81 九伝八極 リュウ・レイフォン編 金色形意拳
奥義の打ち合いにより互いに疲弊するが、極大奥義をだそうとすると師匠たちが出てきてメイリャンは氷詠歌が、レイフォンは長老の一人がその手を止める。なぜ止めるかと問いただすメイリャンとレイフォン。
長老と詠歌は話す。もう争いは終わったと。だが、二人はもう止まらない。九伝八極の極意で長老の静止を抜けるレイフォン。それは長老でさえ読み解けなかった極意だった。極意によりメイリャンは気を失う。むくりと起き上がり、渾身の一撃をレイフォンに見舞う。爆睡拳かと思われたその拳は、金色に輝いていた……
「ぐっ……! やるねレイフォン!」
「想定以上だメイリャン……君がここまでやるとは思わなかった……!」
レイフォンの奥義により目に見えない速さで拳打が飛んでくる。メイリャンは聴勁でそれを捌いていく。だがそれも限界が来ていた。
「ワタシの聴勁もそう長くは続かないネ……! ここで決めさせてもらうアル!」
「そうくると思っていた……お互い消耗しあっているこの状況では、次の一撃で決まるとそう読んでいた!」
両者の動きがピタリと止まる。静止した時間の中で互いがにらみ合い、制空拳がバチバチとぶつかりあう。急に静かになった。まるで川が流れせせらぎがきらめくように。二人は崩拳礼を取る。それは相手に敬意を払い全力で戦うことの証だった。
「極大奥義!」
メイリャンは白いオーラ、レイフォンは紫のオーラを出し、極大奥義を放つ、その時……
「?!」
「ばかな?! 長老?!」
「お師匠! 氷詠歌師匠!」
メイリャンの拳を詠歌が、レイフォンの拳を長老が、両者の前で止めていた。そして長老と詠歌がほっとした様子で口を開いた。
「ふぉ~ふぉっふぉ。どうやら間に合ったようじゃの」
「良かった……メイリャン!」
※氷詠歌
車椅子拳法『チェア弾道』の使い手であり、リー・メイリャンの師匠。棒術の達人でもある。
止めた事に怒りの表情を見せるレイフォンは、荒々しく長老に問いただす。
「なぜ止める?! この戦いはあなたたちにも大事なはずだ!!」
「もう終わったのじゃ、レイフォンよ」
そう答える長老。詠歌もメイリャンに優しく話しかける。
「メイリャン、私たち……聖八極と九伝八極はもう和解したのよ」
「師匠?!」
突然の事に理解できていないメイリャン。その向こうで、わなわなと震える体は、レイフォンだった。自分が戦う理由がなくなり、行く当てのない怒りは、もはや制御できなくなっていた。
「あなたたちでも僕はもう止められないっ……あの時の約束を! 僕は果たさなければならないんだ!」
「八の極意! 八相! はあああああああ!!」
「八の極意じゃと?!」
「知っているネ?! 長老!」
驚く長老に対して質問するメイリャン。
「八を極め九に至る。それこそが九伝八極の教えじゃ。もっとも古き長老たちの中でも八の極意を解けたものは今まで存在しない。それを解いたということは! レイフォン! おぬし、至りおったのか?!」
「いいや……僕が極めたのは八の極意の入口……だが! それでも十分の威力がある! メイリャン! 君を倒すだけのね!」
「レイフォン! まだ間に合うネ! あの時のように! 昔のように! 仲良く……レイフォン!!」
涙ぐみながら構えを取るメイリャン。だが、容赦なくレイフォンの拳はメイリャンの腹を打ち抜く。あまりの衝撃の強さに後ろに大きく吹き飛ばされ壁にドガンと体を打ち、メイリャンは前のめりに倒れ気を失ってしまう。すかさず車椅子で側に歩み寄る詠歌。
「メイリャン! ……はっ?! 何なのこの輝きは……?!」
ボワン、ボワンとメイリャンの右拳が鈍く金色に光る。むくりと起き上がる。両腕は下がり意識はない。爆睡拳でもないその拳は、ゆらりとレイフォンの方を向く。
「金色……」
「なんなんだこの輝きは!! メイリャン!! うわぁ、うわあああああ!!」
金色の拳の形をした波動がレイフォンの胸を貫く。メイリャンの右腕は衝撃のあまり後ろに吹き飛び脱臼する。
「ぐばぁっ!! これが聖八極の極意、金色形意拳……見事……だっ」
お互い意識を失い前に倒れる。汗をじわりとかく長老は静かに詠歌に話しかける。
「この二人は、本当に武の頂にたどり着くかもしれん、のう詠歌よ」
「そうですね、長老……」
メイリャンとレイフォンによる聖八極と九伝八極の争いは終わった。決着は着かず。お互い奥義を出し合い失神。だが、決着が付かなかったことによって両派のパワーバランスが取れ、結局は良い方向へと向かっていく。かつて友達だった二人が拳を交え、武の頂に近づきつつある中、暗闇の中である女神はほほえむ。そして、メイリャンは新たな試練へと突入していく!
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