91 金の亡者 ランド・アルマーク編2 策謀
組手で一本取られたランドは、どうにかして鋼鉄を辞めさせられないかと考える。弟テトラが生まれ、当主の座を取られないかと焦る。そんなところに、父親が地下の書庫に行くのを見つけてしまうランドだった~
「まだまだだな、踏み込みが甘い」
「こいつ! ひらひらと!」
カッ!カッ!カッ!木剣を叩き合う音が中庭に響く。軽快な動きでうまくかわす鋼鉄に対して、重そうな様子で打ち込んでいくランドだった。そんなランドに鋼鉄はアドバイスをする。
「ランドくん。片手ではなく両手で剣を持つんだ。そして、体に力が入り過ぎている。剣を持つ手はしっかりと、なおかつ体は少しチカラを抜いてみなさい。背筋には一本線が入っているように残して」
「んっ? ……こうかな?」
アドバイスを聞きたしかな感触を覚えたランドは、そのまま鋼鉄を押し込む。だが~
「ふむ……剣筋はいい……しかし!」
「うわっ?!」
座り込んでいるランドの首元に鋼鉄の木剣が向けられる。組手は鋼鉄の勝ちに終わった。キョトンとした顔からとても悔しい顔に変わると、起き上がり近くの木に両手で拳を作りドン!と当たる。
「くやしいくやしいくやしい! 僕から一本取ったからっていい気になりやがって!」
どうしたらこいつを辞めさせられる?!ランドはうつむき考え込む。そこにアリエルが駆け込んできた。
「坊ちゃま! 無事でございますか?!」
「アリエル!!」
ぎゅむっ!とスカートに抱き付くランドをアリエルは少し屈み必死に抱きしめる。恍惚の表情をしながら。そしてランドは上を向いてアリエルの顔を見ながら問いただす。
「アリエル! どこ行ってたんだ?! ぼくの勝負の時だっていうのに!!」
「申し訳ありません! 坊ちゃま……ライラ様のお産の手伝いをしておりまして……」
「お母さまの?! テトラが生まれたのか?!」
館の二階からオギャアオギャアと元気な赤ちゃんの声が聞こえてくる。
「女の子だよな?! アリエル!」
「男の子ですよ。坊ちゃま!」
「そんな……男だって……?!」
歓喜の顔から一気に絶望の表情に変わる。ランドは妹が欲しかった。それももちろんだが、男となると当主の跡目争いが起きる。それが頭の中で駆け巡り、なんともいえない顔になっていた。
「お父様! テトラが生まれたのです! ……お父様?」
父親の部屋に急いで駆け込む。ランドが目にしたのは、地下へと続く謎の部屋に入ろうとする父親の姿だった~
「お父様? ……あそこに部屋なんてないはず……一体何が……」
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