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綺羅五芒星  作者: 床擦れ


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序「天界當に大顛し、五神は皆墜天す」 一話

 なんとかして、紫微垣しびえんかわなければならない。

 陵光りょうこう焦燥しょうそうられながらも、おのれ書棚しょだなから星官圖せいかんずし、ひらいたうえさしがねてて距離きょりはかっていた。

 おのれるのは軫宿しんしゅくである。そこから紫微垣しびえん勾陳こうちんかうまでのおおよそは、これではかれた。

 ぶことができるのだ。そうすれば、あるいてものどもよりもはや辿たどくことができるだろう。

 そこまでかんがえてから、おもきをいなとするように、べつかんがえがかんだ。

 軫宿しんしゅく紫微垣しびえんとのあいだには太微垣たいびえんがある。

 太微垣たいびえんわば、ほうつかさど官吏かんりたちの居住地きょじゅうちであり、かつ執政しっせい機関きかんそなえた行政ぎょうせい地区ちくである。

 しかしながら、通常つうじょう清廉せいれん空気くうきながれているはずの太微垣たいびえんいまや、かいどもの巣窟そうくつであるという。

 逐一ちくいち斥候せっこうはしらせ、しらせをってはいるが、かえってくる情報じょうほうほとんどが、いま混沌こんとんぶりをあらわしていた。

 太微垣たいびえんには虎賁こほんみかど直属ちょくぞくへい)や常陳じょうちん宮中きゅうちゅうまもぐん)もせていたはずである。かれらがかなわなかったということは、かいどもは余程よほど強勢きょうせいっているらしい。

 最短さいたんくとなれば、上空じょうくうっていかねばならない。

 だが、もしもけられたなら、どのような手段しゅだんもっねらってくるのか、想像そうぞうづらい。

 なかにはそらぶものもいる。そういった情報じょうほう斥候せっこうからはけている。うだけならば、いっそ無視むししてもい。しかし、なに特異とくいのうかいるなら、相手あいて潜在意識せんざいいしきとして用能ようのうしてるだろう。

 けっきょくさしがね星官圖せいかんずてたまま、切歯扼腕せっしやくわんしてかんがえるのみなのか。

 陵光りょうこうあたまかかえもしたが、かなければどうにもならないと、あまくなっているおのれ精神せいしんむちって、軫宿しんしゅく城塞じょうさいからさん武吏ぶりのみをれてした。


 太微垣たいびえんうえとおれぬのであれば、ほかみちとおればい。

 ごく単純たんじゅん発想はっそうではあったが、しかしおのれさきことごとはばむのがいま天界てんかいである。

 何処どこからかいき、どのようみち紫微垣しびえんほうへとむかかっているのか。ことがとんと、見当けんとうもつかない。

 なんとか理解りかい端緒たんしょひらこうとはしている。だが、あまりにもかいが方々(ほうぼう)からきあがり、蔓延まんえんぎていて、斥候せっこうつかわせても全く、りていないのである。

 ゆえに、事象じしょう()()()()えているはずなのにけむかれているという、頓狂とんきょう状態じょうたいおちいっている。

 兎角とかく用心ようじんかさねながら、おのれわかりやすいようにみちえらんですすんでいくしかない。

 そこで陵光りょうこうは、鬼宿きしゅくまで行き、かつ紫微垣しびえん目指めざすというみちえらんだ。

 鬼宿きしゅくくまでの、翼宿よくしゅく張宿ちょうしゅく星宿せいしゅく柳宿りゅうしゅくおのれ管轄下かんかつかいてある城塞じょうさいである。

 その城塞じょうさいぐんからの羽檄うげき急報きゅうほう)というものはいまのところとどいていない。

 かいどもも何故なぜ一路いちろ紫微垣しびえんけてのみ行軍こうぐんしているのだという。それは巣穴すあなかえありのような、蝟集いしゅうであるともう。

 それがただしいのであれば、一気呵成いっきかせいせられるよりかは、これらの城塞じょうさいたもたれてはいないか。

 思索しさくめぐらせながら、柳宿りゅうしゅくまでのみちのりを急行きゅうこうした。

 道中どうちゅうかいれをして、続々ぞくぞく紫微垣しびえん方角ほうがくへとかっているのがえた。

 不気味ぶきみなほどである。まるで陵光りょうこうらの姿すがたえていないかのように、ただかうべき方角ほうがくのみを行進こうしんをしている。

 その光景こうけい瞠目どうもくしていたのは、陵光りょうこうだけではない。

 陵光りょうこう従者じゅうしゃである武吏ぶりどももみな、どういうことだとって、陵光りょうこう現象げんしょう所以ゆえんただしてきた。

 陵光りょうこう前例ぜんれいいことだけに、わからぬ、としかこたえることができない。

 これまでのかいあるいは悪事あくじそうという凶神きょうしんどもは、なまじっか知能ちのうるだけに、其々それぞれとりでおとすことにちからいていた。

 今度こんどかいは違う。土地とちという概念がいねん理解りかいする知能ちのうが、まったいようだった。

 そのぶんかず桁違けたちがいである。おそわれればみちにあるせきなどのたぐいはひとたまりもいだろうが、しかしながらかい行動こうどう阻害そがいしないものならば、とどめることすらしない。

 どうこうと理屈りくつねるより、これをかさないことはい。

 道中どうちゅうほこまじえることをしないのであれば、そのぶんだけ紫微垣しびえん辿たどくのもはやい。

 勾陳こうちんまでは、まだとおい。このみち如何いかに、はやけられるのかが勝負しょうぶなのだ。

 そのためにはまず、はじめのとお柳宿りゅうしゅくさきにある鬼宿きしゅくはいるべきであった。

 それでも、ここまでをびにんできた。

 一日いちにちせんき、各宿かくしゅくかい動向どうこうさぐりながら、さくりつつの行程こうていである。

 従者じゅうしゃのこともかんがえると、いずれは何処どこかでやすみを入れなければ、いたとき即座そくざうごけなくなる。

 おのれまったもっ平気へいきだが、まわりをれば疲弊ひへいかん克明こくめいであった。

 ここはあせ気持きもちをおさえ、紫微垣しびえん防衛ぼうえい能力のうりょく信頼しんらいして、えてでもやすまねばなるまい。

 一昼夜いっちゅうや柳宿りゅうしゅくからだやすめさせた。

 おのれはまだはたらかねばならぬ、とくらくなってからは燭台しょくだいともして、今後こんご動向どうこうろうとしていた。

 四更よんこう一夜いちや五等分ごとうぶんしたうちよん時間じかん区分くぶん)にいたって、城門じょうもんひらおとがした。

 まさかいま戦況せんきょうおそれをしたもの勝手かって開城かいじょうしたのか。

 そう勘繰かんぐったが、すぐさまもんじるおとったとき杞憂きゆうであるとわかった。

 しばらくすると、陵光りょうこうもとあわただしく、へい単身たんしんんできた。

陵光りょうこうさま陵光りょうこうさま大変たいへんです!」

 そうったへい陵光りょうこうまえひざまずいて、こと次第しだいはなはじめた。

 鬼宿きしゅくしろおそわれ、陥落かんらくするかしまいかの狭間はざまるのだという。

 なんだ、はなしちがうではないかと、にいる陵光りょうこう配下はいかみなおもった。

 かいどもは紫微垣しびえんかって行進こうしんしているのではなかったか。なぜいまになって、いきなり鬼宿きしゅくきびすかえしてきたのか。

 惑乱わくらんさせようとするうごきの根本こんぽんは、たしてかれらの本能ほんのうにあるのか、それともいくさ機微きびもうとする、将帥しょうすいたぐい唐突とうとつえてきたのか。

 かく陵光りょうこうはじ天界てんかい神々かみがみ後手ごてまわっている。

 連携れんけいすらも途切とぎれている以上いじょう逐次ちくじ情報じょうほうもときゅうしているかって対処たいしょほどこほか手立てだてがい。

 陵光りょうこう軫宿しんしゅくかられてきた武吏ぶりめいじ、柳宿りゅうしゅくへい半数はんすうおのれ麾下きかとしてれて、鬼宿きしゅく方角ほうがくへと進発しんぱつした。


 渺茫びょうぼうとはまさしくこのことうと、陵光りょうこう鬼宿きしゅくあたりにいたときおもった。

 かいれがなくつづき、はる彼方かなた姿すがたかすかになるほどひろがっている。

 これほどの大群たいぐんは、かつたことがい。

 いきんだ。

 よこにいる武吏ぶりいち

「これにんでいけば、玉砕ぎょくさいしますぞ!」

と、こえあららげた。

 てんて、てん守護しゅごするものである以上いじょうという下天げてん概念がいねんおそれることはい。

 それでもなおいくってもりないという絶望ぜつぼうを、いだかせる光景こうけいである。

 陵光りょうこうはしかし、ふるわせた。

 大群たいぐんなか()()()鬼宿きしゅくしろ指差ゆびさし、われらはあのしるたすけねばならぬ、と喊乎かんこした。

 武吏ぶり驚嘆きょうたんした。本当ほんとうくのかという気分きぶんが、あたりをつつんでいる。

 くのだ、とった。

 陵光りょうこうおのれ精気せいきって雌雄しゆうけんげると、いからせて敵中てきちゅうった。

 陵光りょうこうとはじつの所、武吏ぶりではい。

 天界てんかい図書としょ調しらべ、瑞祥ずいしょう凶兆きょうちょうげて報告ほうこくするような、かくぬしである。

 よう文吏ぶんりであった。うちこもってはだしろいことがほこりになるようなものが、ここはむべし退いてはならぬと、存外ぞんがいゆうした。

 このげんのがして、武吏ぶり名折なおれとならぬことはい。いま奇抜きばつ風景ふうけいを、おのれちからとせずしてなにすのか。

 供回ともまわりの武吏ぶり意気いき軒昂けんこうとなった。

 そしてられて、柳宿りゅうしゅくかられてきたへいみな大喊声だいかんせいげた。

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