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綺羅五芒星  作者: 床擦れ
自軫之章至井之章

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柳之章「三柱を疑わ可から使むに、人人出師す」 三話

 三柱みはしら一人ひとりは、西海镇シーハイジェンからチェはしらせた。路面ろめんわるかったのか、とき車輪しゃりん空回からまわりしそうないきおいであった。

 執明しゅうめいチェ天板てんばんかまえ、監兵かんぺい後部こうぶ椅子いすから多方たほううかがっている。陵光りょうこうはとえば、いま具合ぐあいわるそうな丁淩ディンリンって、ぎょ過失かしついよう見張みはっていた。

 十里じゅうりばかりをはしった。

 チェ側面そくめんまど二度にどたたかれたおとがする。陵光りょうこう丁淩ディンリンからはなつらい。監兵かんぺいって

まど

と、みじかつたえた。

「どうすんの」

 監兵かんぺいチェまどをどうすればいのか、わかららなかったらしい。

「──監兵カンペイ

 だるさのかったこえされた。

 陵光りょうこうよこ丁淩ディンリンである。ぎょためにぎり、まえからはなさないままになにかをつたえようとしている。

(àn)那个(nàgè)按钮(ànniǔ)

 そういながらあごちいさくっている。陵光りょうこうチェつくりをらないながらも、丁淩ディンリンしめさんとしているものをせわしくさがした。

 まどまわりになにかないかとおもってれば、すこした突端とつたん気付きづいた。ほかものいかと、対面たいめんまどした同様どうようる。

 る。ならば、これではないか。

監兵かんぺい、そこをせ」

 陵光りょうこう突端とつたんした。

 監兵かんぺい指先ゆびさき辿たどって、理解りかいしたらしい。乱暴らんぼうてのひらけた。

「すこししかかないよ! 兄々にいにい!」

「だったらさえてみろ」

 陵光りょうこう言葉ことばしたがい、監兵かんぺい突端とつたんさえつづけた。

 まどがり、そとかぜはいってくる。がりきると、監兵かんぺいそとした。

「おねえちゃん!」

 かぜおとわかりにくいが、かすかに監兵かんぺい執明しゅうめいけているのがこえる。執明しゅうめいこえされて、陵光りょうこうにはれなかった。

 陵光りょうこう監兵かんぺい相槌あいづち仕草しぐさだけで様子ようすうかがい、んできたあとにようやくいた。

なにっていた」

へいはいないけど、まだうえにいるって」

 陵光りょうこう()()うしろをた。たしかに、へいらのっていたような仰々ぎょうぎょうしいチェってくる姿すがたい。平原へいげんなかみちなりにているのだから見失みうしなわれるはずもかった。

 警戒けいかい執明しゅうめいまかせようとめて、陵光りょうこうあたまめぐらせた。わない理由りゆうなにか。丁淩ディンリン様子ようすつつである。

 陵光りょうこうらよりもはや伝達でんたつができるのか。それともうまでの必要ひつよういとかんがえたのか。

 丁淩ディンリン調子ちょうしくずしているとはいえ、相当速そうとうはやチェはしらせている。陵光りょうこう監兵かんぺい執明しゅうめいへいらにがいした。いまチェよりすぐれた伝達でんたつるかはわからないし、理由りゆうはなはだしいほどである。そもそも、そのかんがかた自体じたい間違まちがっているのか。

 陵光りょうこう想像そうぞうって、ふたた丁淩ディンリン看護かんごこころくばった。これだけのおおきな躯体くたいすぐれないからだ状況じょうきょうぎょそうというのは、立派りつぱなのだろうとおもった。

(kào)……」

 丁淩ディンリンはそういながら、舌打したうちをましている。

 はじめ、陵光りょうこうへいねらわれたことおもし、にしたのだとおもった。しかし丁淩ディンリンこまかく左右さゆうしているのをさつして、なにほか思索しさくがあるとかんがえたのである。

 陵光りょうこう異変いへんもとめようと、丁淩ディンリンった。

 何度なんどかの往復おうふくかえすうち、円弧えんこしたせんはりえた。円弧えんこなかばあたりに、はりさきたっている。こまかくうごくものではい。ただにするのには十分じゅうぶんものなのだとは、なんとなくれる。

 はやさはちがう。丁淩ディンリン足元あしもといたたび上下じょうげしているはりちがう。数字すうじ文字もじすらたらない。そこまでかんがえて、ふとおもかんだ。

──柴油チャイヨウ

 チェにとってのまぐさちかい。これがければはしれないのだ。丁淩ディンリン西にしるまでに、かなりにしてんでいたのをおぼえていた。

 なかばのあたりということは、じつはかなりってはいまいか。チェでなくても、なかばは消耗しょうもうきわまりはじめだとはおなじようなものである。そこまでかんがえて、丁淩ディンリン舌打したうちの理由りゆうわかった。

 陵光りょうこう監兵かんぺいいた。

監兵かんぺいいか」

「うん」

「いざというときに、丁淩ディンリン殿どのはこべるか」

「──たぶん」

 返事へんじが、監兵かんぺいにしてはよわかった。陵光りょうこうからすれば、あまりにらしくないこえである。

 さきことんでいるのか。陵光りょうこういままでの監兵かんぺい行為こういならべてみて、そうだろうとした。

さきへいばしたな」

「そのせいでょ?」

なにがあった」

西にしってわれて。はい、って」

「それで」

西海镇シーハイジェンって」

「そうだろう。それでか」

「ううん。哈尔盖河ハルガイフってわれたときに、はいってって、まずいっておもった」

つかまれかけて、ばしたのだな?」

「そう、そのあと──」

「もうい。おまえ執明しゅうめい殿どのわれたとおりに、簡単かんたん返事へんじをしただけだろう」

「でも」

「でも、ではない。 わたしまかされてき、執明しゅうめい殿どのったとおりにこたえたのだ。それ以後いごめるべきことではい、わかるか」

「そうだけど」

わかったのか!」

しょう!」

「ならばさきかんがえろ」

 陵光りょうこうにもけるべき言葉ことばすくなかったが、意気いきもどさせるためにはこれだけ断言だんげんするべきだった。った途端とたんに、監兵かんぺいかおすこ血色けっしょくった。

 し、と陵光りょうこうまえもどす。おのれも、すこめなおした。

 西海镇シーハイジェンからは、もう百五十ひゃくごじゅうである。

 湟水ホアンシュイあたり、湟源ホアンユエンというである。辿たどまえ執明しゅうめいは、あやしまれないようにまどからもぐらせていた。

 ここでならば柴油チャイヨウろう、などと予測よそくもしている。しかし

「ねえ。ここ、すぐにはなれるべきじゃない?」

と、執明しゅうめいのたまうようなようであった。

 西海镇シーハイジェンほどではいが、ひとへい幾人いくにんあるいているのがえてる。チェ同士どうしすこまっているのもになった。

関門かんもんのようですな」

 陵光りょうこうたとえとしてくちにした。眼前がんぜん風情ふうじょうが、てん関門かんもんにて検閲けんえつするさま似通にかよっている。さもすれば、まさしくそうでないかというかんもはたらいていた。

 もしそうであれば、まさか羽書うしょ急報きゅうほうしょ)のたぐいすでとどいているのか。

手机ショウチーなら、ってるでしょう?」

 執明しゅうめいいたかのようにけてくる。

 陵光りょうこうはなしこうと、なにわずわせた。

「これでつたわっちゃうのよ。そういうこと」

 執明しゅうめい手机ショウチーらされている。それではえているよりも危険きけんではないかと、陵光りょうこういかけた。

「で、身份证シェンフェンチュン。あれも、これに必要ひつようなの。つまり──」

 うやいなや、執明しゅうめいまどけて手机ショウチーてた。

 陵光りょうこう瞠目どうもくした。

なにを──」

わたし目立めだっちゃってるもの」

 陵光りょうこう丁淩ディンリンながた。かれはかまから手机ショウチーし、おおきくいきいている。

(néng)绕过去(rào guòqù)(ma)?」

()清楚(qīngchǔ)

 執明しゅうめいからはなけ、丁淩ディンリンこたえている。執明しゅうめい一旦いったん陵光りょうこう監兵かんぺいかおけた。

「だいじょうぶ?」

 たぶん荒事あらごとになってもけられるか、というはなしだろう。陵光りょうこう無論むろんだとおもっている。監兵かんぺいかおても、さきまでの不安ふあんかんじられなかった。

「ならば丁淩ディンリン殿どのも、安堵あんどされよと」

 陵光りょうこうつたえた。監兵かんぺいすここしげて、うごけるようにしている。

 執明しゅうめいはそれらを確認かくにんしてから、ふたた丁淩ディンリンへとなおった。

(chū)了事(liǎo shì)(yǒu)我们(wǒmen)

 ああそうか、という表情ひょうじょうのまま丁淩ディンリン足元あしもとあやつった。ゆっくりとすすみ、とどまっていたほかチェわきからて、いまみちからはずれていく。

 ものないか、くばるのは陵光りょうこうらの役割やくわりである。

 陵光りょうこうみぎを、執明しゅうめいひだりを、そして監兵かんぺいうしろをうかがっていた。

 執明しゅうめいているがわまどを、なかけている。そこからそとおとけてきていた。

けぬべきでは」

 ちいさくげた陵光りょうこうには、無防備むぼうびにならないかという心配しんぱいる。

 執明しゅうめいすずしいかおくずさなかった。そのままに、步枪ブーチアンした武具ぶぐあらわしている。

 陵光りょうこうはすぐに、まどひらいている意図いと理解りかいした。有事ゆうじきればすぐ、対処たいしょしようとしているのだ。

 けんしておこうか。陵光りょうこうまよったが、せばチェうち傷付きずつけるではないか。監兵かんぺい鉤爪かぎつめでもおなじである。執明しゅうめいだからできるのだ。

 なら、とすここらえて、しずかなままであれとねんじていた。流石さすが今度こんどさわがれれば、加減かげんができるかもわからない。すこ監兵かんぺい姿勢しせいはいって

──そういえば毛髪もうはつでも目立めだ

ということすら、あたまなかかんだ。

 丁淩ディンリンはその最中さいちゅうでも、ずっとかおしかめながらチェぎょしている。

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