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綺羅五芒星  作者: 床擦れ


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18/40

張之章「成都に巫の名を求め、二柱は衢を縦横す」 二話

 だいぶ、くらくなった。

──何処どこ

 陵光りょうこうっている。だがつづけても、監兵かんぺいかえってない。うごこうかともおもったが、うくれているだけなのかもしれない。

 陵光りょうこうひざするまではしなかった。だが、腰掛こしかけたままうでみ、くち真一文字まいちもんじにはしている。

 かず、いつのにかじていた。

 どれだけごしたか。とおくから跫音あしおとこえた。不届ふとどものか、いなか。

 けた。双眸そうぼう夜陰中やいんちゅう瑠璃色るりいろひかっている。

監兵かんぺい──」

 陵光りょうこうしずかにった。こえにはあきらかないきどおりがある。

「に、兄々にいにい──」

 監兵かんぺいかたまる。精気せいきらされた陵光りょうこうかみ逆立さかだっていた。

何処どこに」

「あっち、かわいいおんながいて」

何故なぜ

「ひ、ひまだったから」

なにをしていた」

ちがうよ」

なにを、していたのだ?」

「パイダンシーピン──」

「は?」

「うんとね──」

 監兵かんぺいよどんでいるとるや、陵光りょうこうはゆっくりとがる。

何処どこに、ともがらる」

「えっと、すこさきわかれたの」

案内あんないしろ」

「なんで?」

悪意あくいがあればいけない、監兵かんぺいせきれ。パイダンシーピンというものがなにかも、ってからはんずる」

 陵光りょうこうあごさすりながら、監兵かんぺいおもむいた目指めざそうとしている。

 監兵かんぺいは、なおさらあせっていた。

兄々にいにい、それはちょっと──」

問題もんだいがあるか」

「うん。おんなばっかだよ? 兄々にいにいいいの?」

「──もつく。善者ぜんしゃならつうじ、悪者あくしゃならわたしはばかられるだろう」

「でもいやだ」

好悪こうおではいかんのだ、わたしは」

 陵光りょうこうすでに、ふくろ背負せおっている。満々まんまんとしているから、どうても無理むりめられない姿貌しぼうになっていた。

「うん」

 そうはつしただけで監兵かんぺいは、陵光りょうこう先導せんどうはじめた。

 成都チェンドゥあかるい。玻璃はり楼閣ろうかく各々四方おのおのしほうしろひかりはなっている。

 ほしえるほどのあかりのなかを、二柱ふたはしらっていく。すこすばまった街路がいろ辿たどり、いつのにかひと気配けはいとおりへとはいんだ。

 簡素かんそ飲食いんしょく数十すうじゅう若者わかものたむろしている。おおきな会話かいわ笑声しょうせいが、雑多ざった存在そんざいした。

「それで?」

 陵光りょうこうふたたび、監兵かんぺいうた。

「んとね、こうがわおんなたちとったの」

いくつだ」

よん

は」

「うーん ──派手はで

「そうか」

 胡乱うろん問答もんどう監兵かんぺい記憶きおくだけがたよりになった。言葉ことばつたなくとも、わるいわけではない。むしろ、こういう感覚かんかくすこぶつよい。

 とおりをすすむほど、ひとはごったかえしていった。ねむらぬというのが成都チェンドゥ常識じょうしきなのか。

 半里はんりかぬぐらいで、監兵かんぺいくびまった。陵光りょうこう顔色かおいろうかがいながら、ゆびしている。

「あれあれ」

 ゆびさき睹視としする。

 黄色きいろかみ二人ふたりあかかみ一人ひとりくろ長髪ちょうはつ一人ひとりみなおんなで、監兵かんぺいっていたとお派手はでさはある。

 陵光りょうこう監兵かんぺいさきたせて、その女衆おんなしゅうもとへと近寄ちかよった。

 さきいたのは女衆おんなしゅう、そのうち黒髪くろかみであった。

怎么啦(zěnme la)?」

 はなたれた言葉ことば同時どうじに、女衆おんなしゅう一挙いっきょく。

鈴鈴(líng líng)~!」

 黄色髪きいろかみ片方かたほうが、監兵かんぺいった。まえつやいなや、監兵かんぺいいている。

 ほか三人さんにん小趨こばしりしてきて、続々ぞくぞく監兵かんぺいいていた。

 一頻ひとしきわると、女衆おんなしゅう全員ぜんいん陵光りょうこういた。

 すぐにふところから、玻璃はりいたはじめた。そういえばこれを手机ショウチーったか。そうおもすくなく、きゅう女衆おんなしゅうしゃべりだす。

(lái)(lái)(lái)(kàn)这边(zhè biān)路边(lù biān)抓到(zhuā dào)一个(yīgè)帅哥(shuàigē)()!」

哎呀(āiyā)──」

小哥哥(xiǎo gēgē)(kàn)镜头(jìngtóu)~!」

 手机ショウチー陵光りょうこうへとけられている。陵光りょうこう

──ひん

おもったふしかみいたが、それがぎゃく女衆おんなしゅうかせた。若干じゃっかん気圧けおされた。

 女衆おんなしゅう同士どうしすこしやりりをしてから手早てばや手机ショウチー仕舞しまわれた。

 きゅうに、きがもどされた。あまりの変貌へんぼうに、いままでの行為こういあやしくおもえる。

然后呢(ránhòu ne)咋啦(zǎ la)?」

 女衆おんなしゅう監兵かんぺい視線しせんおととして、なにかをけているらしい。監兵かんぺい言葉ことばがよくわかってはいないが、語気ごき表情ひょうじょうからすこしずつ、さつしているようだった。

ター我哥ヲーゲ!」

你哥(nǐ gē)(ma)?!」

「うん!」

真的(zhēn de)假的( jiǎ de)?」

离谱(lípǔ)

(liǎ)颜值也(yán zhí yě)太高了(tài gāole)(ba)──」

养眼(yǎngyǎn)养眼(yǎngyǎn)──」

 監兵かんぺい言葉ことばから、またさわがしくなった。陵光りょうこうなにをするべきかもからないまま、ひとまず、また手机ショウチーそうとした赤髪あかがみうでを、おさえた。

(ya)──」

 こえた瞬間しゅんかん陵光りょうこう

──またやったか

と、吐息といきした。

 四人よにん女衆おんなしゅうはしゃぎつつ、監兵かんぺいきながらみちすすんでいく。

 陵光りょうこうはぐれるわけにはいかないから、うしろにいていった。

 奶茶(nǎichá)、とかれている。女衆おんなしゅういたさきで、さかずきはいった、あわ果実かじつられたもの二杯ひはいたのむと、それを監兵かんぺい陵光りょうこうけてきた。

「いいの?」

没事啦(méishì la)已经(yǐjīng)够意思了(gòuyìsile)~」

这波(zhè bō)赚了(zhuànle)!」

 それぞれ、ひとつずつ。ちゃれてあるだけにしては、かなりおおきい。

喝吧(hē ba)!」

 すすめられた。監兵かんぺい遠慮えんりょんでいる。

 すすまなかったが、陵光りょうこうには飲食いんしょく矜持きょうじがある。無駄むだにしないようにくちけた。

 赤髪あかがみが、りずに手机ショウチーかざはじめた。

「んふふ、兄々にいにい。おいしいね」

 監兵かんぺい陵光りょうこうはなしかけた。陵光りょうこうはひとくちんだあと微動びどうだにせずすくんでいる。

兄々にいにい?」

「──ん、ああ」

「そっか!」

 女衆おんなしゅうは、陵光りょうこう反応はんのう強張こわばったらしいが、監兵かんぺいりなしていた。あたまげて、陵光りょうこうわって

謝謝シェシェ!」

った監兵かんぺいに、女衆おんなしゅうはまた、甲高かんたかこえげている。

 陵光りょうこうもどした。

──そういえば

 なぜ監兵かんぺいに、ここまでれてきてもらったのか。気風きふうまれてわすれかけていた理由りゆうを、あらためておもす。

 赤髪あかがみ近付ちかづいて、たれた手机ショウチーおもてのぞんだ。

 さけばれたが、にするところではい。

 ならほとんどが眼前がんぜんにいる女衆おんなしゅううつしているが、たびたびちがものる。もしや、これがパイダンシーピンというやつではないか。

(xiǎng)知道啊(zhīdào a)?」

 赤髪あかがみっている。

 たぶんについてかれたのだとおもい、陵光りょうこうこたえた。

「パイダンシーピン?」

「パイダン──拍短(pāi duǎn)视频(shìpín)(a)对呀(duì ya)

 どうやら、っている。ここまでけにこたえられるのなら、やましいものでもいらしい。

()(zhuàn)到了(dàole)(a)!」

 黄色髪きいろかみ片方かたほうおだてた。

 赤髪あかがみ優越ゆうえつしたみをかべている。びせられた言葉ことばをいなしながら、手机ショウチーあやつっていた。

 女衆おんなしゅう使つかっている言葉ことば普通ふつうちがいすぎて、はな内容ないようはなわからない。だからすがものすくなすぎた。

 しかし種々雑多しゅしゅざつた静動せいどうじってとおまれているから、文字もじではないかたち過去かこ記録きろくしているらしいとは理解りかいできる。

 ちょうど最後さいごには、陵光りょうこううとんだかおうつった。

 いませられたパイダンシーピンは情報源じょうほうげんになりそうだが、あいにく使つかうための手机ショウチーっていない。ただひとたずねるときに、手机ショウチーとかパイダンシーピンとは、ってみてもいか。

 陵光りょうこう了承りょうしょうして、赤髪あかがみゆうをした。それがまた、女衆おんなしゅう関心かんしんんだ。

 嫉妬しっと自慢じまんか、陵光りょうこうへと順々じゅんじゅん手机ショウチーせてくるようになった。

──かまびすしい

 しかしでもある。陵光りょうこうすこしだけ我慢がまんした。

奕梅(yìméi)

 黄色髪きいろがみの、さきおだてていたほうとはべつおんなが、黒髪くろかみはなしかけている。

 黒髪くろかみ手机ショウチーいじっていた。

干嘛呀(gàn ma ya)?」

你也(nǐ yě)给人家(jǐ rénjiā)看看嘛(kàn kàn ma)!」

(shá)?」

快快(kuài kuài)

 そのまま背中せなかされている。陵光りょうこうちかくに黒髪くろかみは、そむけがちであった。

 陵光りょうこうしてみると、かおかくしたまま、手机ショウチーおもてしめした。

 一番上いちばんうえおなじような黒髪くろかみをしたおんないくつとならんでいる。

シェイ?」

 陵光りょうこうたずねた。

雨瓔(yǔ yīng)羡慕(xiànmù)()──」

 黒髪くろかみ溜息ためいきじりだった。

 のぞ赤髪あかがみが、すこしちょっかいをした。

奕梅(yìméi)(shì)想变(xiǎng biàn)成她(chéng tā)那样(nàyàng)(cái)染回(rǎn huí)黑发的(hēi fǎ de)

 かたわら、おんな同士どうしじゃれっている。しかし陵光りょうこうは、手机ショウチーおもて釘付くぎつけになっていた。

(ó)你也(nǐ yě)喜欢(xǐhuān)(a)?」

 黒髪くろかみいつつ、うれしそうにかおげている。

 陵光りょうこうにとってはちがう。一番いちばんおどろきだったのは、手机ショウチーうつされた雨瓔ユーインというおんなが、あまりにも

──これは執明しゅうめいではないか

おもわせるような、酷似こくじをしていたことであった。

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