいしつどい、みな整然せいぜんならんで食事しょくじっていた。

 とおく、彼方かなた紫微垣しびえん方角ほうがくて、白虎びゃっこ腕組うでぐみをし、そして鼻息はないきあらくしている。

 かれ姿すがたは、これからこるであろう戦場せんじょうかぜさきんじてかん沸騰ふっとうさせている、ということにほかならない。

 白虎びゃっこ政治せいじ苦手にがてである。

 みやなかおこなわれる起議きぎだとか、それ以降いこうこり議論ぎろんだとか、あるいは議論ぎろん前提ぜんてい条件じょうけんとして必要ひつようになる配慮はいりょとか慇懃いんぎんさとか、そんなものは男神だんしんにはそなわっていない。

 無理むりにしようとでもこころみれば、いよいよもっ閉口へいこうして、やまよううごかなくなる。

 しかし、いくさがひとたびこればたれよりも雄弁ゆうべんになる。

 それは多弁たべんになるわけでなく、謀略ぼうりゃくせいすというわけでもい。

 ただおのれほこってうまり、そしてけ、数多あまた悪辣あくらつものどもをせて、寸刻すんこくうち鎮圧ちんあつする。

 白虎びゃっこ一度ひとたび戦場いくさば姿すがたあらわせば、天界てんかいものどもをはげましたり、たすけたり、あるいは恐懼きょうくおとしいれたりする。

 とき天官てんかん一柱ひとはしら白虎びゃっこ災禍さいかたん見出みいだして、天帝てんてい

のぞくべし」

讒言ざんげんをしたことがあった。

 天帝てんていは、讒言ざんげんれなかった。

 安寧あんねいみだすことはあるが、安寧あんねいければもろい。

 そのこと断乎だんことして天帝てんていき、そして、むしろ讒言ざんげんをした天官てんかんほう笞打むちうちにしょした。

 ただ本心ほんしんはといえば、天帝てんてい男神だんしんほかならぬ純粋じゅんすいな、云々うんぬんとすればがく裏打うらうちされたもの頭脳ずのう駆使くしして権謀けんぼう術数じゅつすうあらわすのとは真逆まぎゃくの、こころきよらかさをためであった。

 監兵かんぺいは、白虎びゃっこというちちぎ、巨大きょだい背中せなかながらそだってきた。

 ちち驍勇ぎょうゆうぶりはことごとっている。

 だからこそ、監兵かんぺいという神格しんかく目指めざすべきところおのずとまっている。ちちあとぎ、そして天界てんかいせるような勇将ゆうしょうになることこそが、れにほかならない。

る」

 白虎びゃっこ朴訥ぼくとつとした性格せいかくである。

 言葉数ことばかずはいつも、会話かいわたせるにはあまりにすくない。

 紫微垣しびえん方角ほうがくけた白虎びゃっこは、おのれるべき天馬てんま手綱たづなつかむと、武神ぶしんらしい甲冑かっちゅうおどらせながらまたがった。

 監兵かんぺいもまた、うしろにけられた天馬てんまへとった。

 白虎びゃっこ指揮しきするぐんは、きりのようにてき穿うがつ。

 いくじん積層せきそうさせて、やまごとくにそびえさせたとしても、たにとおすほどのちからが、白虎びゃっこ以下いかへいにはある。

 ことごといくさたびみなみなしてうたうたい、甲高かんだかこえ宇宙うちゅうひびかせ、各々おのおの蛮勇ばんゆう発揮はっきし、一挙いっきょ敵軍てきぐん撃砕げきさいする。白虎びゃっこらの流儀りゅうぎであった。

 此度こたびも、そのとおりである。

 たかこえひびとどろなかぐんれが衝突しょうとつした。

 てきたるかいは、ねちっこい知識ちしきようするものどもではい。反面はんめん、あまりのかずおおさは、いくさいくさかさねてててきた白虎びゃっこですら、体感たいかんしなかったものであった。

 そのぶんちからちからおのれ如何いか匹夫ひっぷとなりれるかこそが、いくさ勝敗しょうはいかれである。

 白虎びゃっこだんじていた。

 いくさになるとたれよりも雄弁ゆうべん闊達かったつになる男神だんしんは、まさものこそがつ、そういう場所ばしょこそおのれ本性ほんしょう発揮はっきするのに相応ふさわしいと、ほこ八千はっせんまわし、かい躯体くたい千々ちぢばした。

 白虎びゃっこぐんいて、統帥とうすいたる彼がいちやりほかゆずったことはい。どれだけの劣勢れっせいろうとも、どれだけの強者きょうしゃおのれ麾下きかようとも、つねきり寸毫すんごうさきには、白虎びゃっこる。

 そして、そのうしろにはつね監兵かんぺいしたがい、やりとして豪勇ごうゆうぶりをるう。

 へい武勇ぶゆう感化かんかされて、さら勇気ゆうきふるうように教化きょうかされている。それがおのれらのあるじであれば、あるしゅ崇拝すうはい精神せいしんわさって猶更なおさらであった。

 白虎びゃっこ自身じしんもまた、喚呼かんこため先陣せんじんっている。武事ぶじ必要ひつよう狂気きょうきじみた勇気ゆうきを、おのれ体内たいない循環じゅんかん強化きょうかする仕組しくみが、たしかに出来上できあがっていた。

 監兵かんぺいけないながら、武神ぶしん圧倒あっとうできうるほど軽勁けいけいであり、流石さすが白虎びゃっこである、とうべきであった。

 白虎びゃっこあまりのはやさでけるせいで、うしろにこぼされるてきがいる。それらをあまさずにるのが、監兵かんぺいわたされた権限けんげんである。

 あかるく、光線こうせんはつするかのようにかがやいて、てき見逃みのがさないようにできている。

 武勇ぶゆう発揮はっきするうえで必要ひつようになる野蛮やばんさというめんでは、白虎びゃっこよりも監兵かんぺいほうあきらかであった。たたかかたれば、白虎びゃっこがあくまで武神ぶしんらしく一方いっぽう監兵かんぺい遊戯ゆうぎたとえても放縦ほうしょうぶりをせたりもする。

 こうして白虎びゃっこ監兵かんぺいこしきとした三輪さんりん駆動くどう軍勢ぐんぜいは、たしてかず以外いがい無能むのうかいどもをてきとはしなかった。

 幾里いくりにもわたってつづれのなかを、けずりにけずってすすんだ。その幾里いくりすすんだのに半刻はんこくようさなかったほどかれらがもたらした戦闘せんとう次第しだいとははげしい。まれたかいしかばねとならぬものはなかった。

 白虎びゃっこ背後はいごて、これだけの殄滅てんめつ行為こういまえにしながらも、なおおのれらのあとけようとするかい姿すがたみとめながら

くぞ」

一言ひとことだけをはつして、紫微垣しびえんへのみちふたたすすはじめた。


 觜宿ししゅくから七百ななひゃく五十ごじゅうすすんだころである。

 白虎びゃっこらのぐんえいると、のこ千里せんり道程どうていすすために、うまへいやすませはじめた。

 まわりにかい気配けはいい。

 煩雑はんざつとした天界てんかい状況じょうきょうをもってすれば、このあたりはもっと静謐せいひつだとってもかった。

 監兵かんぺいちちよこで、つぎ行軍こうぐんそなえてよこになっている。

 かぜさついた。

 監兵かんぺいはすぐさまからだこした。おのれかんじたことのにおいを、そのかぜかんじたのだ。

 よこほこいでいた白虎びゃっこも、感覚かんかく同様どうようにしていたらしい。親子おやこしめわせ、すぐにうままたがった。

 かぜいてきた方向ほうこうへとかって、おのれらのかんじた不穏ふおん原因げんいんさぐろうとした。

 あたりはひらけている。ひくまばらにえ、こしたけほどのくさおおわれている、そういうである。

 原因げんいんはすぐにつかるだろうとおもわれたが、そうだと断定だんていできるような物体ぶったいとか現象げんしょうは、親子おやこにはえなかった。

 これではかえるしかない。二柱ふたはしらえいもどろうとしたとき頭上ずじょうからおおきな啼声ていせいこえた。

 咄嗟とっさであった。これは危機ききだと判断はんだんした親子おやこは、うまはしらせた。

 そらから、巨大きょだいってきた。

 はしからくちばしさきまで、じゅうじょうもあるようなは、喉笛のどぶえからおとこくびれるときはつするようなこえしつつ、監兵かんぺいだけでた。

 途端とたんかぎいた丸太まるたのようなあしで、監兵かんぺいりつけた。

 うまとも監兵かんぺいばされて、うめき、瞬時しゅんじがれなくなった。

 はそのまま、監兵かんぺいほうかってくちばししてくる。蚯蚓みみずついばむような格好かっこうであった。

 危機ききに、白虎びゃっこ発奮はっぷんした。

 いからせ、うまむちって、ほこをもって一突ひとつき、死角しかくからくわえた。

 魔物まものは、あんがい機敏きびんであった。

 監兵かんぺいへの気前きぜんをすぐにえて、今度こんど白虎びゃっこほうくびけた。

さきけ」

 白虎びゃっこえた。

 いた監兵かんぺいは、すぐさまちちして、おのれまもろうとしていることにいた。そして

紫微垣しびえんて」

というつぎ言葉ことばで、かならずやつという自信じしんと、おのれなければ()()()ぐんひきいろ、という命令めいれいとをって、監兵かんぺい白虎びゃっこまかせ、えいにいるぐん紫微垣しびえんれるべく、げた。

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