表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
綺羅五芒星  作者: 床擦れ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/40

星之章「西山随に蕩遊、山神居るに幽幽」 一話

 チェというものにははじめてった。そと景色けしきながなか陵光りょうこう毛氈もうせん椅子いすこしかけて、はしればれのすくないことにまずおどいた。

 それでも、てん車駕しゃがにはおよばないか。

しかして、これはなんですか」

 陵光りょうこう雨瓔ユーイン名乗なのっていた執明しゅうめいへ、はなし突端とつたんげた。

「これ? ああ、步枪ブーチアンよ。握把ウォバァいている杠杆グアンガンを──」

ちがいます。何故なぜ貴女あなたが、あの場所ばしょに、このような方法ほうほうたのかとうているのです」

 陵光りょうこう執明しゅうめいかお確認かくにんするために、おのれ右前みぎまえうえかった小鏡こかがみのぞいた。

 執明しゅうめいももうえ監兵かんぺいあたませている。そしてそのあたまを、執明しゅうめいでていた。

監兵かんぺい車駕しゃがでもすいむかしくるまにて乗降じょうこうからだ安定あんていのためにつかひも)をつかむものだろう」

 陵光りょうこう叱責しつせきした。監兵かんぺい嫌々いやいやあたまげようとしたが、執明しゅうめいさえとどめている。

執明しゅうめい殿どの

 陵光りょうこう語気ごきをややつよくした。

いじゃない。わたし監兵かんぺいからはなれたくないもの」

「そういうものではいでしょう」

陵光りょうこう律儀りちぎぎるだけよ?」

 陵光りょうこう肩口かたぐちからはひらたいおびが、腰元こしもとまでにびている。

 これをけねばあぶない。最初さいしょったのは執明しゅうめいのはずだった。

 陵光りょうこう一度いちどいき往復おうふくさせた。

「で、先程さきほどいのこたえは」

わかるはずでしょ?──」

 気配けはいく、執明しゅうめい陵光りょうこう耳元みみもとにまでくちってていたらしい。

 まとわり吹気すいき陵光りょうこうおもわずあたまらした。

──こうだったか。いや、こうだったか

 否定ひていして、肯定こうていした。以前いぜんから執明しゅうめいは、陵光りょうこう監兵かんぺいにこんな態度たいどなのだ。水軍すいぐん将帥しょうすい執明しゅうめい()()()を、されたことがい。

 監兵かんぺいなついているが、陵光りょうこうからすれば鬱陶うつとうしいことこのうえない。じつかみとしての性質せいしつしていることが、陵光りょうこうにとってなによりもややこしい部分ぶぶんである。

雨瓔(yǔyīng)这帮(zhè bāng)家伙(jiāhuo)是谁啊(shì shéi a)?!」

 陵光りょうこうとなりへきのようなもの使つかチェぎょしている小太こぶとりのおとこが、こえはなった。けのようであるが、こえ随分ずいぶんやかましい。

你看(nǐ kàn)路啊(lù a)!」

 執明しゅうめいは、この言葉ことばかえしている。こえきでわかる。おとこはなしたのだ。しかし執明しゅうめいのどからはいたことい、へんこえつよさだった。

執明しゅうめい殿どのは、この言葉ことばっているのですね」

必要ひつようだったの。もっとめてのいのよ?」

 そうわれるとともに、陵光りょうこうあたまつめたたい感覚かんかくはしった。

 執明しゅうめいだ。ふるえそうなこえこらえて、しかし鼻梁びりょうしわまではおさえられなかった。

「ともかく執明しゅうめい殿どのさそったということは、さそうだけの理由りゆうも、手立てだてもるということでしょう。それをまずおしえていただきたい」

 陵光りょうこうすこ早口はやくちになった。いやらしい部分ぶぶんもあるが、執明しゅうめいとはそれだけの頭脳ずのう使つかかたをするかみなのだ、という観念かんねん陵光りょうこうにはある。

 また、頭上ずじょう小鏡こかがみうかがった。執明しゅうめい今度こんどもたれにこしあしんでいる。うつりこんだ双眸そうぼうが、陵光りょうこうっていた。

わないとわからない?」

うからこそ、わかるのです。なに情動じょうどうではありますまい」

わたしにそんなことうなんて──ひどい」

貴女あなた智者ちしゃでしょう。ほかととのえてから、じょう使つかうはずです」

 執明しゅうめい()()()()わらった。

「やっぱり、可愛かわいい」

 そう口元くちもと常々つねづねからへびのようだと、陵光りょうこうおもっていた。

 一刻いちこくじゃくチェはしっていたか。

 チェぎょをしていたおとこが、もうそろそろやすませろと愚痴ぐちこぼした、らしい。執明しゅうめいがそうっていた。ならばやすもうということで、チェめられるところすこそとた。

「さっき、なぁにはなしてたのっ?」

 監兵かんぺいのぞんできたが、陵光りょうこう態度たいどにごした。

「まあ、い」

 そうったままで、陵光りょうこう執明しゅうめい近付ちかづいた。

 執明しゅうめいくびまわしている。

 みずかみなに理由りゆうからだつかれさせるのか。そんな言葉ことば陵光りょうこうげてみると、執明しゅうめいかえりみながら

くせになったのよ」

とだけ、こたえた。

「──監兵かんぺいあまやかしなさいますな」

 陵光りょうこう話題わだいもどすために、そうった。

陵光りょうこうきびしすぎるの。そうかんじない?」

つとめをたしているまで。それで。多少たしょうくちひらいてくださいますか」

「そうねえ──」

 陵光りょうこう執明しゅうめい言葉ことばちながら、くびうしろをでた。すこし、無意識むいしきだった。

「まあ、わたしなりに色々いろいろあつめてたの。へん風聞ふうぶんいかな。って」

「そうでしたか」

「そう。红发(hóng fā)勇士(yǒngshì)すごかったじゃない?」

 めろ、といたくなったが、おもえばそれをっているということは、红发(hóng fā)勇士(yǒngshì)なる言葉ことばさぐってきたということだとおもえた。

 そして実際じつさい、そうであった。

「それと、あとはかい出所でどころね。なんとか、あなたたちつけた」

 つまりかい頻発ひんぱん足止あしどめをらったのが、ぎゃくかったということか。

「おねえちゃんありがとね」

 監兵かんぺい無邪気むじゃきって、執明しゅうめい可愛かわいがられている。だがもとはとえば、誤算ごさんでしかなかったのだ。かったとうことは、陵光りょうこうにはむずかしい。

しわすごいわよ、ここ」

 執明しゅうめい陵光りょうこう指差ゆびさしている。そのさき眉間みけんにある。

 陵光りょうこうおもわず、おのれ眉間みけんさわった。

折角せつかく可愛かわいかお台無だいなしよ? まちでもめられたんじゃない?」

「ん? 兄々にいにい成都チェンドゥすごかったよ。おんなひとにぶわぁって」

「でしょうねえ──容姿ようし大事だいじだから、その癖直くせなおしたら?」

 執明しゅうめい監兵かんぺいはなっている。

 陵光りょうこうかされかけたもどして、いをつづけた。

「もういでしょう。さきかせてください」

「あら──まあそうね。じつ孟章もうしょう居場所いばしょも、なんとなくだけどわかってるの」

まことですか!」

あせらない。そのまえに、片付かたづけたいことる」

 陵光りょうこう言葉ことばめて、執明しゅうめい一瞥いちべつした。

承知しょうちしましたが、それはどういう」

「もっと西にしって、山神さんしん存在そんざいたしかかめたいのよ。だけど」

「だけど、なんですか」

山海シェンハイ经典チンディエンってる?」

「いえ、ぞんじていませんが」

「そう。まあ、色々いろいろってる書物しょもつだとおもって。で、それに山水さんすいしるしてあるんだけどね。いたことのるものばかりなの」

 陵光りょうこうはまさか、とちたくなった。だが、おもとどまった。

 山水さんすいについてうのであれば、水軍すいぐん統括とうかつする執明しゅうめいほうくわしいはずである。陵光りょうこう本分ほんぶん礼儀れいぎであって、まだ執明しゅうめいおな理解りかいにはいたっていない。

 ゆえに、たずねた。

「では、辿たどればいのですか」

「そうもかない」

「なれば、かせてください」

位置いち距離きょり無茶苦茶むちゃくちゃ。だから山海シェンハイ经典チンディエンだけじゃさしがねにならない」

不可解ふかかいですね」

「だけど。えずわたしたちも、距離きょり位置いちわかるじゃない? それをかりさしがねとするの」

起点きてんさだまっていませんよ」

「それはみずで、なんとかなる」

 執明しゅうめいわったあと陵光りょうこうかって

──どう?

と、うてている。

 陵光りょうこう山神さんしんとはいたことがい。だが、帰天きてん活路かつろひらくためなら、やらぬよりやるべきである。

 そういえば、と思った。

何故なぜ山海シェンハイ──经典チンディエン重要じゅうようになりえるのですか。山神さんしんとの関係かんけいが?」

大在おおあり。やま位置いちわからないと、山神さんしんさだまらない」

 そういえば、そうか。陵光りょうこうっていたはずだった。だが気付きづけなかったあたりに、おのれはかなりにぶっていたのだとはじめていた。

「どしたん兄々にいにい?」

 監兵かんぺいこえである。

「すまない、これからをかんがえていた。ところで執明しゅうめい殿どの

なに?」

「そこまで、この事柄ことがらをごぞんじなのは──」

「まあ、わたしなりにやってた、ってこと。じゃあ一緒いっしょ頑張がんばりましょうね?」

 執明しゅうめい両手もろてひろげている。陵光りょうこうれないように誤魔化ごまかしつつ、つまでのいささかな時間じかんそと空気くうきっていた。

 そして、チェきたかっている。くもって見付みつからぬときでも風景ふうけいさつせるほど、陵光りょうこう土地とちれてきていた。

 チェうちで、執明しゅうめいくちひらいた。

「あなたたち、ふくは?」

「あったけどたたかいでやぶれた」

 気味ぎみに、監兵かんぺいこたえている。

「じゃあ、わないとね?」

 執明しゅうめい監兵かんぺいいていた。小鏡こかがみ確認かくにんしていた陵光りょうこうくぎした。

執明しゅうめい殿どの監兵かんぺいにはくれぐれも」

へんなの、はわないわよ」

 たぶん、執明しゅうめいったとおりにはならない。陵光りょうこうにはかんがはたらいている。しかしめるのにも苦労くろうはする。ほうっておくのがいのだろう。

雨瓔(yǔ yīng)()说啊(shuō a)……」

 ぎょおとこふたたこえげた。疲労ひろうしているのか、さきよりもれてこえた。

他是(tā shì)陵光リョウコウ她是(tā shì)監兵カンペイ好了吧(hǎole ba)

「──(èn)

 おとこはまた、だまってしまった。みょう沈黙ちんもくせまただよいかけている。

 陵光りょうこううしろをにした。執明しゅうめいこしあたりから、なにしていた。沈黙ちんもくやぶろうとして

執明しゅうめい殿どの手机ショウチー使つかえるのですか」

と、その場凌ばしのぎの言葉ことばいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ