80 九伝八極 リュウ・レイフォン編 交わす拳 揺れる心
構えたまま動かない状態は、そう長くは続かなかった。先に仕掛けたのはレイフォン。右直拳がメイリャンの左の頬をブォンと掠める。達人同士の戦いでは、動かない状態が長く続くが、この二人はそうではなかった。
そう、知り過ぎているのだ。お互いを。もはや本能で躱す一撃。幼き頃から同じ道を歩き、研鑽し合った。だが親が所属している流派がメイリャンが本家の聖八極、レイフォンが宗家の九伝八極であり、お互いが分かれる時に、共に武術の頂に登ろうと誓いあった。そんな二人が運命に導かれ、拳を交える。直拳を避けたメイリャンは右足でレイフォンの膝を蹴り姿勢を崩す。
「ぐぅっ! はっ?!」
すぐさまメイリャンのポン拳がレイフォンの正中線めがけて飛んでくる。
「レイフォン!」
拳がヒットする直前、レイフォンは膝を付きながらメイリャンのポン拳を両手で受け止める。
「すさまじい功夫だ……メイリャン! 僕もあれから地獄のような修行を行ってきたが……まさかこれほどとは!!」
両手で受けなければこの拳は止められない。それを認識させられた。脳内で認めたくなくても、体はそれを許してくれない。
「止めたネ? レイフォン!!」
全身を上から下へグルリと震わす。渾身の勁を練り、眼前の右直拳をそのまま直進しぶつけた!
「こ、これは浸透勁! 両手ではなく片腕?! しかも手のひらではなく拳でだと?!!」
レイフォンの腕がガコォン!と上に浮きガードががら空きになる。この隙を逃さなかったメイリャンは、構えをばっばっと切り返し、ゴォォと左腕に気が溜まってゆく!
「浸透勁でガードを上げてからの突き……! お師匠サマ直伝の必殺技アルヨ!」
「腕が痺れてる……!ガードが下げられない!」
『聖八極奥義! 鬼神剛拳!!』
メイリャンの後ろに鬼神のオーラが浮かび上がり、左腕に渦が巻きあがり赤く光る!ジェットエンジンのような唸りを上げながら、左拳がレイフォンの胸に襲い掛かる!
ブォン……?!!
「出たネ……九伝八極奥義……千空歩!」
確かに感触はあった、だが何かがおかしい。空を切ったというよりかは軸をずらされた感じ。
「ぐっ……全てを避けきれなかったか……だが君が奥義を出すのなら……! この僕も奥義で応えるとしよう!」
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