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92 金の亡者 ランド・アルマーク編3 不気味な笑み
深夜、屋敷の最奥にある父親の書斎は、凍りついたように静まり返っていた。ランドは、手にしたランプの灯りで冷たい石壁を照らす。昼間、父親が本棚の裏に消えていくのを見ていなければ、この隠し扉を見つけることはできなかっただろう。
カチリ、と硬い音が響き、壁の一部が音もなく後ろへと滑り込んだ。現れたのは、埃と古い紙の匂いが立ち込める狭い隠し書庫だ。
「……これか」
ランドは興奮で震える息を吐き出し、中へ足を踏み入れた。乱雑に並べられた書物の背表紙をランプでなぞっていく。その指が、ある一画で止まった。
『賢者の石と肉体の永続』
『死者蘇生論・魂の定着に関する考察』
『深淵の錬金術』
どれもが、教会が禁忌とし、父親が「存在しない」と否定し続けてきた【不死】と【錬金術】の魔導書だった。
「やはり、隠していたんだね、お父様」
ランドは一番分厚い革装丁の本を棚から引き抜いた。ずっしりとした禁忌の重みが、手のひらを通じて脳を痺れさせる。
その瞬間、彼の唇の端が自然と吊り上がった。影に沈んだ顔に、歪で、不気味な笑みが浮かぶ。この知識さえあれば、あの計画が始められるー。
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